日清食品の工場にあるカップヌードルの煙突の前で本物のカップヌードルを食べたい

日清食品の工場にあるカップヌードルの煙突の前で本物のカップヌードルを食べたい

意味わかんないこと。この世を生きるうえで削がれるべきものだ。

でも、意味わかんないからこそ真剣にやったって良いわけだ。死ぬわけじゃあるまいし。

見つけてしまったんだ。カップヌードルが宙に浮いている姿を

12月16日。この日は茨城県の大洗からフェリーに乗り込んで北海道の苫小牧へ向かうため、常磐線に乗り込んだ。

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常磐線は品川・東京・上野の都心部、北千住・松戸・柏と千葉北西部の主要都市を走り抜けて茨城県へと侵入。国道沿いを走る乗用車、空には白い雲が斑点を作るかのように細々とした物が並んでいた。そして、青く澄んだ空が自分に笑いかける。そんな天気だった。

常磐線はスピードを上げて水戸方面へ。茨城県最初の駅である取手駅を通過した際に自分は窓の向こう側を眺めていた。その時だった。

田畑が並び、ありきたりな国道沿いの向こう。あれが、浮かんでいたのだ。そう。カップヌードルが。

信じられない。そう思った。しかし、カップヌードルが宙に浮かんでいて更には湯気まで出ているのだ。

あなたも信じられないであろう。なので、私が見た情景を絵に起こして再現したい。早速、御覧いただきたい。

どうだろうか。田んぼの向こうに工場があって、そこにカップヌードルの煙突があるという情景。

今、あなたが思っていることを当ててあげよう。「下手」という感想しか抱いてねぇだろおぉ?

現場に行ってみる

果たして自分が見たものは現実か。はたまたストレスから来る幻覚か、否か。

気になるなら行ってみるしかねぇだろうぉ!ということで、仕事が休みとなった12月23日に行ってみることにした。はい、クリスマス前の話である。

「クリスマス前になにやってだ」「独り身の男が何してんだ」という感想は受け付けない。悲しくなるから。

というわけで、常磐線へ乗り込んで、茨城方面へ。千葉県最後の駅である天王台駅を通過すると大きな川・利根川の上を進む。そして、茨城県最初の駅・取手へ到着。

日本三大河川の1つである利根川を超える。

前回見かけたカップヌードルが浮かんでいた場所は取手を発車して1分後ぐらいのところにあった。この区間は絶対に見逃せない。取手駅を出るとデカいアートが横をすり抜けていく。

稲が刈られてすっかり冬モードとなった田んぼ。そして、近くに立つ住宅。そんな景色が続く。

ガタンゴトンと電車が進んでいく。うん?煙らしきものが見えてきた。

あっ!あっっ!あっっっ!あれです!なんか器みたいな形したところから煙出てるでしょ!ねっ!ねっっ!

日清食品って書いてますでしょ!ねっ、ほらっ、あれっ、横のっ!煙の!あれっ!カップヌードルでしょ!

気を取り直しまして。ということで、取手駅を発車して隣の駅・藤代駅で下車をする。

取手駅と比べると規模は小さい駅である。駅前には3階建てのビルが。ここから歩いて煙突の方へ向かおう。

特急の通過。こりゃ大失敗です!
駅の規模は小さいが改札の中にはニューデイズがある。
純喫茶があったようだが、今は駅を見守るだけ。

歩いて行こう

藤代駅の北口を出て歩いて5分程度すると茨城県道208号線と合流する。水戸街道とも呼ばれ、茨城県水戸市から千葉県松戸市を経由して東京都足立区の千住まで繋がっている。

カップヌードルの煙突を目指すべく、茨城県道・水戸街道をひたすらに上る。

ありきたりな幹線道路の風景。

歩いていくとカーディーラーが密集していたり飲食店が立ち並んでいる。

経営統合したらこういうお店はどうするんだろう?

途中にはマクドナルドもある。

幹線道路あるあるの1つ「ドライブスルーのあるマックありがち」

ずいずいとカップヌードルの煙突を目指していくと、幹線道路沿いあるあるネタの1つであるバカでかいパチンコ店も現れる。

一応平日の1時頃。みんなそこまでしてパチンコをやりたがる理由というのはなんだろうか。

その先。「感謝」「感謝」「感謝」という幟の向こうに空高く上がる煙が見えてきた。

感謝感謝感謝感謝感謝

あっ!あっっ!日清食品ですって!奥様!

み、見つけただぁぁぁぁ!

モクモクってんねぇ。

交通量の激しい交差点、そこで自分は興奮を抑えられずにいた。運転席に座るドライバーから向けられる冷たい視線を浴びながら。交差点の信号を渡って、日清食品の工場の眼の前に立つ。

日清食品の文字がすごいでかい。

大きく日清食品という看板が掲げられている。この工場は「日清食品 関東工場」。日清食品の自社工場は5つあり、その内の1つだ。製造所固有記号は「A」、この文字がカップヌードルやチキンラーメンといった製品に記載されていると関東工場で製造されたものと見分けられる。

いやいや、藤代駅から歩いて20分以上。カップヌードルの煙突はモクモクと空へ煙を吐き出していた。やってきた甲斐がありましたぁ。えぇ、えぇ。

もちろん、「カップヌードルの煙突を見に来た」という陳腐な内容なものではない。今回の記事は「日清食品の工場にあるカップヌードルの煙突の前で本物のカップヌードルを食べたい」という頭イカレポンチ的記事である。

では、時間を出発前に戻そうではないか。

カップヌードルを食べるために準備する

今回の記事では当初、「カップヌードルの煙突を見に行く」だけの記事を作ろうとしていた。

しかし、カップヌードルの煙突について調べていくと朝日新聞が運営しているニュースサイトWithnewsが煙突について特集していた。更にはSNSを見て回ると煙突について投稿している人が山程いた。中には1万いいねがついているものまで。

カップヌードルで知られる日清食品の関東工場が、ネット上で話題になっています。
withnews.jp

つまりは、煙突を特集するうえで「見に行くだけ」ではダメだ。
私は考えた。煙突は見に行きたい。しかし、世間に埋もれてしまうような記事を作ってはいけない。さて、どうしたものか。

私は学力のない頭をフル回転させた。そして、1つ思いついた。

カップヌードルの煙突の前でカップヌードルを食べていたら映えるのではないだろうか?と考えた。
そうだ!あの煙突の前でカップヌードルを食べよう!

私の頭の中に中島みゆきの「地上の星」の一節、「風の中のスバルゥー」が脳内で流れた。カップヌードル煙突の前でカップヌードルを食べよう!

これがこの記事の発端である。

お湯を準備する

カップヌードルの煙突の前でカップヌードルを食べる。それを成し遂げるためには、何が必要だろうか。以下に並べていこう。

  • カップヌードル
  • お湯

この2点が必要だ。カップヌードルは現地で調達するとして、お湯の問題はどうするべきか。この記事における最重要課題が浮き彫りとなった。

まさか工場の受付に行って「すいません、カップヌードルの煙突の前でカップヌードルを食べたいのでお湯をお借りできませんか?」なんて言うことはできない。そんなことをしたら不審者極まりないではないか。

考えあぐねていると1つの案が思い浮かんだ。熱湯を持ち運べば良いのでは?それができるのは?そうだ!タンブラーだ。

この閃きと同時に、NHKプロジェクトXでお馴染みの「風の中のスバルゥー」が再度脳内を駆け巡った。なんて、素晴らしい思いつきなんだ!

自宅のキッチンからサーモスのタンブラーを取り出す。これだ!これがあれば熱々のお湯を持っていけるぞ!

サーモスのタンブラー。夏場はかなり多用する。

早速、お湯の量をカップで測る。今回は以前発売された、カップヌードル専用の計量カップを使おう。

これねぇ。結構好きなんですよねぇ。

このカップを使えばなんと!カップヌードルに必要なお湯を簡単に測れてしまうのだ!現在は発売していない限定品となっている!イエェェェーイ!

計量カップが示すカップヌードルに必要なラインまで水を入れる。そして、電気ケトルへ。

なぜか沸騰後は水量が減ってしまったが、まぁまぁ良いだろう。タンブラーにも入れて、これで準備完了である。

カップヌードルを買う

時間を日清食品の工場付近へ戻そう。今回の記事を作るうえで大事な物である「カップヌードル」を調達しよう。

工場近くにはセブンイレブンがあり、そこで購入することに。お値段は、税込みで254円である。

会計を担当してくれた店員さんから「お湯はどうされますか?」と聞かれたものの、「いえ、大丈夫です」と丁重にお断りした。店員さんから貰ったカップヌードルの如く温かい心遣いは心に染み込んだ。

いよいよ、準備は万端である。後は「日清食品の工場にあるカップヌードルの煙突の前で本物のカップヌードルを食べる」だけである。

我はカップヌードルの前に立つ

モクモクと澄んだ青色をした空に煙を打ち上げるカップヌードルの煙突。私の心臓は妙に緊張感を持ち合わせていて、体が硬直寸前であった。このプロジェクトを成功させられるのだろうか?という不安だったのだろうか。それとも、純粋に寒かったからだろうか。

どちらかわからないままに、私は人気の少ない道路の脇でカバンを下ろし、中からカップヌードルとサーモスのタンブラーを取り出した。空から降り注ぐ陽の光がカップヌードルとタンブラーを強く照らす。

見よ!この勇ましい姿を!

第一の問題である熱湯。タンブラーのキャップを恐る恐る開ける。すると、煙突と同じように水蒸気が打ち上がった。成功だ!

私は興奮を抑えられなかった。しかし、まだやるべきことがある。カップヌードルのフィルムを剥がし、ゴミはカバンへ。そこに熱湯をゆっくりと注ぎ込む。ここで倒しては全ての努力が水の泡いや煙のように消えて無くなってしまう。

お湯の量はぴったりだった。計量カップが成し遂げた仕事は完璧。そして、熱々のお湯を運んだサーモスのタンブラーの仕事も見事だった。サーモスのタンブラーの見せる顔はとても格好良く見えた。

日清食品が提唱する3分。

この時間が経過して、私はカップヌードルを持ち上げた。そして、カップヌードル同士がよく映る場所へ移動して高く空に掲げる。

モクモクと煙を吐き出すカップヌードルの煙突。その前には本物カップヌードル。

私が望んだその光景が目の前にある。

カップヌードルに箸を入れ、麺を持ち上げる。世界中の人々が味わったカップヌードル温もりをカップヌードルの煙突を見ながら味わえるというのは、最高であり、人生の中でも特別な瞬間に思えた。

ちなみに、カメラのピントが合わず、悪戦苦闘しまくり3分以上経過してしまったというのはここだけの話である。

最後に

ということで、カップヌードルの煙突の前でカップヌードルを食べるという記事を終わりたいと思う。完璧なプロジェクト遂行。と言っても過言ではない。

最後に藤代駅に到着後カップヌードルの煙突の前でカップヌードルを食べるって、ネット受けしそうじゃね?と思い、XないしはTwitterに投稿したら反応貰えそうじゃね?という欲が生まれた。

藤代駅のホームにあるベンチに座り写真を投稿する。結果はご覧の通りである。

興奮と現実が釣り合わない辛さ。そのせいで、カップヌードルから貰った温もりは冬の風によってどこか遠くへ飛ばされてしまった。南無三。