北の大都市である札幌で食事をする際に選択肢として浮上するのは一体なんだろう。
スープカレーであるとか、ジンギスカンであるとか、ラーメンとか。そんなところだろうか。
ただ折角、食の宝庫である北海道へやってきたからには新鮮な魚介類を食べておきたい。ということで、今回は「回転寿司トリトン」で札幌の夜を楽しもうということに。
ただ、トリトンもまた「混雑」からは逃れられないお店でもある。
札幌近郊には魅力的な回転寿司が
回転寿司というと多くのチェーン店が存在する。
日本国内で1番の店舗数を誇る「スシロー」、次いで「はま寿司」、その後ろには「くら寿司」「かっぱ寿司」といった店舗が連なっていく。
全国各地に店舗がひしめき合う競争激しい回転寿司界隈だが、北海道には新鮮な魚介類が手に入れられる環境であるからかローカル回転寿司店が多数存在する。チェーン店が提供する寿司を凌駕する高品質な寿司を提供していて、メディア・旅行者・地元からと全方位から人気がある。
そんな北海道の回転寿司をGoogle大先生で調べてみると検索結果ページの中程に表示される「関連する質問」にはこんな内容のページが出現する。
内容は「回転寿司の北海道御三家」「北海道の三大回転寿司」という目を引く内容のもの。
一体誰が御三家だとかBIG3だと決めたのか?調べてみようとしたものの、綺麗さっぱり出元不明。殆どが個人サイト、回転寿司店のレビューによるものばかりだった。ただ、みんな言うんだから美味しいことには間違いないはずだ。
そんな回転寿司御三家、三大回転寿司のうちに入ったのが「根室花まる」「なごやか亭」そして「回転寿しトリトン」である。
トリトンとはなんだい?
回転寿しトリトンは北海道内に14店舗を展開し、更には遠く離れた東京に3店舗(品川・スカイツリー・東武池袋)を展開している。
最初の店舗である三輪店を開業したのが1989年・平成元年のこと。札幌から300km以上も離れた北見に開業してから、北海道内で多くの人々から人気を獲得してきた。
トリトンが提供する寿司やサイドメニューの料金を見てみると、そこまで高くはない印象だ。
玉子握りや甘えびなどは最低価格の130円から提供され、人気のサーモンは220円、炙り焼き天然大穴子は430円という値段。そこまでお高くないでもネタは大きめ、更に全国展開する回転寿司チェーン店の追随を許さないほどに新鮮で美味。高クォリティで安価であることから日本全国・海外からの観光客からも注目される。
そんなトリトンだが、テレビやネットメディアから幾度となく注目されることから、土休日となると北海道・東京の各店舗ではとんでもない行列ができてしまうことも度々あるそうだ。中には数時間待ちという以上な待ち時間が発生することもあり、回転寿司にそんな並ぶの?と思わずにいられない。
ただ、そこまで評価の高い回転寿司を食べてみたいのには変わらないのが人間の性である。
札幌周辺のトリトンは混む
札幌の中心地である札幌駅から直線距離で一番近いトリトンは「北8条光星店」だ。
札幌駅から1km、徒歩で15分程度の所にある。
Googleマップのレビュー件数は1月14日現在で3500件を超えて星4.3という評価を得ている。そんな北8条光星店のレビューを覗き見ると、寿司に関する評価は高いものの行列ができるという評価がチラホラ。
「90分待ち」「日本人と外人の行列」という、店舗へ足が向かなくなるような内容が目に飛び込んでくる。
うーん。札幌駅から近いとこうなってしまうのか。と思い、他店舗に注目してみる。
次に札幌駅から距離にして2.6km、バスで16分、札幌市営地下鉄南北線と東西線の乗り継ぎで約25分という場所に「円山店」がある。ここもまたGoogleマップのレビュー件数は3500件を超え、星4.3。
ここなら混雑はどうだ!?と見てみると「2時間待ちました」「店内予約をして3時間待ち」という文言が見えてくる。
まぁ、2店舗は札幌駅から近いからしょうがないか…と思い、更に他店舗に注目してみる。
地下鉄でアクセスが用意な豊平店や栄町店、水曜どうでしょうの聖地である平岸高台公園が近い平岸店と見ていくが、どれもこれも「1時間以上待ち」「20組が待っていた」「行列が外まで」という文言を自分の眼前に飛び出てくる。
地下鉄の駅から離れている伏古店でさえも「長時間の待ち」というレビューが出現してくるほどだ。
トリトンのなんたる人気っぷり。そしてあり得ない待ち時間。トリトンの人気が上がりすぎて、人が集まりすぎているのだ。店舗に行ってもいないのに、行く気が薄れていく。もうね、僕はねセイコーマートのホットシェフでいいやぁ!と思っていると1店舗だけ気になる店舗を見つけた。
それが手稲店である。
手稲店が良いかもしれんぞ…?
トリトンの店舗を調べていくと、札幌駅周辺からかなり外れた所に1店舗だけ表示された。それが手稲店だった。
手稲店は2023年に開店した新し目の店舗である。
トリトンの各店舗をチェックする際にGoogleマップのレビューが2000件以上付いているのに対して、手稲店は1月14日現在で290件と300件にも達していない。
更に食べログのレビューも80件と少なめである。まだまだ、評価は集まっていないようだ。
もしかして、手稲店は穴場か…?
ということで、手稲店へ向かうことにした。
手稲店へ行こう!
手稲店の最寄り駅はJR北海道・手稲駅。JR函館本線の各駅停車であれば約17分、快速エアポートであれば約11分で到着する。
12月17日火曜日。寒風が強く吹き人々に容赦無くぶつかるJR札幌駅からJR函館本線の小樽方面の電車に乗り込むことにした。時刻は17時頃を目前に控えていた。
札幌駅の3番線ホームに各駅停車の小樽行が停車していて、これに乗り込む。中はかなり暖かく手袋をしていると体が熱くなるほどだった。
車内は多くの人で混雑していた。みんな防寒具を付けていること、ダウンジャケットやコートなどを着ていて着ぶくれしていることもあって、少々窮屈感があった。ただ、琴似・発寒といった駅に到着する度に車内にいる人が冷え切った空気に包まれたホームへ吐き出されていく。
そして手稲駅に到着すると車内にいた乗客の大半がどっと飛び出していき、ホームへ降り改札へ向かっていく。自分もホームに降り立ち、乗っていた車内を振り返り見るとガラガラだった。
それもそのはず、手稲駅は札幌駅・新千歳空港・新札幌駅に次いで4番目にJR北海道で利用者数が多い駅となっている。周辺には札幌市営地下鉄の駅が無いこともあって、多くの利用者がここで降りてバスや徒歩で自宅へ向かっていく。
札幌駅から手稲駅の運賃は切符・ICカード共に340円だ。これを高いと思うか安いと思うかはあなた次第である。
徒歩で向かう
手稲駅の改札を出ると北口・南口と出口があり、北口の北1出口から向かうと非常にアクセスしやすい。北口には隣接するイオンと直結する北2出口というのもあるので、案内をよく見て向かうことをおすすめしたい。
北1出口を出るとロータリーへ出る。そこからトリトンの手稲店へは約700m、歩いて10分程度で到着する。
トリトン手稲店の周辺にはケーキでおなじみのシャトレーゼや喫茶店のコメダ珈琲があるので、これを目印に向かってみるのもいいだろう。
いよいよ到着
歩いて10分。12月の冬空と積もった雪の上を歩き、住宅や病院のそばを抜けていく。すると白地の壁と「回転寿しトリトン」と書かれた大きな看板が現れた。
これが手稲店である。到着した時刻は18時ごろだ。
店内近くにある駐車場に注目すると停車している車が少ない。駐車している車は3台ほどで、人がいるような雰囲気は感じられない。扉近くに行って中へ。店員さんに声を掛けられて、1人であることを伝えると「カウンター席へどうぞ」と言われる。そして、そのまま着席。この間に掛かった時間は1分にも満たない。
他店舗のレビューに書かれていた内容とは想像もしていないほど呆気なく着席したことから、「ここはトリトンじゃない可能性もある・・・?」と変な想像をし始める。ただ、お店の上にあった看板や入口、注文ができるタブレット端末にもトリトンと書かれていた。どうやらトリトンであることには間違いないようだ。
カウンター席が比較的に空いていたから、すぐに着席できたのだろうか?と思い周囲を見渡してみるが、カウンター席は自分以外に誰もおらず、テーブル席にも空席がチラホラとあり、店内は落ち着き払っていて、行列・待ち時間という言葉とはかけ離れていた。
食べる
折角着席できたのだから、躊躇いもなく食事をしよう。ということで、20代後半に突入しておきながら舌は肥えていないので、寿司の初手は「サーモン」そして「マグロ」で行かせてもらった。
到着した寿司のネタがデケェ。皿の直径ほどに伸びるネタ。完全にシャリが隠れてらぁ。サーモンを箸で持ち上げ、醤油に少し浸し、口に運ぶ。
うめぇ・・・
サーモンの脂が口の中でスッと消えていく。身も柔らかく歯で噛んでいる気がしない。
あぁあぁぁぁぁっっウメェだぁ
マグロも同様に口へ運ぶ。
あぁぁぁあっっぁっへぇつぁウメェなぁ、おい!
締まった赤身ながら柔らかく、魚臭さが全くしない。シャリもウメェ。どうして上手いのかわからないけど、シャリもウメェ。
勢いは止まらず、皿が積み重なっていく。寿司を食べている途中で茶碗蒸しも頂く。
卵の甘さ、椎茸の匂い。これが熱々の汁と共に体の中腹へ流れ込んでくる。寒空の下で歩いてきたこの体に染み込んでいく。ウメェなぁ!おい!と思わず叫びたくなる。
勢いが止まらなくなり、揚げ物にも手を出す。イカげそ揚げである。
一本掴むと長いし太い。それを口に運ぶとアッっっっウマい!噛んでないけど、これはウメェやつ!そして噛めば、やっぱウマいっっ!
噛み応えがあり、衣もサクサクで熱々だ。多分、無口で無表情でボリボリボリボリと食べていた。寿司も茶碗蒸しも素晴らしいが、このイカゲソ揚げはかなりのクリーンヒットだった。
寿司に茶碗蒸し、揚げ物まで手を出してしまった。どれも美味しく、腹とお金が許すならずっと食べていたい。そんな気持ちにさえなってしまった。
ごちそうさまでした
食事をしている最中にもお客さんは何人か入ってきたものの、すぐに座席に案内されていく。会計を終えて外へ出るときに再度店内を見渡したが、空席がチラホラ。余裕を感じられた。
今回の手稲店が混雑していなかった要因を推測ではあるが挙げていきたい
- 平日の帰宅ラッシュを避けて店舗に到着したこと
- クリスマスや年末年始といった家族連れが利用しそうな時期を避けていたこと
- 外国人観光客が手稲駅周辺にまで注目していないこと
以上の3点が大きく混雑回避に繋がったと自分自身では思っている。
特に外国人観光客から手稲駅が良くも悪くも注目されていないことが大きいかと思われる。
札幌駅やすすきの周辺を歩いたことがある人はわかるだろうが、外国人観光客が爆発的に増加しているのを肌身で感じる。彼らの行動範囲は主に札幌駅周辺やすすきの周辺であり、わざわざ電車に乗り込み徒歩で寿司を食べに行く。という異端的行動をする人は少ないのかもしれない。
また手稲駅周辺は観光スポットがあるわけではないので、通勤・通学利用が主な駅となっている。加えて地下鉄も無いのですすきのからアクセスしづらい。これが混雑から遠ざけている。
逆に言えば手稲店が空いていることが世間に気づかれ始めると今回のような回避行動が難しくなる可能性は十分に孕んでいると言える。
今回は回避行動が成功したと思えるが、土日となれば話は別であることは十分に理解する必要がある。更に札幌駅と手稲駅を往復680円も掛けてまで食べに行くことは、果たして良しとなるかどうかも考えものだ。
寿司をゆったりと食べるために680円を使うか、それとも1時間以上の混雑を覚悟してでも680円分の寿司を食うか。どれが正解かは人それぞれである。
混雑を回避してでも食いたい部の研究はまだまだ続きそうだ。