プロ野球のSNS投稿ルールをガチガチに守った観戦記

プロ野球のSNS投稿ルールをガチガチに守った観戦記

試合中の画像・動画はSNSに投稿できなくなる

2024年の9月頃、日本野球機構・NPBはプロ野球観戦時における写真・動画の投稿に関して新たなルールを発表。適用は2025年シーズンよりとされた。

日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト。プロ野球12球団の試合日程・結果や予告先発、ドラフト会議をはじめ、事業・振興に関する情報を掲載。また、オールスター・ゲ…
npb.jp

この記事を投稿している時点でオープン戦が行われており、既にルールが適用されている状態だ。

【NHK】プロ野球を球場で観戦し、プレー中の写真や動画をSNSに投稿。こんな野球観戦の楽しみ方が今シーズンから制限されます。NPB…
www3.nhk.or.jp

今回のルール改定によって一番重要なことは、

「写真・動画の撮影自体はOK」ということ。試合前の練習から試合後のヒーローインタビューまでどれを撮影しても問題はない。そして家族や友人などに送っても構わない。というのをNPB側は明らかにしている。

そこから更に踏み込んだ所が制限されることになった。
それは「プレー中の選手を撮影した画像・動画をSNSに投稿する」ことが制限される

つまりは、TwitterないしX、InstagramやYouTubeといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や当サイトのようなブログサイトに投稿することは禁止ということ

またSNSの機能で非公開設定・鍵アカウントにしていても「SNS上に投稿」という行為自体が禁止なので、鍵アカウントであっても駄目ということになる。

ちなみに、動画に関して「140秒以上」のものはプレーに関係なく禁止と規定されている

また、売り子さんやチアリーダーといった人を撮影し無断で公開すること自体は迷惑行為であり、規制どころの話ではない。

更にテレビやインターネット上の試合中継を切り抜いて公開する行為は「著作権侵害」に当たるので今回の規制以前の問題であることは認識しておきたいところだ。

試合中でも投稿できるタイミングがある

NPBは以下の表を作成し、ホームページ上で公開している。

NPB/公式ホームページより引用。

NPBが定めた撮影のルールでは、ボールインプレイ中の投稿・配信は禁止としているが、ボールデッド中であれば投稿・配信が許される(140秒以上の動画は禁止)ことになっている。

その前に、ボールインプレイとボールデッドってなんぞや?となる人もいるはずだ。

NPBはボールインプレイを以下のように定義している。

公認野球規則で定める定義に従い、球審による“プレイ”宣告後から、規定によってボールデッドとなるか、または審判員が“タイム”を宣告して試合を停止するまでをいう。

「分かりやすく表現しろよ」と思ってしまいそうだが、球審が「プレー!」と言った以降の画像・動画の投稿は禁止されるが、試合が停止された以降の画像・動画の投稿は許可されるということになる。

バカバカしいったらありゃしねぇ。というような気持ちになるがNPB側が定めたならしょうがない。

ここで重要なのはボールデッド=アウトが成立した瞬間ではないことにある。

例えば、ランナーがいる状況下でフライアウトになったとしてもランナーにはタッチアップといった進塁が行われる可能性もある。なので、どうしても撮影したい人は審判が「タイム」もしくはプレーが停止した状態かどうか見極める必要がある。

じゃあリクエストされたプレーはボールインプレイなのか、それともボールデッドなのか

日本プロ野球ではビデオ判定・リクエストを導入している。

ボールデッドになった後の画像・動画は投稿しても良いんですね!なら、監督がリクエスト(ビデオ判定)を要求した際に球場内のビジョンに映し出されたのを写しても問題は無いんですよね!

なんて屁理屈も屁理屈を思いついたが、これは判断がわかれるかもなぁ・・・と思う。

ビジョンに映し出されているものはボールインプレイのものだし、ボールデッドになったとしても「判定が保留」されている状態であり、「プレーが成立していない=ボールインプレイ」ですよねと突っ込まれる可能性もある。

なんか自分で思いついてあれだが、試合中のプレーを撮影すること自体がアウト。という判断にこれから成り得るかもしれない。

他のプロスポーツはどうなんだい?

なんだか時代錯誤な規制だなぁと思わずにいられないが、じゃあ他のプロスポーツはどうなんだいという話になる。

サッカーのプロリーグ・Jリーグはどうだろうか。

Jリーグ公式試合では、以下に定めるルールの範囲内でインターネット上に写真や動画を投稿して頂けるようになりました。ご来場の皆様には是非、写真・動画をSNSに投稿し…
www.jleague.jp

Jリーグは以下のようにガイドラインを制定している。

< 写真 >

公式試合全ての試合の試合会場で、投稿者ご本人様が撮影した写真

< 動画 >

公式試合全ての試合会場で、投稿者ご本人様が撮影した動画

ただし、以下の2つの場合は除きます

(1)試合開始(前半キックオフ)から試合終了(後半終了)までの間(ハーフタイムは除く)にピッチ上を撮影した映像

(2)時間を問わず、試合日当日にスタジアム内に設置された大型映像装置において放映された試合の映像(ハイライト映像も含む)を撮影した映像

Jリーグ・公式ホームページより引用

試合中であっても写真撮影、撮影した画像を公開することはOK動画だと試合中はNGだが、それ以外であればOK。ということになっている。

バスケットボールのプロリーグ・Bリーグは如何ほどか。

B.LEAGUEの「写真・動画の撮影ガイドライン」をご紹介。男子プロバスケットボールリーグ、B.LEAGUE(Bリーグ)。
www.bleague.jp

Bリーグは以下の内容を許諾している。Bリーグではコート上とコート外の2つに撮影範囲を分類している。

Bリーグの公式ホームページより引用

写真の撮影とSNS投稿
来場者ご本人様が“写真”を撮影しSNSおよびインターネットへ投稿し公開すること

15秒以内の動画撮影とSNS投稿
来場者ご本人様が“コート上”の15秒以内の動画を撮影し、SNSおよびインターネットへ投稿し公開すること
※1つの動画の中で、コート上15秒以内の動画の使用は1回まで

動画撮影とSNS投稿

来場者ご本人様が“コート外”の動画を撮影し、SNS およびインターネットへ投稿し公開すること
※時間制限なし

Bリーグの公式ホームページより引用

Bリーグはコート上の映像を「15秒以内」であれば許諾している。つまりは、プレーを一般の人が公開し15秒以内であれば何ら問題がない。

これ以外にバレーボール・Vリーグでも撮影マナーに関するガイドラインを定めていて、1セット当たり1ラリーまでの範囲内ならSNSなどに掲載しても良いとされている。

MLBはどうなんだい?

他のプロスポーツも気になるが、野球の最高峰リーグであるMLBはどうなんだいということになる。

MLBでは各球団・球場ごとにルールが設けられているようで、リーグ全体としてガイドラインが制定されているわけではないようだ。

では、代表例としてニューヨーク・ヤンキースの本拠地であるヤンキースタジアムではどんなルールになっているのだろうか。

The Official Site of Major League Baseball
www.mlb.com

Cameras and Video Equipment

Single-frame flash photography is permitted as are extended-length zoom lenses provided they do not interfere with the game or event or other Guests’ enjoyment of the game or event. Mono/tripods, other professional camera equipment, video cameras and any other equipment designed for the sole purpose of video and/or audio recording are not permitted. Guests are not permitted to transmit and/or stream or aid in transmitting and/or streaming any account, description, picture, video, audio, reproduction or other information about any games or events. Any Guests attempting to do so face immediate ejection and/or revocation of season tickets and/or future ticket privileges without refund.

ということになっているようだ。いや、流石に英語では分かりづらい。Google翻訳で日本語に翻訳してみよう。

カメラとビデオ機器

シングルフレームフラッシュ撮影は、ゲームやイベント、または他のゲストのゲームやイベントの楽しみを妨げない限り、延長ズームレンズと同様に許可されます。モノ/三脚、その他のプロ用カメラ機器、ビデオカメラ、およびビデオやオーディオの録音のみを目的として設計されたその他の機器は許可されません。ゲストは、ゲームやイベントに関する説明、説明、画像、ビデオ、オーディオ、複製、またはその他の情報を送信またはストリーミングしたり、送信またはストリーミングを支援したりすることはできません。これを試みるゲストは、即時退場、またはシーズンチケットまたは将来のチケット特典の払い戻しなしで取り消されます。

なんだか分かるようでわからない文章だ。

試合やイベントの妨げにならないなら撮影は許可される。しかし、試合やイベントの画像やビデオなどをストリーミング(配信)した場合には退場やそれ以上の罰則がある。ということのようだ。

ちなみに、持ち込み品の中には「ビデオカメラ」「プロ用カメラ機器」「ノートパソコン」が禁止されている。

ただ、SNSでMLBの動画は普通に公開されているしMLB公式が取り上げる場合もある。

ファンによる撮影が日常化しているし、それによってMLB側が受ける恩恵もあり、バランスが取れている状態なのだろうか。

果たして良いのか悪いのか

NPB側が定めたルールは他のプロスポーツと比べると、厳しさが滲み出ている。

ルールを定める背景には、プロ野球の映像・画像を使って利益を得るような行為が散見されているからというのもあるそうだ。

確かにそれを看過すると歯止めが効かなくなるのは理解できる。しかし、ファンへの説明もなく一方的な感じがする。

それ以前にNPBはインターネット上の影響力を過小評価しているのかなぁと個人的には思う

NPBはインターネット上での露出が球団任せな状態が続いていて、海外での露出も全くと言っていいほど進んでいない。

WBCで世界一を奪取して、MLBでは多くの日本人プレーヤーが活躍し、世界の野球ファンから注目されているNPBが未だに海外の野球ファンに映像を提供する環境を構築していない。国際的発展が進んでいないのは、意図的なのか。それとも無策なだけなのか。世界ナンバーワンのチームを生み出したリーグがクローズドのままというのは高等な冗談に聞こえる。

更には日本国内向けもそうだ。Xの公式アカウントを覗き見れば、110万人のフォロワーがいるアカウントとは思えないほど、電報かよってほどに文字ばかりが並ぶポスト。

MLBのSNS運用とは天と地の差だ。

レギュラーシーズンではNPB公式が動画を公開しないため、その役目はプロ野球を配信するDAZNが担っている部分もある。

でも、広島カープの放映権は無いので広島のプレー動画に関してはDAZNは取り上げられず、その代わりに違法アップロードが横行する始末。

普通、それは公式がやることじゃないのかい?と皆が思っても、動きは何年も無い。

様々な疑問や不満が見えているが、放置されたまま。でも、NPB側がそれで良いというのならしょうがない。露出が減ってもファンは付いてきてくれると思っているのなら、それはしょうがないことだ。