サザエさんは2024年の10月で放送55周年を迎えた。
「世界で最も放映されているTVアニメ」としてギネス世界記録にも認定されており、日本で暮らしているならば10人に7人程度は見たことがあるであろうTVアニメ・マンガである。
そんなサザエさんの原作者である長谷川町子先生が集めた美術品を展示する「長谷川町子美術館」と長谷川町子先生の生涯と生み出した作品群について展示する「長谷川町子記念館」というのが東京都世田谷区にある。
ということで、55周年を迎えたそうだし行ってみっか!という思いで向かったのだが、なかなかに味が濃く、美術館・記念館という範疇を超えているような場所だった。
目次
最寄り駅から長谷川町子美術館・記念館へ
長谷川町子美術館と長谷川町子記念館の所在地は東京都世田谷区の桜新町という地域にある。
最寄り駅は東急田園都市線の桜新町駅である。田園都市線の始発駅となる渋谷からだと10分程度という場所にある。
桜新町駅から長谷川町子美術館・記念館まで歩いて5分から10分。途中の通りでは「サザエさん通り」という名称が付けられていて、電柱や壁などにはサザエさんの登場人物たちが描かれていたりする。
この通りに足を踏み入れるとサザエさんの音楽が通りに響いていた。
当日はサザエさんのオープニング曲「サザエさん」の一節「今日もいい天気」という歌詞の部分が流れていた。サザエさん一家がズイズイと見ている自分たちに近づいてくるあの場面に流れる部分である。
不思議なことに、その部分以外の曲が流れていない。足を進めてもずっと「今日もいい天気」という部分だけが通り中に流れ続ける。
歩を進めても「今日もいい天気ぃ」
また歩を進めても「今日もいい天気ぃぃ」
またまた歩を進めても「今日もいい天気ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃテッテテーテッテーテレッテーテーテ」
ずっと同じ部分しか流れてねぇ!
ぜひ、サザエさん通りを抜ける際には注意していただきたい。
この世からサザエさん以外の曲が消失してしまったのではないか?
通りの向こうからサザエさんたちが追いかけてくるのでは?と思うほどに、四方八方からサザエさんの曲が脳内へ侵入してくる。特に「サザエさん症候群」を患いやすい方は要注意だ。
長谷川町子美術館へ到着
もはや洗脳と思えるほど、サザエさん一色の「サザエさん通り」を抜けて、桜新町交番を正面に右手へ進めば「長谷川町子美術館」に到着する。
長谷川町子美術館の真正面に長谷川町子記念館もある。美術館と記念館の入場券は「長谷川町子美術館」で取り扱っているので、間違って記念館へ向かわないように注意したい。
長谷川町子美術館と記念館の入場券は900円。美術館の扉を抜けてすぐの所にスタッフの方がいらっしゃるので、そこで支払う。支払い方法は現金、クレジットカード、一部電子マネーが使用可能だ。クレジットカードはタッチ決済も使用できる。
美術館内部はサザエさんだらけ
ここからは、11月24日まで開催された「わたくし、サザエでございま~す!」の展示についてご紹介したい。2024年12月現在では終了しているのでご承知おきたい。
また、美術館内は原則撮影禁止となっている。今回の展示では撮影可能となっていたが、一部展示では撮影禁止となっている場合もあるので当日は要確認だ。
美術館へ入ると入場券を支払うわけだが、そのスタッフさんの頭に違和感が。その頭には、サザエさんの特徴的な髪型をイメージしたカチューシャが付いていた。いわゆる、アメリカ資本の象徴であるネズミ共のテーマパークで見かけるあれと一緒である。
当日は長谷川町子美術館の全フロアがアニメ・サザエさん一色。普段の長谷川町子美術館では長谷川町子先生が集めた美術品を展示しているのだが、55周年ということもあってか全てがサザエさん。スタッフさんもカチューシャをつけて、サザエさん一味としていらっしゃった。
サザエさんという巨大コンテンツに圧迫感を感じながら、美術館内部へ。美術館は1階と2階の2フロアで構成されている。
1階部分に目を向けるとゲームコーナーがあった。スタッフさんに話を伺うと輪投げコーナーと神経衰弱コーナーの2つがあるという。折角なので輪投げと神経衰弱の2つにチャレンジした。結果、輪投げでは2回中1回成功。神経衰弱では1組成功。
ここではポストカードと缶バッジを貰った。
スタッフさんの強い圧
ゲームコーナーにいらっしゃったスタッフさんに「ありがとうございました」と挨拶をして、2階へ行こうとした際に呼び止められた。
サザエさんのカチューシャをつけたスタッフさんから「撮影していきませんか?」と勧められた。加えて、「サザエさんの格好をして写真撮影出来ますよ」ということだった。
サザエさんで登場するエプロンといったものから、次回予告後に流されるじゃんけんの札も用意されていた。
しかし「いやぁ、自分は大丈夫ですよ」と笑いながら断った。男一人で来て、サザエさんの格好をするというのはチャンチャラおかしいような気がしたからだ。
ただ、スタッフさんは「みなさん喜んで撮影されてますよ」と引かない。
「いやぁ、でもねぇ」と引き攣った笑いを見せる自分。
「カチューシャもつけたり出来ますよ」とスタッフさん。
なんと、あのヘンテコ髪型のカチューシャがあるではないか。しかも5個。そのカチューシャを自分の胸元に押し込んでくる。
「いやぁ、凄いですねぇ」と苦笑いの自分。カチューシャを受け取る。
「じゃんけんの札とかも」じゃんけんの札をまた胸元に押し込んでくる。
「あはは」
パシャリ
当日撮影していただいたスタッフさん。ありがとうございました。あなたの圧には完敗でございました。
2階へ
巨大コンテンツには勝ち目がないと思い知ったところで2階へ。
2階では花沢不動産の展示が。ここでは家の模型に自分の思うデザインを塗りたくって、「サザエさんの自宅がある街「あさひが丘」に模型を置く。つまり、あさひが丘にマイホームを作ることが出来るというのだ。
ということで、家の模型に自分が思うデザインを塗って、家を街に置く。自分は「あさひが丘2丁目15番地」というところに置くこと。近くには花沢不動産や商店街がある場所だ。
自宅をあさひが丘に作り出したところで、分譲権利証なるものを貰った。これで私はあさひが丘に夢のマイホームを構えたぞ!と思っていると、分譲権利証に恐ろしい文言が。
「1日1回サザエさんのテーマソングを唄うことを誓います」
「毎週かかさずアニメサザエさんを見ることを誓います」
共産主義の国みてぇなこと書いt
タラちゃん、感想が薄い
なんだか下手なホラーより怖いのを見てしまった。そんな思いを抱きながら同じ2階ではサザエさん一家の紹介コーナーがあった。
サザエさん達の特徴や好きな物・ことなどが記されている。その下には各登場人物達が主役のマンガもあったりする。
「家族からひとこと」という部分では他の家族がそれぞれ思うことが掲示されている。のだが、タラちゃんの感想がまぁ薄いのだ。
主役であるサザエさんに対して、波平は「もう少し落ち着いてくれんかな」と父親らしいことを述べている。それに対して、タラちゃん、
「ママ、大好きです」という薄い薄い塩味みたいな感想を述べている。母親に対して、恥ずかしさが勝ったか。ならしょうがない。
しかし、そこからタラちゃん改めタラオ氏のコメントが非常に薄いのが気に掛かる。
カツオへの思いでは、「遊んでくれるから、大好きです」
ワカメちゃんに対しては、「絵本を読んでくれるから、大好きです」
タラオ氏は兄と姉に該当する2人に対して、利己的な部分しか述べていないという有り様だ。もっと他のコメントが浮かばなかったのだろうか?
最後に猫のタマに対しては、「かわいいから、好きです」なんとも大雑把な感想しか述べていない。
55周年という記念すべきタイミングであるにも関わらず、末っ子といえど少し感想が薄いような気がしてならない。長寿アニメの主要登場人物である意識が薄いのではないだろうか。サザエさん一家の教育転換、加えてタラオ氏の成長を期待したいところだ。
記念館へ
*記念館の2階部分は大半が撮影禁止となっているので内部の写真はほぼありません
美術館を後にして記念館へ。
記念館では長谷川町子先生が世に送り出した作品について展示している。
「サザエさん」はもちろん、「いじわるばあさん」「エプロンおばさん」といった作品についても展示が行われている。サザエさんについて、いっぱい見たい人は記念館を中心にしたほうが良さそうだ。
1階部分では長谷川町子先生の作品をディスプレイで見れたり、冊子で見ることができる場所となっている。
2階では企画展「町子が描いた家族のかたち」が開催されていた。「サザエさん」「いじわるばあさん」「エプロンおばさん」とそれぞれの作品から描かれた家族についてクローズアップした展示が行われており、原画や時代考証について細かな説明もあり、ボリュームはたっぷりだった。
また2階には長谷川町子先生が歩んできた生涯についての展示もある。
仕事道具やマンガとして駆け出し時期に発表された作品や掲載雑誌も展示されている。また、サザエさん初期時代のも展示されているので注目してみるのもいいだろう。
グッズを買う
美術館といったところに来るとグッズが発売されていたりするが、どうも購買意欲が起きないものばかり。ただ、長谷川町子美術館・記念館では購買意欲が駆られてしまった。
長谷川町子記念館の1階には購買部・喫茶部として、グッズの発売とコーヒーを中心に軽食の発売が行われている。
購買部では長谷川町子作品のグッズが大量に陳列されており、ハンカチやバンダナ、B2サイズのポスターなどもあり、なんだかどれも欲しい…と思わせるデザインばかり。
その中でも今回は「そばちょこ 新聞」を購入。
そばと書かれているが、湯呑みとしても使えるということだったし、なんだかサザエさんの画と色合いが合っているなぁ。と思い購入した。お値段は1320円也。
美術館と記念館のグッズについてはインターネットでも通販されている。
ここに来ればいつでも日曜日の気分
日曜日の気分というのは流石に言いすぎかもしれないが、誰でも見たことのあるサザエさんをもっと深堀りすることができたり、長谷川町子先生が歩んできた人生やマンガ家としての矜持が垣間見える。
美術館と記念館周辺では隠れサザエ的なのもあるので、探してみるのも一興だ。
入場料900円以上の深みのある美術館と記念館。ウフフと笑いながら、訪れてみるのも良いはずだ。