今から実家のある秋田に帰るけど、折角のキュンパスだから「寄り道」してから帰ろ 前編

今から実家のある秋田に帰るけど、折角のキュンパスだから「寄り道」してから帰ろ 前編

2025年3月7日

3月上旬。私は実家のある秋田へ帰ることになった。

今回使う切符は少しばかり特徴的だ。平日限定で乗り放題となる「キュンパス」がJR東日本から発売された。内容は全線乗り放題になるというのだから驚きだ。

なら、今回は途中下車なり寄り道をしてから実家に帰ろう。折角の乗り放題。使わないのはもったいない。

東北新幹線と秋田新幹線がブッツんと途切れる前のお話だ。

まず、キュンパスってなんじゃいという話ですわ

さぁ、今日は「キュンパス」のお話である。

しかし、みんながみんなJR東日本管内で生活しているわけではない。キュンパスっちゅうのは一体なんだいな?ということで内容を見ていこう。

JR東日本は2024年12月に「旅せよ平日!JR 東日本は地方への平日旅を後押しします!」という題目でニュースリリースを発表。

様々なオススメ情報が掲載されている中、一際話題となったのが平日限定で利用できるお得な切符「キュンパス」である

JR東日本キュンパス公式サイトより引用

キュンパスの内容は以下の通り。

  • 1日券は1万円、連続2日券は1万8000円
  • 利用期間は2月13日から3月13日までの平日限定
  • JR東日本全線・青い森鉄道線・いわて銀河鉄道線・三陸鉄道線・北越急行線・えちごトキめき鉄道線(直江津~新井間)の普通・快速列車と特急列車等(新幹線を含む)の普通車自由席およびBRTが1日間乗り降り自由
  • 普通車指定席も2回まで利用可能
  • 発売はえきねっとのみ。みどりの窓口、指定席券売機での発売は無し
  • 利用開始日の1ヶ月前から14日前までの発売

なんと、平日限定JR東日本全線と第三セクター路線が乗り放題、更に在来線特急・東北・上越・北陸・秋田・山形新幹線の自由席にも乗れてしまうという切符。

JR東日本ホームページより引用

更に更に普通車指定席を2回まで使えるという魔法のような切符がたったの「1万円」、連続2日券だとちょい安い「1万8000円」で発売されるというのだ。

ただ、1万円で乗り放題!と言われたところでキュンパスはどれだけ安いのかピンとこない人もいるはず。では、新幹線の料金と比較してみよう。

まず、「東京〜新青森」で見てみよう。

えきねっとの検索ページより引用

東京から新青森まで指定席で行く場合は1万7000円だ。キュンパスを使って、東京から青森に行くだけで元が取れてしまうのだ。

では、今回の目的地である秋田まではどれぐらいの料金だろうか。

えきねっとの検索ページより引用

東京から秋田まで指定席の場合、1万8000円。キュンパスを使えば、元が取れてしまうし連続2日券の元さえ取れてしまう。

3月上旬に秋田に帰る自分には最高という言葉以外に表せない。よっしゃ!これを使って秋田まで帰るぞ!

いや、ちょっと待て。確かにその使い方も経済的で理屈としては適っている。ただ、折角の乗り放題だ。寄り道したって追加料金は発生しないのだ。秋田まで一直線で帰るのは少々もったいない・・・・・

ということで今回は「キュンパスの力を利用して、秋田に帰る道中で行ったことがない町に寄り道しまくろう!」という記事である。20代後半男性が貧乏性をぶち撒けてしまった悲しき姿を是非ご覧になっていただきたい。

5:45 ド早朝の東京駅から

キュンパスの力を盛大に傍受するべく、ド早朝から行動することに決めた。

自宅を朝4時に飛び出して、最寄り駅の始発列車に乗り込んだ。車窓から見える空には分厚い雲が広がっていたが、太陽に照らされ始めたからか薄く白み掛かっていた。車内はスーツを着込んだサラリーマンでいっぱい、上着で着膨れした男性に挟まれながら一路東京へ向かった。社会の歯車がこんな早朝から動き出していることに驚嘆しながら、眠りこける。

東京駅の丸の内口から寒風を全身で受け止めつつ、行幸通りから東京駅の駅舎をパシャリ。

まさか東京で雪を見るとはなぁ。という次の日です。

背中に皇居を携えて、キュンパスを利用した実家への帰路につこうではないか。

さて今回の旅行では、秋田駅に20時に到着するのが絶対条件だ。つまり、6時から20時までの約14時間で何処まで詰め込めるかが勝負となる

ということで最初の寄り道先は「長野駅」である。

第一走者 6:16発 かがやき501号 敦賀行

記念すべき第一走者は東京駅を6時16分に発車する「かがやき501号 敦賀行」

朝から発車案内は忙しい。

「秋田に帰るというのに、長野に行くって馬鹿げてんなぁ」と発車案内を見つめながら思う。それにしても、なぜ長野なのか?

20代後半に差し掛かっていながら、一度も長野県に行ったことがない。なので、キュンパスを使って行ってみよう。というのが理由だ。単純すぎる。

「かがやき」は全席指定席。そのため自由席利用は不可能、キュンパスの指定席利用を1回分消費して乗り込む。

車内に入ると外国人観光客が席の大半を埋めていた。席上部にある棚には大型のキャリーバッグが詰め込まれている。それ以外は車内に静けさが広がっていた。かがやき 501号は先発列車の東北新幹線から非常通報が押された影響を受けて約4分ほどの遅れで発車。

朝6時ということで朝食を頂く。折角の新幹線だ。少しばかり奮発して駅弁を購入。みんな大好き「牛肉どまん中」をチョイス。個人的には駅弁の中でナンバーワンだと思っている。

山形県米沢の駅弁でございます。
これが一番ベストでナンバーワンだと思うよ。

大宮の混雑が

かがやき501号は始発駅である東京を出ると、上野・大宮・長野と停車していく。

北陸新幹線が快調に飛ばしていくなか、大宮駅の18番線ホームへ滑り込む。すると、ホームが異様に混雑していることに気付く。長く伸びている人の列だ。

みんななんか疲れているように見えた。

17番線ホームには6時45分発のやまびこ201号 仙台行が発着することになっていた。この行列は自由席に乗り込もうとする人たちによる行列だった。

この列車に乗り込めば、郡山に7時55分、福島に8時09分、仙台には8時44分に到着するので新幹線通勤の人で普段から混雑しているのだろう。それに加えて、キュンパス利用の人も加わっているのも想像できる。

ただ普通の平日であるが、まるで休日・大型連休のような混雑を見せる大宮に驚きを隠せなかった。その人達を憐れみながら、かがやきが発車する。ゆっくりと行列が右へ流れていく。

大宮を発車すると長いトンネルに差し掛かる。ゴォーというくぐもった音が響く。そして、トンネルを抜けきったと思うと家々は雪化粧を纏っていた。

寝ぼけ眼で見たので、「白ぉっ!」と思ったわけだ。

7:36 長野到着

7時36分・長野に到着。車内にいた人の大半が長野で降りていく。自分もその人達に置いていかれまいと付いていく。

長野駅のホームはビビるほど寒いのだ。

ちなみに長野に到着した時の感想は「バカ寒ぃ」である。体を突き抜けようと鋭さのある冷たさが体を覆った。

階段を上がると大きなキャリーバッグを携えた外国人観光客でいっぱい。持っている荷物を見てみると、スノーボードであったりスキーであったりと、これからスキー場へ向かうんだろうなぁという人たちでいっぱいだった。その中をスルスルと合間を縫うように改札へ。

長野駅の善光寺口に出てみると、想像以上にバスの往来が激しい。そして、活気もある。

いやぁ、意外と活気があるなぁと思ったんです。すいません長野市のみなさん・・・

8時00分 善光寺へ出発

人生で初めてやってきた長野駅をこれで終わらすわけにはいかない。しかし、滞在時間は限られている。と、悩んでいる自分にピッタリの観光地がある。長野駅から先にある善光寺だ。

長野駅から歩いて25分、バスで10分程度の所に「善光寺」がある。

善光寺には日本最古の仏像といわれる一光三尊阿弥陀如来を御本尊とし、宗派は問わず、分け隔てなく受け入れてくれるお寺として全国各地から参拝客がやってくる。

身は茲に心は信濃の善光寺 導き給へ弥陀の浄土へ。信州善光寺は、一光三尊阿弥陀如来様を御本尊として創建以来約千四百年の長きに亘り、阿弥陀如来様との結縁の場として民…
www.zenkoji.jp

そんな善光寺はパワースポットとしても有名で厄を払い、ご利益をもたらしてくれるというのだ。この弱小サイトを運営している自分にとって、なんとも有り難いお寺だ。行かないという選択肢はない!ということで、早速向かうことに。

長野駅前のバス乗り場「1番」から善光寺行のバスが発車する。他にも4番乗り場からも「ぐるりん号」という循環バスが発着していて、そのバスからも善光寺へ向かうことが出来る。

長電バスのホームページより引用

長野市内を走る長電バス・アルピコ交通は2025年3月よりSuicaやPASMOといった交通系ICカードが利用できるようになったそうだ。それまで使えるかどうかドギマギしていたが、乗車するときに分かってホッとしたのはここだけの話だ。

乗車したバスは学生さんで埋め尽くされた。どうやら、善光寺より先に学校があるようで車内は都心部の満員電車顔負けの混雑ぶりで、降りる時には「スイマセン、スイマセン・・・」と情けない声を上げて降車した。しかし、こちらは地域にお邪魔している立場だ。これも朝ラッシュ時間特有の光景として受け止める。

善光寺の最寄りバス停は「善光寺大門」で降りる。そうはいっても降り立った瞬間に少しばかり疲れを感じた。

8時30分 善光寺に到着

バス停の前にはこんな立派な建物が出迎えてくれた。

写っているのは御本陳藤屋旅館で現在は「THE FUJIYA GOHONJIN」としてレストラン・結婚式場として営業している。

国宝・善光寺の門前に佇むレストラン&ウェディング会場 藤屋御本陳(THE FUJIYA GOHONJIN)のウェブサイトです。
www.thefujiyagohonjin.com

長野駅から善光寺までの通りを「善光寺表参道」とされていて、その通りには歴史ある建物が連なっている。バスで向かうのも良いが、建物を見ながら進むというのも乙なもの。

善光寺仁王門を通ると善光寺街道へ。

写っているのは仁王像。怖ぁい感じがするが、外国人観光客からすれば映えスポットなようで、女性が前でポーズしていた。

善光寺街道にも様々なお店が並んでいる中、なんとスタバがあった。開店は2020年だそう。

長野限定マグカップというのもあるんだぜ・・・

長野駅前にいたスキー場へ向かう外国人観光客の喧騒は無く、通りをすり抜ける寒風の音だけが境内に広がっていた。

みんな流石に朝はゆっくりとしている。

ただ、所々で菩薩像の前でポーズを決め、スマホで撮るという光景を見ることが多かった。外国人の人からしてみれば見慣れないものだから、そういうこともするんだろうな。日本人が教会の前でピースするのと一緒かぁ・・・?と思ったりもした。

善光寺の本堂は撮影禁止となっていた。内部に入る場合は600円の参拝券を購入する必要がある。本堂内陣、山門、経蔵、史料館がセットになったお得な参拝券もあったりする。

ちなみに、本堂入口付近に券売機が用意されていて、現金はもちろんのこと交通系ICカードや電子マネー、更にはクレジットカード(タッチ決済未対応)で支払うこともできちゃうというハイテクぶり。

本堂には「内陣お戒壇巡り」があり、自分も挑戦してみることに。中へ入ると視界の全てが闇に覆われる。真っ暗闇の中を壁を伝いながら進んでいく。

お戒壇巡りとは?

瑠璃壇床下の真っ暗な回廊を巡り、中程に懸かる「極楽の錠前」に触れることで、錠前の真上におられる絶対秘仏の御本尊様と結縁を果たし、極楽往生の約束をいただく道場です。

善光寺公式サイトより引用

目で見える景色は全くなく、吐息や足と手先の感覚がダイレクトに脳に響く。下手なお化け屋敷より恐怖心が煽られる。

ビームスもあるよ

善光寺の境内には「BEAMS JAPAN ZENKOJI」がある。

ビームスだっぁ!

地域共創型出店プロジェクトとして全国各地にビームスジャパンが出店しており、その5店舗目。

株式会社ビームスのプレスリリース(2024年7月19日 11時21分)長野県善光寺の境内にBEAMS JAPANが7月20日(土)オープン
prtimes.jp

「長野の魅力を知ってほしい」という思いが善光寺とビームスの両者で合致したそう。

善光寺のお守りや御朱印帳が売られている真横にビームスがある。自分はビームス結構好きだが、こうして歴史ある場で見かけると違和感あるんじゃないかしら?と思っていたが、意外と溶け込んでいる。何ならここでしか買えない限定グッズもあるので、お守りよりもどれにするか悩みこんだ。

ちなみに2つ買ってみたりもした。

こちら800円
こちらは1200円でございます。

9時44分 長野市内をぶらつく

善光寺でお参りをした後は表参道を散策しながら歩いていく。すると途中でアーケード街を見つける。

なんか懐かしい感じがするアーケード街

その名も「権堂商店街」だ。ここは長野県唯一の歩行者天国となっているそうだ。

平日の朝。人気はまばら。落ち着いた空気が広がっている中で、とある一角に映画のポスターが並んでいるのを見つける。そして、そこで曲がってみると如何にもな映画館が登場した。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズに出てきそうな映画館

相生座と大きな看板が掲げられているのが特徴的。Wikipediaによれば日本最古級の映画館だそうだ。

昨今のシネマコンプレックスとは異なり古さは否めない。ただ、どこか相生座が発する空気が心地よさを自分にもたらしてくれる。こういう映画館で映画を見たいなぁと思いつつ、制限時間のことを気にしてその場を後にする。

10時10分 長野電鉄 権堂駅

アーケード街を抜けると駅の入口を見つける。その名も「権堂駅」だ。長野電鉄長野線の駅で、長野駅から3つ目の駅。

シンプル・イズ・ベストな駅名標です。

長野電鉄では地方都市では珍しく地下区間が長野〜善光寺下駅まで続き、その区間は全て地下駅となっている。そのため、長野電鉄は地下鉄だ!という人もいれば、いや地下鉄じゃねぇ!という論争もあるんだかないんだか。

長野市に「地下鉄」があることをご存じだろうか。地下化されているのは長野駅から善光寺下駅の少し先までの約2キロの区間だ。人口40万人に満たない長野市で、なぜ地下鉄…
diamond.jp

権堂駅の改札に行ってみると、自動改札機はなく、銀色の改札ボックスがボンと置かれているだけ。

なんか都会で消え去った風景が、綺麗に保存されているような気がしたんだ。

今どき、こんな改札も減ってきたよなぁと改札横にある自動券売機に注目してみると、一部電子マネーが利用できるようになっていた。なんだか時空の歪みを感じた。

ハイテクなのかローテクなのかよくわからんよ。

長野電鉄長野線は湯田中温泉まで線路が伸びている。行ってみたいなぁ、と思いつつここも後ろ髪を引かれるかのように後にする。

運賃はそこまで高い感じはしないかなぁ?

第二走者 11:28発 あさま614号 東京行

長野駅前に帰還。東京からやってきて、3時間近くの滞在で去ることになる。なんだか惜しい気もするが今回は「実家の秋田に帰る道中の寄り道」だ。長野が最終目的地ではないのだ。

朝の混雑は風に飛ばされたかのように落ち着きが広がっている。

駅前にはあった混雑はすっかりなくなっていた。ただ、長野駅の改札前に行くと、あら不思議。長蛇の列。

何を求めてみどりの窓口に並んでんだ・・・?

これは一体なんだね?と思って先を見てみると、みどりの窓口の行列だった。並んでいる人たちの殆どが外国人観光客だ。スキーシーズンとなれば、長野駅は毎日こんな感じなのだろうか。そう思うと、係員さんお疲れ様です・・・と思わずにいられない。

さて、次なる目的地へ目指すべく「あさま614号」へ乗り込もう。この新幹線は東京まで多くの駅に停車する種別で走る。

ちなみに右隣は「かがやき」で外国人観光客で占められていた。

しかし、この時点で次なる目的地で滞在できる時間が「とても短い」ことを、20代後半男性は気づいていない。


ということで、後編は↓からどうぞです。

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これは東北新幹線と秋田新幹線がブッツんと途切れる前のお話だ。 秋田に帰るというのに、何故か「人生で一度も行ったことがないから」というしょうもない理由で逆方向の長…
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