そう!あの「バナナボート」ですよ!
秋田に何が有るっていうんですか?
職場には東北出身の人間が自分以外にいない。なので、時たま「来月、東北に旅行行くんですよ」と話しかけてもらえることがある。その会話で次いで出てくるのが、「秋田にも行こうと思うんですけど、行ったほうが良い場所とかあります?」と聞かれる。
私は聞かれるたびに決まって言うのだ。
「秋田に行った所で、何も無ぇっすよ・・・?」
ここからは私の偏見であることをご承知おきたい。
幼少期から小学校、中学校、高校と18年の全てを秋田で過ごしてきた自分からしてみれば、遊ぶ場所なんて殆ど無かった思い出しか無い。
映画館なんて無いし、テレビのチャンネルはNHKと民放3局のみ。中高生の遊び場に成り得るラウンドワンは秋田市内の1店舗のみ。こんなツマラナイ空間に彩りを加えてくれたのは、イオンとTSUTAYAとゲオとBS放送の深夜アニメぐらいだった。
映画好きの自分からしてみれば↓は少々きつい。
いや、ここで冷静になろう。これは中高生の視点であり、面白みもない社会人になって東京近郊で暮らすようになった自分なら、秋田の魅力を再発見できているはずだ。
人混み、コンクリートジャングルの大都会から一歩離れて秋田へ再訪すれば魅力は自ずとわかるはず。
と思っても、秋田新幹線に乗り込んで秋田へ行けば見えるのは田んぼ田んぼ田んぼ。隠し味に軽トラック。そして、寂れた駅前。
いやぁっ!なんにも無いわ!
と再認識しちゃうのだ。
いやいや駅前が廃れているのは地方の問題であって、秋田が異様に廃れているわけじゃないよ・・・?と自己修正しそうになるが、車に乗り込んで見えるのは山山山樹木樹木空き家ぐらいである。もはや樹木希林である(?)。
寂れてしまってしょうがないそんな所へ行くというの?そんな秋田に行くというんですか?という思いが募ってしまい、あまりにも奇天烈に思えるのだ。
ただ、そこからまた話が進んでいく。
「行くところは無くても、秋田の食事はうまいでしょ?」
あーまぁ。とここで唸ってしまう。
確かに食事面では東京近郊には無いものがある。ような、ようなですよ?そんな気がする。
ここ最近では卵の販売価格が非常に高騰したのが記憶に新しい。近所のスーパーに行けば、卵1パック10個入りで税込み280円だ。それ以外の選択肢が無いのでしょうがない。と受け止めようとしていた所、秋田のスーパーに行くとお値段は230円と来た。
生鮮食品も関東近郊より1割方安い、ような気がする。そして新鮮さもある、ような気がする。
いや、これ秋田の物価事情だは。ぜんぜん食事に関して言えば、秋田に魅力さを感じてねぇ。これは生活の違いで生まれる魅力であり、観光の魅力にはならない。
「秋田で食べていた物の中でこれが美味かったなぁみたいなの無いですか?」
うーん。と唸ってしまう。
名物の「きりたんぽ」はあまり好きじゃない。比内地鶏とかも、あまり食べた覚えがない。稲庭うどんは美味いけどまぁ普通。
うーん。
と、皺の足りない脳みそで過去の記憶を振り返ってみると1つの食べ物が浮かんだ。
「あっ、バナナボート」
聞いてくれた職場の人は「マリンスポーツ?」と首を傾げる。
バナナボートっちゅうのはね?
いわずもがな、今回は海で見かける「バナナボート」ではなく、
アメリカが使っていたバナナ貿易のボート「バナナボート」でもなく、
秋田県内で流通しているスイーツ「バナナボート」の紹介である。
秋田県のたけや製パンが製造するスイーツで、秋田県内のスーパーだと必ずと言っていいほどに取り扱われている商品だ。

早速パッケージを見てみよう。バナナボートは金色で書かれていて、その下には南国をイメージしているのでヤシの木の絵が。
裏面を返してみるとカロリーが。316kcalだそうだ。このカロリーは高いのか低いのか。小腹が空いたら食べたくなるマクドナルドのポテトMサイズのカロリーは409kcalだそう。まぁ、高いか。

袋をオープンザ・プライスして、中身を取り出す。バナナは完全にふわふわとしたスポンジ生地に覆われていて、中身は伺えない。

切ってみよう。

やっと中身が見えたぞ。スポンジ生地、更には白いホイップクリームに包まれたバナナがいらっしゃる。
食べてみると、大きさの割にふわふわとしているのが特徴。それもあって、パクパクと食べ進んでしまいすぐに無くなってしまうのだ・・・
秋田で生活していた際の記憶ではっきりと「ローカルフードを食べていた」記憶としては、このバナナボートが一番だ。おやつとして何度も食ってきた。このバナナボート以外に秋田のローカルフードがあまり思い当たるものがない。
そして、秋田の庶民的ローカルフードとして唯一おすすめできるのが「バナナボート」のような気がする。
さて、前述の通りこのバナナボートは秋田県内のスーパーならどこでも取り扱っている。
秋田県内のイオン系列の店舗、ローカルスーパー(いとく、ナイス、グランマート、テラタ、ドジャース(野球じゃないよ)、マルダイ)なら確実に取り扱っているので、もし秋田に行く機会があったら買ってみるのもおすすめ!
お値段は130円ほどで買えてしまうので、県内の移動にもってこい!
今回紹介しているバナナボート以外にも「チョコレート味」や派生商品「フルーツボート」なんてのもあるぞ!
みんなも買ってみてねぇ!
なんだよ
言わんとすることはわかる。職場の人からも言われたのだ。
「いや、これ『まるごとバナナ』じゃん!」
大手パンメーカー・山崎製パンは「まるごとバナナ」を全国展開している。まるごとバナナはスポンジ生地でホイップクリームとバナナを包んでいる商品だ。
いや、ちょっと違うんですよ。と職場の人に言うのも憚れるほどに似ている。
冷静に見てみると、まぁ、ほぼ一緒なんだよなぁ。似ているというレベルを超えているんだよなぁ。と思わずにいられない。
では、どれだけバナナボートとまるごとバナナが似ているのか。少し見ていこう。
まるごとバナナのパッケージはご覧の通り。バナナボートは袋で密閉されているような状態だったが、まるごとバナナは両サイドを捻って密閉。ここが大きな違い。

春のパン祭りの点数は「2点」である。
まるごとバナナを取り出してみると、スポンジ生地のつなぎ目が上に来るような包み方をしている。バナナボートは餃子的、まるごとバナナはシュウマイ的な包み方。

両サイドからはクリームがはみ出ていて、クリームの多さを表現しているように伺える。対して、バナナボートはクリーム・バナナの全てを包むこむような生地で、コンパクトさを感じる。
切断面に注目。

ここは・・・あまり違いを感じない。
食感もバナナボートとあまり変わりはない・・・
秋田のパン事情
まぁ、スポンジ生地で何かを包んでいる食べ物はどれもこれも似通ってしまうもの。とはいえ、似たコンセプトな商品が名前も異なっている状態で発売しているのは一体どんな要件だ!と思ってしまいそうだ。
更には、まるごとバナナは秋田であまり発売していない。というか、殆どバナナボートがその位置に居座っている。一体どうして?
ということで、ここからは秋田のパン事情だ。
秋田県内に訪れた時、もしスーパーマーケットに行ってみる機会があればパンコーナーに注目してみてほしい。パンコーナーの多くに「たけや製パン」という会社のパンが陳列されているはずだ。
このたけや製パンは1951年に秋田県内で創業。その後、秋田県内の大手パンメーカーとして成長を続けていく最中で1960年代では山崎製パンが勢力を拡大。全国統一と言わんばかりに全国各地に自社工場を展開し始めていく。
東北地方にもその勢いが来ると判断したたけや製パンは山崎製パンに業務提携を打診。1968年ごろに正式に業務提携が成立。それ以降、全国展開されている山崎製パンの製品を秋田県内ではたけや製パンが製造・出荷している。
そういう経緯もあって、秋田県内では山崎製パンの製品を見かけることは非常に稀である。
山崎製パンの主力商品である「ダブルソフト」は秋田県内だと「グルメソフト」という名前になっているし、

「ランチパック」も「フレッシュランチ」という名前で2018年まで発売し続けていた。
更には山崎製パンのコンビニ事業・デイリーヤマザキについても、秋田県内のフランチャイズはたけや製パンが担っている。
とにかく、秋田県内ではたけや製パンを避けて生きることは事実上不可能に近い。
じゃあ、この経緯をもってすれば「バナナボートという商品はまるごとバナナのライセンス商品?」と思うかもしれないが、意外や意外にもバナナボートの方が先に発売されていたというオチ。
まぁ、興味があったらで
ということで、何があるのかさえわからない秋田県のローカルフード「バナナボート」のご紹介だった。
もし、興味があったら。秋田に旅行、転勤せざる得なくなった人がいたら「バナナボート」を食してみて欲しい。あなたの体へ確実に甘みを届けてくれる。
さて、そんな「バナナボート」だが秋田空港に行ってみると「バナナボート Tシャツ」がお土産コーナーで発売されていた。
まさかのTシャツ化しました・・・😅
— たけや製パン (@takeyapan) August 28, 2024
バナナボートの他、アベックトースト、粒あんグッディ、コーヒー、学生調理がございます🖐️ https://t.co/wbzFJgxNm1
ちょっと買いたくなったというのはココだけの話だ。