みんな、働き過ぎだよ
三脚を買いましてね
最近、カメラの三脚を買った。購入したのはマンフロットのトラベル三脚「Manfrotto Element」だ。
カメラを買って夜景を撮るだなんだとやってきた中で一番重要なのが「手ブレを起こさないこと」であるとやっと気付いた。
手ブレを起こさないためには固定できる三脚が必要だ!と様々な写真関連のサイトが言うのものだから、「流石に三脚を買うかぁ」と思い始めていた。
多種多様な三脚があるわけだが、価格コムで「Manfrotto Element」が人気という表示を見つけた。
耐荷重が4kgでありながら、折りたたみが可能で最小32cm、最長143cmまで伸ばせるという所に惹かれた。バックにも入れられぐらいに小さくなるそうで、「旅行先で三脚を使いたいなぁ」という場面でもコンパクトで重宝しそうだ!と思い立ち購入することに。値段を調べていくと、Amazonで8745円。
Amazonのポイントも十分に溜まっていたので、いわゆる「ポチリ」をした。
というのが、今回の記事の発端である。
Amazonよ、なんで君は不器用なんだ
Amazonを利用したことがある人はわかると思うが、値段表示の下部分を見てみると、最短で届く日時が表示されることが多い。

「Manfrotto Element」の画面でも同様に、最短で届く日時が表示がされていた。
その時の表示が、
「本日中にお届け(X 時間 XX 分以内にご注文の場合)」
という内容だったのだ。
この表示を見た時間はというと、夜の12時。もう日を跨いでいて、世間は眠りに就いて翌日を迎えようか、という時である。
つまりは、「あと数時間以内に買ってくれれば、本日中にあなたの家にお届けしますよ」とAmazonは言うのだ。
私はその画面を見て、「いや別にそこまで速くなくてもいいわ!」とツッコミたくなる気持ちが湧いた。
確かに今日注文して今日自宅に届くというのは非常に便利だ。しかし、必ずしも当日に欲しいわけじゃない。しっかりと届けてくれればいいの。いや、すごい便利なんだけどね?
という思いから、日付指定で受け取ることに決めた。日付指定を選びたいときは以下のような表示を選べば可能なのだが、

私の考えとは裏腹に、画面を推移させると、日時指定が3日先の曜日を表示させている。
どうして・・・?
最速で届けることが出来るのに、日時を決めて届けることには日数が掛かるというのは不可解だ・・・
ゆっくり便というのもあるのはある
最近になってAmazonが取り扱う一部商品に「ゆっくり便」が登場した。
内容としては、商品の配送が通常より数日ほど掛かってしまう代わりに商品代金を割り引くというサービス。
Amazonのライバル企業であるZOZOTOWNやヤフーショッピング、楽天市場でも取り入れられていて、人手不足著しい配送業界にいくばくか余裕を与えるサービスでもある。
そういうサービスがあると知っていると、なんて極端な選択肢なんだ・・・と思わずにいられない。
届くとされる3日後となると、自分は自宅に不在の状態。ならしょうがない。当日配送を選んでみるか・・・
訪れる三脚の時間は?
「注文を確定」ボタンを押して、そのまま一睡。翌日になってメールを確認してみると「注文を承ったことをお知らせいたします」という内容のメールが届いていた。このメールは自動送信なので購入した時刻とほぼ同刻だ。
午前中には発送されるのかなぁ?と思いつつ、日中は仕事に明け暮れているとAmazonから通知が届いた。

内容は「商品が発送されました」という内容のものだ。メールにも同じ内容のものが届いていた。通知が届いた時刻は15時11分だった。
ここで私は疑問を抱いた。果たして当日中に届くのだろうか?ということだ。
自宅周辺は変哲も無い住宅街で、配送センターが近いとか高速道路のインターチェンジが近いとかそういうわけではない。
Amazonの配送センターから自宅まで、ピザの配達のように直通で来てくれるのであれば「当日配送」というのは成立するだろう。ただ、他にもAmazonを利用する人の荷物もあるだろうし、当日の交通渋滞によって状況は変わっていくはずだ。
疑問を抱いたまま時間は過ぎ去っていく。仕事を終えて、18時に差し掛かった。Amazonアプリから配送状況を確認してみると「配達中」という表記が出ている。

18時以前には「お近くの配達店に到着しました」というステータスが表示されていたが、その際の所在地は家から別段近いわけでもない。
その後、19時20時21時と時間が積もっていくが一向に到着する気配がない。アプリから何度も配達状況を見てみるが、「配達中」のステータスを表示させているだけ。
いや別に、「速く届けよ・・・」と苛立っているわけではない。どちらかといえば、「なんか申し訳ねぇなぁ・・・」という気分である。今日欲しいんだよ!とワガママを振りまいているようで申し訳ない・・・
他の配送会社はどうなんだい?
さて、今回の配送はAmazonが直接関与する配送である。以前はクロネコヤマトや佐川急便、日本郵便もAmazonの配送に関与していたが、ここ数年でAmazon自身が自前の物流網を作り上げてきた。
なので、他の配送会社とは異なりAmazonのサービスに特化した配送サービスを作り上げることが出来ており、「当日配送」という突飛なことも出来てしまう。
では、他の配送会社はどのような時間配分で配達をしているのだろうか?
大手配送会社であるクロネコヤマトや佐川急便では配達時間を朝8時から夜21時まで。
ゆうパックを取り扱う日本郵便では午前中から21時ごろとしている。
なので、それ以降となると翌日に配達されることになる。
ただ、Amazonは23時に差し掛かっても「配達中」を表示させたまま。
「いや、もう良いよ・・・休もうよ・・・」と言っても健気に「配達中」という表示を続ける。
眠ろうとは思ったんだ
とうとう日付を跨いだ。注文をした時間から24時間近くが経過。Amazonが表示させていた「当日配送」にはならなかった。しかし、別にそれでいい。ドライバーさんだって人間である。翌日に回してもらったって構わない。今では置き配というサービスもある。適当にボンッと置いていてくれればそれでいいのだ。
自分にも眠気が襲ってきた。布団に潜り込んで、「仕事は嫌だなぁ」と心内で文句を連ねながらスマホを触っていると、窓の外から「ガサガサ」という音が聞こえた。普段は夜中に聞かない音だ。思わず体を硬直させる。
スマホの画面を消し、その音に耳を澄ませる。
「ガサガサ」という音がまた響く。ゆっくりと体を起こし、窓の向こうを見る。しかし、漆黒の闇に包まれていて状況がわからない。
すると「バタン」という音と共に「ブロロロロロ」という低音が響く。エンジン音だ。もしかして・・・
布団から立ち上がり、玄関へ。念の為、スマホでAmazonアプリをチェックする。
注文ページのステータスは「配達中」のままだ。
玄関の扉をゆっくりと開ける。冷え込んだ夜気がするりと室内へ入ってくる。手先の感覚が一気にかじかむほど寒い。視線を下に落とすと、そこに茶色い物体がいた。
おいおい、マジかよ・・・と思っていると、スマホが鳴き出す。見てみると「配達済み」という内容だった。

みんな頑張りすぎ
Amazonが取り扱う配送では、朝7時から22時30分までが配送時間となっているそうだ。
当日配送となると、上記の時間から延長されて23時59分もしくは朝4時から8時までの間に配達されることになるというのだ。当日配送はAmazonプライム会員であれば無料で利用が可能で、自分はプライム会員なので自動で選択されていた。ということだ。
当日配送された三脚に何か不備があったのか?といったそんなことはない。箱に凹みは無かったし、何ら不満はない。

調べてみると、意外と同じような体験をしている人が多いようで一部では「朝5時」に配達されたというものもあったり。
Amazonでは季節毎に大型セールが行われるのが恒例。消費者からしてみれば「安くて、速く到着する」便利なイベントだ。ただ、それを支えてくれているのは「配送会社」の人たち、「ドライバーさん」だ。
共同通信の記事によると、アマゾンジャパンと個人事業主として直接業務委託契約を結ぶ「アマゾンフレックス」の配達員160人にアンケートを行ったところ、「配送中に交通事故を起こしたり、遭ったりしたことがある」と回答したのが4割ほどだったという。
日中帯の配達でも集中力が求められるだろうに、深夜となれば眠気も加わり集中力散漫となってしまう。便利をもっと追求したところでしわ寄せが来るだろうに、この流れを止められないのが現代の問題なのだろうか。
届いた三脚の箱を寝ぼけ眼の状態で見つめる。届いて嬉しいが、今は眠気が優勢だ。そのまま布団へ舞い戻る。
ドライバーさんは夜遅くまで働いて疲れ、消費者は眠くて商品を開けられず。一体誰が得してるのかわからない状態のまま、夜は更けていく。
