JR札幌駅の案内がなんか好きだ

JR札幌駅の案内がなんか好きだ

フェリーに乗り込んで到着した苫小牧から特急すずらんで北の大都市・札幌へ。

僕を18時間掛けて北海道に連れて行ってくれ・商船三井フェリー『さんふらわあ』1日目
北海道へ行くなら。そんなの明白だ、1番は飛行機だ。 次点で新幹線になるだろう。新函館北斗まで行って、そこから特急に乗り換えるか。それもまたよし。 ただ、同じこと…
tetsu-dakawa.com
僕を18時間掛けて北海道に連れて行ってくれ・商船三井フェリー『さんふらわあ』/2日目
ということで、2日目の記事です。1日目はこちらからどうぞ↓ https://tetsu-dakawa.com/2025/01/03/sunflower-ooar…
tetsu-dakawa.com

その札幌駅に降り立つと、体の芯まで冷え込ませる冷たい風が自分を襲った。他の人は肩を窄めてなんとか寒風から逃れようとしている中で、「ああ、僕は札幌に来たんだなぁ・・・!」と肌の潤いが持っていかれながらも実感した。

そんな札幌駅のホームから改札へ向かう時に思ったことがある。冷凍庫の中にいるような冷え切った駅の構内にはホームの番線や改札口の案内が掲示されている。それを何気なくみていた。なんの理由もなく「良いねぇ・・・たまんないねぇ」と思ったのだ。なぜそう思ったのか?それが今回のテーマだ。

ということで今回は「札幌駅の案内ってなんか言葉にできないけど良いよね」というとてもニッチすぎる内容でお送りしたい。

もう改札から良いよね

札幌駅は文字通り北海道札幌市の中心地にある駅。繁華街のすすきの、オフィス街の大通と共に交通の要塞として札幌市街の一角を担っている。

札幌駅の東口を出てみると、巨大な壁が聳え立ち印象的な時計が設置されている。

今年は雪が少なかったなぁって印象

近くには地下道への入り口がチラホラとあり、訪れた時期はイルミネーションが行われていたりもしていた。

華やかで眩い装飾がなされていた札幌駅前から改札へ向かうと駅前の雰囲気と異なって少し前時代的な空気が漂い始める。

改札が近くなるとこんな案内が登場する。

画面中央に表示されている案内は、JRの多種多様な切符を購入できる窓口「みどりの窓口」の案内。

黒をベースにし、白い文字でどういった場所であるか?という情報を日本語で大きく表示している。下には英語を配置し、細い区切り線に続いて中国語と韓国語が並んでいる。

面白いなぁと思ったのが、みどりの窓口のマーク。JR東日本のマークと異なっていて、どこか2000年代以前の雰囲気を感じ取れる。

みどりの窓口の上に設置されている案内

次に札幌市営地下鉄への案内。JR線改札口の案内と同様に文字と地下鉄各路線のラインカラーに合わせた電車のマークも横並びに。それ以外に色は無く、余計な情報もない。

英語表記を見て札幌市営地下鉄って「Subway」表記なんだなと気付く。

運賃表

改札横に設置されている券売機上にある運賃表。札幌駅を中心に最大2100円料金区間までの駅が表示されている。

外国人観光客が多く利用するであろう新千歳空港駅や小樽駅が他の駅よりも一回り大きく表示されている事がわかる。更に主要駅には水色で他の駅と見分けが付くようになっていて、何も知らない人でもわかりやすいように配慮されているのを感じる。

また室蘭本線の各駅が細字で表記されているのも面白い。札幌駅から直接向かう列車が無いからこうなっているのだろうか。

番線案内も良いっすよねぇ

JR札幌駅の改札は西と東の2つ。その改札の上には発車案内板が。

小樽や学園都市線方面や岩見沢、遙か先にある稚内や網走の文字を見ると、「ここから旅が始まるんだ!」とワクワク感が出てくる。

駅員さんの放送が響く駅構内。上を見上げればホーム・番線の案内がある。改札近くの案内と同様に黒と白の2文字で表現している。情報は矢印と「のりば」という文字と数字だけ。

札幌駅のホームは2〜11番線(1番線は工事中のため無し)まであり、北海道の様々な方面に列車が到着・出発するため、「〇〇方面」「〇〇線」という表記が使いづらい。それも相まって、シンプルさに拍車が掛かっている。

JR札幌駅構内の店舗ご案内ページです。JR北海道フレッシュキヨスクが運営する店舗をマップからご確認いただけます。
www.hkiosk.co.jp

ホームの案内

訪れた日は札幌近郊でドカ雪となっていたほど雪が降りしきっていた。ただ、札幌駅のホームは屋根で覆われていて、ホームの端を除けば雪とは無縁だ。

特急が多く出発・到着する札幌駅ならではの案内がある。ホームの上部に細い線が張られ、そこに札が数枚。乗車位置の案内板だ。

様々な列車が到着するホーム。行き先が限定的だったり、車両の種類が数種類であればホーム上にシールで貼り付ければ良い。

しかし、ここ札幌駅はやってくる車両は様々で行先も複数。加えて自由席や指定席の案内も必要。更には屋根があるとはいえど、列車がホームに雪を撒き散らす能性もあり、視認性が悪くなる。

だからこそ、案内がぶら下がっているのだろう。こういう案内も様々な駅で見かけたが、すっかり減ってしまった。懐古的な気持ちにさせてくれるのも札幌駅の案内の良いところだ。

なぜ、札幌駅の案内が良い。と思ったのだろう

札幌駅の案内をただ並べて記事にしました。というのは味気がない。どうして、自分は札幌駅の案内が良いと思ったのだろう。それを少し言語化してみよう。

駅に掲示されている案内はどれもこれもシンプル。そのシンプルさが逆に新鮮に見えたこと、また潔さを感じたところにある気がする。

同じJRグループのJR東日本やJR西日本、関東や関西の私鉄では各路線にラインカラーなどを導入している。例えば山手線なら黄緑色、大阪環状線であれば赤色という風に指定し、路線と色を紐づけて案内をする仕組みだ。

JY
山手線・Wikipediaより引用。こんな漢字で路線を色で表現するのが多い。

ただ、東京駅や大阪駅といった多くの路線が入り込むターミナル駅ではラインカラーが複数に存在することになる。数秒で認識する必要がある案内に色んな路線を詰め込んでしまって、「見辛い」という意見も無くはない。

その点でいえば札幌駅・JR北海道のデザインはシンプル寄りに考えられているように見える。

別にJR北海道のデザインが異端的か?というとそうではない。国鉄のデザインをそのまま横流しにしたようなJR東海もシンプルさを重視していて、余計な情報がないのが特徴的だ。

ただ、札幌駅・JR北海道はシンプルさの中にも、組み込める情報を剪定しているような気がする。インバウンドの増加で生じる国際的配慮がそうだ。英語のみならず中国語・韓国語といった多国語表記がされているし、ピクトグラムを使って日本の知識なしに直感で理解ができるようになっている。

文字と数字と矢印にエレベーターの案内

デザインのうまさを実感したからこそ、良いなぁと思ったのだろう。それか、自分が変にひねくれた見方をする変な旅行者である可能性も否めない。

なぜ黒なのか

ここからは自分の推測に過ぎないのだが、案内の色が黒ベースなのは雪の影響も考えられているのかもしれない。と思った。

雪が横殴りで飛んできたり、ホワイトアウトなど、空も地面も白くなる北海道の冬。その中で鉄道を利用するお客さんに白ベースの看板だと見辛い。文字を認識しやすくするために、黒を多量し白色の文字を強調させるようなデザインになっている。のかなぁ?とこの記事を作りながら思ったのだ。

隣の苗穂駅に移動した際にホームに降り立った時、白い雪が横殴りに飛んでいた。その中でも黒ベースの看板は埋もれることもなく、じっと案内を表示させていた。

あながち考えは間違ってないんじゃないかなぁ。と思っているのだけども、残念ながら正解はない。

案内を敢えて見る。というのも良いかもしれない

不慣れな駅で覗き込む案内はとても重要だ。その案内を少し立ち止まって、普段は見慣れないモノ、美術的・デザイン的に見てみるのも旅行の新たな視点をもたらしてくれるはずだ。

ただ、電車に乗り遅れたりしない程度に抑える必要がある。