iPhoneのカメラロールをぐるぐると回し続け、過去の写真を見続けていた。すると、レインボーブリッジの写真に目が留まった。
その写真は2020年の6月27日に撮られたものだった。
2020年の前半といえば、コロナウイルスが日本国内だけでなく世界に蔓延した時期だ。
新型コロナウイルスによって感染者が増加し「緊急事態宣言」が出された。その後は5月下旬をもって緊急事態宣言は解除された。そして、本来であれば2020年には東京オリンピックが開催されるはずが、翌年の2021年に延期となった。
今思えばバタバタとしていて、時系列を見てみないとよく覚えていない。とにかく色んなことがあった時期である。
2020年の6月は緊急事態宣言が解除されてすぐの時期だ。外出自粛という言葉が広がっていたそんな時期に自分は友人を誘って、レインボーブリッジを歩き、写真を撮っていた。
そこから4年が経った。4年という時間の流れは東京にどんな変化をもたらしたのだろう。果たして目に見えて分かるのだろうか。という記事である。
レインボーブリッジへ行こう
ご存知の人も多いだろうが、レインボーブリッジは港区の芝浦地区とお台場を繋ぐ橋であり、距離にして全長が約800メートルもある。
橋は2階建て構造になっていて、上段には首都高速11号台場線が、下段には新交通システムである「ゆりかもめ」と一般道路が通っている。そして、その下段には歩道も整備されているのだ。
4年前に撮られた写真達はその歩道上からのものだ。
当時は新型コロナウイルスによって発令された緊急事態宣言や外出自粛が当たり前だった2020年でも通行が可能だったのを覚えている。
アクセス
レインボーブリッジを芝浦側から徒歩で通過したい場合、どこにいくべきか。
まずはレインボーブリッジの芝浦側の入口となる「芝浦アンカレイジ」へ行く必要がある。
芝浦アンカレイジとは一体何か。東京都のホームページを覗き込んでも明確な説明がないのだが、一部サイトではこんな風に書かれている。
吊り橋のメインケーブルを固定させる重しの役割り
お台場側と芝浦側を繋ぐ吊橋のケーブルをピシッと留めるためという建物であり、加えて歩道の入口として芝浦側に立ち続けている。ちなみに、反対側に位置するお台場側は台場アンカレイジという名称だ。
その芝浦アンカレイジの建物内を経由して、レインボーブリッジへ進入する。という流れである。
そんな芝浦アンカレイジへ向かう方法は2種類ある。
1つ目は新都市交通システム路線の「ゆりかもめ」を利用して、レインボーブリッジの近くにある芝浦ふ頭駅を目指すというものだ。
ゆりかもめの始発駅である新橋駅や都営大江戸線との乗り換え駅でもある汐留駅から乗車すれば、およそ7分ほどで芝浦ふ頭駅に到着する。駅の近くにはふ頭という事もあって、コンテナや大型トラックを見かける。
新橋からの運賃は260円。少し高い印象は拭えないが、一番簡単で一番近い場所から芝浦アンカレイジにアクセスすることが出来る。
2つ目はJR田町駅から目指すというもの。今回の記事ではJR田町駅からの方法についてご紹介しよう。
田町駅から行こう
JR田町駅はJR山手線・京浜東北線が乗り入れる駅である。JR東海道線・横須賀線は残念ながら停車しない。隣接する駅として高輪ゲートウェイ駅や品川駅、浜松町駅があり、都営三田線の三田駅もほど近い。
駅の近くにはNEC本社ビルがあり、周辺にはNEC関連のビルが建っているので注目だ。
そんな田町駅から芝浦アンカレイジは徒歩で1.5kmの距離、時間にして25分程度。
新橋からゆりかもめでアクセスする方法と比べると長い時間の移動となってしまう。ただ、途中途中での見ごたえはしっかりとあるので、余裕のある人はこちらのルートをオススメしたい。
芝浦アンカレイジへの道中にはコンビニがあったり、最近展開され始めたロッテリアの亜種「ゼッテリア」なんてものもあるので、食事には困らないだろう。
また、田町駅を出てすぐのところで浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールと交差する。
足を進めれば、モノレールの真下近くを通りかかり、時間が合えば迫力のあるモノレールを見ることも出来る。
途中までは高層ビルや雑居ビル、それにマンションといった建物が並んでいるのだが、首都高速1号の下を潜り抜けると途端に大型トラックが見え始める。
湾岸部という場所柄か大型トラックがスピードを上げていて、しかも引っ切り無しに走っている。歩道を通行するときはトラックに轢かれないように注意したいところだ。
レインボーブリッジ特有の芝浦ループ橋が見えてきたなら、もうゴールと言っていいだろう。
芝浦アンカレイジへ入り込む
芝浦アンカレイジへ近づくとWELCOMEと書かれた看板が出迎えてくれる。
芝浦アンカレイジへの入場は無料。案内に沿って歩いていくとレインボーブリッジの真下へとやってくる。ここから見る景色はなかなかなものだ。大きな怪獣の腹の下にいる、そんな気分を味わえる。
芝浦アンカレイジの近くには芝浦南ふ頭公園があり、お台場側を一望できる。また運動公園も用意されていて、2020年当時は少年野球が行われていた。現在も、野球の利用に加えて、サッカー・フットサルの利用もできるようだ。
芝浦アンカレイジの入口はガラス張りでお台場側が反射して見える。
芝浦アンカレイジ内へ入ると「サウスルート・南遊歩道」か「ノースルート・北遊歩道」かを選ぶ必要がある。
2020年当時と比べる必要があるので、今回は北側を選んだ。ちなみに、南側はお台場のフジテレビ本社ビルや羽田空港方面を見ることが出来る。
レインボーブリッジ内の歩道では自転車に乗っての通行は禁止されている。自転車で通過する場合は、自転車の後輪に台座をつけ手押しでの通行、加えて台場方面へ行く場合は南遊歩道限定での通行という条件下のもとで通行が可能となる。
開館時間は夏季の場合は朝9時から夜の21時(最終入場時間は20時30分)まで、冬季の場合は短くなり11時から18時(最終入場時間は17時30分)という時間になる。
また休館日もあるので、注意しよう。
芝浦アンカレイジを出てしまうとトイレは無いので、事前にアンカレイジ内でトイレを済ませておこう。
またレインボーブリッジ内には自動販売機は無い。当たり前な話だが。芝浦アンカレイジ内には自動販売機も設置されているので、運動目的の人はここで購入しておこう。
なんだか色んな注意書きがあったりするのだが、これらを守ればただの歩道であることには変わりない。
エレベーターでレインボーブリッジ内へ
北側を選んで進むとエレベーターが見えてくる。エレベーターでずんずんと上に上がっていき、扉が開けばレインボーブリッジ内部となる。
レインボーブリッジ内部は自動車や大型トラックが発する轟音のような通行音が一気に耳に入り込んでくる。つんざくような音に加えて、足元がガタガタと揺れ動く。
また、フェンスで囲われていて、落ちる心配は薄い。のだが、フェンスの隙間はどうしても生じていて、スマートフォンやワイヤレスイヤホンは簡単にすり抜けるそうだ。物を落とすことが無いよう確実にポケットやカバンの中へ入れることをオススメしたい。
では、いよいよ歩道へたどり着いた。ここからは2020年の写真と比べていくことにしよう。
東京の中心を見る
芝浦アンカレイジのエレベーターを出て、少し歩いたところに「P23 主塔部」と書かれた看板が出てくる。
芝浦側から見て最初の白く空へ伸びる塔の部分だ。下のスクリーンショットで見れば、赤い矢印の先部分が現在の場所だ。
少し一般道路から外れていて、海側へグニャリとせり出すような形となっている。
では、早速だが2020年当時の画像を見てみよう。下の画像は2020年当時の画像だ。当時の画像はiPhone XSで撮影している。
続いて、2024年だ。
違いがお分かりだろうか。画角の広さや天候の違いもあるのだが、一瞬見た感じではさっぱりわからない。
画像を並べて見てみよう。まず、2020年の右側にある赤い◯で囲った部分ではビルが建築中であるが、2024年には建築が終わっているのがわかる。
また、2020年の左側にある◯には無いが、2024年だと上層部分にクレーンが付いていて建築中の建物が二棟あるように見える。
1つ目の◯
*大変申し訳無いが、間違っている可能性を念頭にいれてご覧いただきたい。
2020年の左側にある1つ目の◯に囲まれた建物は、2024年には無事完成しているようだ。どのようなビルなのか気になるところだ。
建築中の建物がある方向にはJR浜松町駅がある。現在、駅周辺では再開発が進んでいる。その近くに世界貿易センタービルディング 南館という建物がある。そのビルは2020年当時は建築中であって、翌年の2021年に完成となっている。
2017年に着工、2021年完成という4年の歳月が掛かっている。
浜松町駅周辺の再開発は凄まじいスピードで進んでいる。
1つ目の◯で囲った部分の右側には伊豆や小笠原諸島方面へ船が発着する「竹芝桟橋」があるのだが、近くにはJR東日本関連の建物がボンボンと立ち並んでいる。
現在でも開発が進んでおり、2024年から数年経てば一気に風景が変わっている可能性もある。
2つ目の◯
2020年の写真の左側に位置する◯。2020年には無かった建築中の建物が、2024年の写真を見れば現れる。しかも上層部分に2つのクレーンがあるように見える。
そちらの方面には晴海ふ頭公園や東京オリンピック時には選手村として活用され、その後は高級マンション群となった「晴海フラッグ」がある。
そして、画像が荒くて申し訳ないが2つ目の◯近くには白く長い建造物があるのがわかるだろうか。その中央清掃工場という名のごみ処理施設がある。
現在はその周辺でまた新たに高層マンションが建築中だというのだ。
少しアップの画像を見てみよう。
晴海フラッグの中央部分に位置する所に高層マンションが新たに2棟分がたけのこの如く成長中だ。
また晴海フラッグの隣、朝潮運河を挟んで豊海小学校があるのだが、そこ周辺もまた開発が進んでいる。豊洲周辺地域は高層マンションを中心に家賃相場が高騰している現状を鑑みれば、開発が進むのは当然のように思える。
お台場も変わっている
芝浦側の主塔部を後にして、ずいずいと歩みを進める。
芝浦方面とお台場方面への案内が書かれていた。ここにいる時点でレインボーブリッジの中腹部分にいることになる。この場所が一番レインボーブリッジ内で揺れを感じた。足元は浮ついて、不安定な感じがする。
お台場に近づくにつれて、見晴らせるポイントが徐々に増えていく。
次の写真は2024年に撮ったものだ。お台場側から東京都心を眺めている。
次に2020年の写真。天気の影響もあるだろうが、2020年の方が明るく撮れているように見える。ただ、2024年の方が陰影に細かい濃さがあるように見える。
2024年の画像右側にある建物が2020年と比べれば、ビルが生えてきた所もあるようにみえる。また埠頭付近のコンテナの量はそこまで変わっていないのか、変化は少なそうだ。
いよいよ、800メートルにおよぶレインボーブリッジはいよいよ終了に近づいてきた。
最後にお台場側も変わっているか、チェックしてみよう。
まずは2024年の画像だ。
完全な曇り空だ。次に2020年。
なんか2020年の方が見やすくね!?と思ってしまうがiPhoneの性能比較ではない。
では、比べてみよう。すぐにわかるのが、観覧車の存在だ。
2020年当時には右側にあったのが、2024年にはない。
東京テレポート駅近くにパレットタウン大観覧車があったのだが、2022年の8月末で閉業となっている。
また、2020年の画像下付近に映るお台場海浜公園は東京オリンピックでトライアスロンの開催地となっていたこともあり、改良工事が続けられていて入場は出来なかった。
画像では見えないがフジテレビの裏側では再開発が進んでいる。
フジテレビの本社ビル周辺ではトヨタ不動産による大型複合アリーナの建設が絶賛進行中。Bリーグのアルバルク東京のホームアリーナとして使われる予定である。
終了
というわけで、レインボーブリッジを歩きながら東京の変化を見てきたわけだが。
なんか、あんまり変わってなくね?というのが率直な感想である。まぁそんなにバンバンとビルが建つなんて中国とかアラブのお金持ちの国じゃなければありえないだろう。
また、iPhone 15 ProよりもiPhone XSで撮った写真のほうが見やすくね?という感想もある。いや、こればかしは私の撮影能力の低さの問題だと思うんだが。
東京都心部は気付けば建物が壊され、気付けば新たなビルが生えている。なんてこともあったりする。撮った写真がもしかしたら貴重な資料となるときも来るかもしれない。