これは東北新幹線と秋田新幹線がブッツんと途切れる前のお話だ。
秋田に帰るというのに、何故か「人生で一度も行ったことがないから」というしょうもない理由で逆方向の長野へ向かった。
たった4時間弱という滞在時間で長野を発ち、次なる目的地へ向かおうとしている。しかし、20代後半男性は次なる目的地での滞在時間が非常に短いことに気づいていない。
目次
第二走者 11:28発 あさま614号 東京行

「あさま」は12両編成で指定席・グリーン車と自由席がある。キュンパスの効力である自由席利用で乗車する。

この新幹線は長野始発のため、20分前には入線していて15分ほど前で乗車できるようになっていた。ホーム上にはキュンパス利用の人でごった返しているかなと身構えていたが、普通に窓側の席を確保することに成功した。もしかしたら、キュンパス利用者の殆どが東北方面を向いているのかもしれない。

車窓から呆気なく「ながの」と書かれた駅名標が流れていく。たった4時間弱。あまりにも短い初めての長野であった。
さて、次なる目的地は一体どこか。それは、
上越新幹線の越後湯沢駅である。
越後湯沢駅は山に囲まれている駅であり、周辺にスキー場や温泉施設が集まっている場所でもある。
なぜここに行くのか?理由はまたもや「人生で一度も行ったことがないから」である。単純すぎる。もっと意味合いのある行動をしろよ。だから、彼女が出来ないんじゃないだろうか、と自分自身に思ってしまう。
いや、それ以外にも行きたい理由というのは存在する。
それは、越後湯沢駅には温泉があるのだ。
新潟の日本酒を多く取り扱う物産館・ぽんしゅ館に温泉がある。なんと駅の改札からほぼ直結であり、駅構内に温泉があるといってもいい。この温泉に入ってみたい!
長野駅で北陸新幹線・あさまに乗って、途中の高崎駅で新潟方面の上越新幹線に乗り換える。
長野駅を11時28分に出発し、12時19分に高崎着。その8分後に上越新幹線のとき319号に乗り換える。そして、越後湯沢駅には12時58分に到着する。
12:20 高崎付近で気付く
長野を発った後、越後湯沢駅には12時58分に到着することはわかった。その後、越後湯沢駅を何分滞在できるか調べてみることに。
すると越後湯沢駅の東京方面へ向かう新幹線が13時台は13時13分だけ、1本のみということに気付く。じゃあ、次の14時代にするかぁ〜と思っていると秋田に20時到着が出来ないということが判明する。

つまり、
越後湯沢駅には12時59分到着→13時13分発・東京行の新幹線に飛び乗る必要がある。
滞在時間は14分のみ。15分も無い。カップヌードルは4つまでしか作れない。
ということに気づいた。
14分で温泉は入れない。
・・・・・・
まぁ、でも10分あれば足湯とか日本酒ぐらいは買えるっしょ!
と頭ポンチな状態で向かうことにした。
第三走者 12時27分発 とき319号 新潟行
東京行のあさまを降りて、そのまま向かい側のホームで新潟行の新幹線を待つことに。高崎駅は長野駅の喧騒とは違い落ち着いていた。ホームで皆、静かに新幹線が到着するのを待っている。

これからどうしようかなぁ〜と考えていると、ふと頭上の乗車案内を見上げる。
発車時刻が違う・・・
向こう側のホームを見遣る。すると接近放送が流れている。よく聞いてみると、「12時27分発」と言っている・・・・

間違えた!
心打はとても慌てふためきたい思いで一杯だ。ただ、小心者の私。ここで駆け足でホームを抜けていけば、「あ、あの人。待ってるホーム間違えたんだ〜プークスクス〜」と思われてしまう。それだけは嫌だ!と思い、少しばかり早足で進んでいく。
心臓はバクバクだ。ここで逃せば計画が全て水の泡だ!
階段を降りて、構内を抜けていく。そして、新潟方面の階段へ上がると新幹線が到着しかけていた。発車ベルは鳴っていないので、駆け込み乗車ではない・・・はず。

フーフーと荒れる息を周りに聞かれないように落ち着いた素振りを必死に見せる。車内へ入ると座席の殆どが埋まっていた。

越後湯沢駅の滞在時間は10分程度しかないのだから、ごみごみした空間にいるよりもそのまま東京へ向かったほうが良かったのかもしれない。
12:59 越後湯沢に到着→第四走者 13:13発 とき320号 東京行
越後湯沢に到着。ここから14分後の東京行きに乗車する。なので、ホーム上で撮影している余裕なんてなく、そのまま改札へ吸い込まれていく。

温泉は・・・当然のごとく諦めた。流石に数分で湯船に入り、体を乾かして・・・なんてことはできない。その代わり、西口に足湯があるという情報を得た。
雪の壁が出来上がっているところに、天に上る湯気。足湯だ・・・

さぁ!入るぞ!と思ったその刹那。重要なことに気付く。
タオルがNOTHING・・・
ビッグミスである。ただ、足湯に近づいておいて、くるりと踵を返すわけにもいかない。うーん。

指先をチャプ。
足湯に指先をお湯に浸らせる。それで終了である。
隣に座っていた女性はこちらを訝しんでいた。当然である。急ぎ足で近づいてきたなぁ・・・と思ったら、指先だけお湯に浸らせて、テクテクと去っていく。あまりにも不審者、THIS IS 不審者である。
しかし、越後湯沢にやってきてやりたかったことである「温泉」を楽しめたのには代わりない。なに?温泉じゃねぇだろって?・・・まぁ、まぁ、まぁ・・・
続いて、日本酒を買おう。なのだが、下記の画像をご覧いただきたい。ありえないほどに種類がある。これだ!と手に取ろうとすると「9000円」だったりする。

あー、高いぃぃ!
諦めた。
さぁ、時刻は13時である。昼時である。腹が減っているのである。ご飯物を入手したい。その思いが一気に募る。周辺を見渡すと大量のお土産類が転がっている。
のだが、どれを見てもお土産、お土産、お土産。弁当類が一つも無い。
そうだ。越後湯沢について調べてみて、どうやら立食いそばを提供しているところがあったのを思い出した。
足早に構内を見て回る。すると、あった!

そして、店舗を見てみれば弁当類も発売しているとの表記が!やったぞ!さぁ、その弁当類は券売機で食券を購入する必要があるようだ。

弁当類の全てに「X」の表示。なんでだ!
MAITTA・・・どうしたもんか・・・また構内をうろちょろしていると、ニューデイズの前に駅弁の文字。

あった!中身はよく見てないけど買うか!
さぁ、時間はというと「13時09分」である。あと4分で東京行が来る。
エスカレーターを上がりホームへ。自由席の列が形成されていて、その後ろに並ぶ。ホッとした1分後に新幹線がホームに滑り込む。

これで初越後湯沢は終了である。しょうもなさすぎる滞在であった。
ちなみに購入した駅弁はというと「牛~っとコシヒカリ」である。朝食に食べた「牛肉どまん中」と似たような弁当をチョイスしてしまった。


第五走者 15:00発 やまびこ143号 仙台行
東京に到着。上越新幹線の車内を撮影することを忘れるほど、眠りこけた。

朝6時以来、9時間ぶりに東京へ帰ってきた。実家に帰るっちゅうのに、その間に長野→新潟に行っていることがあまりにもバカバカしく思えて、そして疲れた。いくら便利な新幹線といえど9時間の移動は体に疲労をもたらしたようだ。
ここからいよいよ本格的に実家へ帰ることになる。東北新幹線に乗り込んで、向かう先は仙台だ。
やまびこには自由席がある。結構な人が利用するかもなぁ、と思っていたが、まぁ時間が時間なのでまばらだ。

東京を15時に発車すると、仙台には17時05分に到着。約2時間5分の移動だ。ちなみに、快速タイプの「はやぶさ」だと1時間30分で到着する。
15時丁度でもう少しで帰宅ラッシュが始まろうか、という東京駅を脱出する。途中では、まさかこの数日後に東北新幹線と秋田新幹線の連結が離れる現場になろうとは思ってもいない西日暮里を通過した。

16:00 愚痴る
疲れてきた。うん。疲れてきた。
高速で流れ行く町。高速で侵入するトンネル。高速のトンネルの闇で映し出される醜い自分の顔。なんだか、疲れてきた。うん。疲れてきた。

景色を眺めようと思うとトンネルの中へ。トンネルの中に入ったならスマホでも触るか・・・と思うと電波は繋がりにくい。ならしょうがない、景色を見るかと思い車窓を見れば暗闇の中。

疲れただぁあっ!
17:05 仙台に到着
正直なところ、越後湯沢がいらなかったな。と思いつつ、仙台駅に到着。新幹線に長く乗ってみたいなぁと中学生の時には思っていたが、10時間近く移動し続けると「もう良いっすわ!」と思ってしまう。

さて、仙台にやってきた理由はなんだろうか。仙台は2024年の9月頃にも訪れている。なので、目新しさなどは全く無い。それでもやってきた理由は、
萩の月を買うこと。
である。うん?なんだよ、しょうもねぇと思っただろ・・・萩の月うまいじゃん・・・
ということで萩の月を買うため、改札を出る。
萩の月って色々種類があるんだぜ!
萩の月は仙台の銘菓である。多くの人が購入したことがあるだろうし、多くの人が食したこともあるはずだ。
そんな萩の月だが、6個入で1500円。なかなかお高い商品である。

10個入となればどうだろう。

2500円。お土産にしてみるとお高いという印象は拭えない。
そんな萩の月に別バージョン的なのが存在する。それは、「簡易箱バージョン」である。
通常の萩の月は個包装且つ個箱で入っている。それが簡易箱バージョンだと1箱に萩の月が詰められているだけというもの。

簡易箱バージョンで10個入りは2062円。通常の10個入りより約500円ほど安いのだ。
ということで、それを今回買いに来たということだ。

ちなみに東京都内にある宮城県のアンテナショップや一部百貨店でも取り扱っているという情報も無くはないが、今回はそちらは取り扱わない。
もし本当だったら、仙台で下車した意味はほぼ皆無になるからさ!
第六走者 17:53発 こまち35号 秋田行
さぁ、いよいよ秋田に帰るぞ。長いようで長かった「キュンパス」の旅もこれが最終走者だ。

この秋田新幹線に乗り込めば、20時12分に秋田に到着する。
仙台駅から秋田まで直通する秋田新幹線は1時間に1本程度しか走っていない。そのため、これを逃せば強制的に1時間待ちとなり、20時到着というルールは完遂できない。
それもあって、東北新幹線系統の中でも利用客が密集しやすく、どの時間に乗っても混雑している印象が秋田新幹線にはある。車内の空席は殆どないまま、仙台駅を発車。盛岡に到着以降じゃないと空席はなかなか発生しないというのも秋田新幹線の特徴だ。
さて、連結器が離れてしまったという問題がこの数日後に発生するが、盛岡で混雑しているというニュースをちらほらと見かける。
キュンパス利用者が多いからという理由以外に「秋田新幹線の利用者が普段から多い」という現れと思える。何も無い平日の昼間に秋田新幹線に乗り込むとなんやかんや乗ってんなぁと思うほどには席が埋まっていることもしばしば。
秋田〜東京の直通というのはそれだけ便利で重宝されていることなんだろう。
さて、この区間での写真は一つもない。それはなぜか。「車窓を捉えた所で、何も見えねぇんだ」という理由だ。
盛岡を出ると田沢湖線に入り込んで、秋田新幹線は終着の秋田へ向かう。その車窓が真っ暗闇なのだ。何にも見えない。山間部をゆっくりと抜けていくし、かといって町中に差し掛かったと思えば街灯は少ないわ、人はいないわという三重苦。
車窓から見えるのは醜い顔をした20代後半男性のみだ。ここが改善されれば、秋田新幹線の夜は楽しい旅になると思うんだが無理な話でもある。
20:12 秋田に到着
いやもう見飽きたよという駅名標が頭上に浮かんでら。

何も感想が浮かばない。「楽しかった〜!」と感激の声を上げることもできない。ただただ、自分の身体が追いついていない。
ちなみに秋田駅前の改札を出ると、クソデカなまはげとクソデカ秋田犬が出迎えてくれる。


あと、スタバは2つあるし、なぜかロッテリアもあるので時間潰しには困らないはずだ。
結局キュンパスで「もとは取れたのか」?
さて、今回の企画では「JR東日本全線と新幹線の自由席が乗り放題になるから、色々と寄り道しよう!」というテーマでお送りしたわけだ。
では自分が移動しまくった経路だと本来掛かる料金はいくらぐらいだったのか?という計算をしてからお別れとしたい。
自分は合計で5つ(長野→高崎→越後湯沢は通しとする)の移動を新幹線にて乗車した。その内2回を指定席で乗車している。では、以下の表で料金をまとめてみよう。
利用区間 | 運賃 | 特急料金 | 合計 |
東京→長野(指定席利用) | 4070円 | 4270円 | 8340円 |
長野→高崎→越後湯沢 | 3740円 | 長野→高崎 2640円 高崎→越後湯沢 1870円 | 8250円 |
越後湯沢→東京 | 3410円 | 2850円 | 6260円 |
東京→仙台 | 6050円 | 5040円 | 11090円 |
仙台→秋田(指定席利用) | 5500円 | 4960円 | 10460円 |
総計 | 22770円 | 21630円 | 44400円 |
上記の運賃・料金は切符での購入を想定した合計金額である。えきねっとの早割サービスを利用するともっと安くなることはご承知願いたい。
それを踏まえた上で料金を見てみると、44400円もの料金が掛かっているとは想定もしていなかった。越後湯沢の滞在が15分にも満たなかったことを考えれば、かなり贅沢な使い方をしている。それをたった1万円ポッキリで賄えてしまった。それだけ2月・3月上旬の時期は閑散も閑散という時期なのだろうか。
個人的には平日限定で通年販売してほしいなぁ・・・とワガママを言ってしまいそうになるが、それを続けると他の所にしわ寄せが来ることは容易に想像できる。
実際に東北新幹線と秋田新幹線・山形新幹線の連結が出来ないという問題がキュンパス利用時期と被ったことで、JR東日本は「お得な切符の利用者をどうするか」という、本来なら相手にする必要のない人まで相手にする面倒も発生している。
そうなると、週末パスの廃止といったお得な切符が少なくなっている現状は、今日のような面倒事を回避するためにも致し方ない部分でもあるのかなぁ・・・?と思わずにいられない。
無くなるなんていやだ!と叫ぶよりも、こういう切符を使って多く旅行したなぁと胸に秘められるような人間でありたい。と暖房の効かない実家の自室で思うのである。