7月に突入。いよいよ夏休みが近づいている。
といっても、この話は社会の歯車と化してしまった大人たちにはあまり関係のない話だ。どちらかといえば学生さんたちが心待ちしていることだろう。
さて、夏休み時期に突入すればイベントが目白押し。野球やサッカーといったスポーツはもちろん、アイドルグループやロックバンドが開催するコンサートや野外フェスも毎週のように開催されていく。また長期間の休みを利用して旅行に出かけるという人もいるだろう。
しかしながら今年はちょいとお出かけをしたい人たちのお財布が厳しくなってしまいそうな空気が充満してしょうがない。
今回はそんなお出かけする人たちのお財布に優しいんじゃね?という移動手段・東名高速道路を突っ走る高速バス「東名ハイウェイバス」について見ていこうじゃーん。
目次
おサイフに厳しい夏休みだぜ!
ご覧のあなたも7月8月には旅行に行こうと考えている人もいるはずだ。夏休みを利用して避暑地?となるはずの北海道や長野に行ったり、思い切って海外に行っちまうか!と大胆にスケジュールを立てる人もいたりする。
そんな中で新たな旅行の形が現れてきた。それは「推し活」だ。
Google先生曰く「アイドルやキャラクターなど、自分が「推し」と決めた対象を応援する活動」のことを「推し活」というらしいのだ。
つまりは、俳優さんや声優さんにアーティスト更にはスポーツ選手といった3次元的人物に加えて、存在しないアニメキャラクターなど2次元的な概念でさえも「この人を私は強く応援する!」と思っているのであれば「推し活」と呼べる。
そんな推し活で欠かせないものが「イベント」だ。イベントを通して推しと出会う機会を得ることができる。
イベントといっても多種多様。俳優さんであれば舞台演劇、声優さんであればアニメ関連のイベント、アーティストであればライブ、スポーツ選手はまぁ試合であったり。
そのイベントなどに参加するため、普段は訪れることがない所へ出向くことを「遠征」と呼び、そのような行動をする人たちを「遠征組」と呼んだりする。従来の旅行とは異なり、特定の推しに逢いに行くというのが当然となってきた。
そんな遠征且つ従来の旅行だが、ここ最近になって必要なお金が高騰している。
まずイベントに参加するために必要な「チケット代」が高騰している。
リアルサウンドの記事によれば、2013年当時のコンサート入場料金と2022年当時のと比べると格段に上がっていることがわかる。
理由は様々あれど、コロナ禍を経て高騰した会場費や人件費などを賄うためにはチケット代を高くするほかない。
続いてホテル代。通常の旅行でも、遠方のイベントでも日帰りできるものばかりじゃない。
ホテル代もこれまたコロナ禍で減少した需要が一気に復活したことによる人件費への対応、また外国人観光客増加によって日本国内と海外からの需要が増加。様々な理由によって値段をホテル側が高めているというところもある。
そして移動費。旅行先へ移動できなければ観光にも行けないし、会場へ移動できなければイベントに参加できやしない。
新幹線は大幅値上げということは少ないものの元から値段が高いということ、飛行機はそれこそ需要によって値段が変動する仕組みなので値段が異様に高いということにもつながる。
そんな3つのお金がそれぞれの理由によって高くなっている。
では削減できるところはどこだろう?
チケット代は削ることはまぁ不可能だ。提示された値段を払えなくてはイベントにはetc・・・ホテル代はどうだろうか?安く仕上げられる方法は数多ある。会場から遠い所に宿を構えるとかビジネスホテルやカプセルホテルも検討するということもできる。
では、残った交通費はどうだろうか。ここが場合によってはうまく節約できるところなんじゃねぇのかな?というのが今回のテーマである。
東京→静岡でシミュレーションしてみよう
今回は7月上旬に静岡駅まで向かうこととなった。理由はちょいとした推し活ついでに静岡観光と言っておこう。折角なので、この移動でシュミレーション?シミュレーション?してみよう。
ということで東京→静岡の移動で交通費を削減したいと思うのだけども、どんな交通手段があるだろうか?みなまで言うな、という感じか。そう、東海道新幹線がまず1番目に登場してくるだろう。
東海道新幹線は東京駅から各駅停車タイプの「こだま」であれば1時間20分程度、快速タイプの「ひかり」に乗車したならば約1時間程度で到着する。

ただ、速く到着する分もちろん料金は高めだ。通常料金だと乗車券は3410円、自由席特急券は2530円・指定席だと2530円(閑散期)〜3260円(繁忙期)となり合計6000円以上を数える。往復だと当然のように1万円を超えてしまう。
また「ぷらっとこだま」といったお得なプランを使えば5000円台へ下げることも可能だが、お盆・年末年始時期などは発売が中止されてしまう。
では鈍行で行けば良いんじゃね?となりそうだ。乗車券の3410円分を購入すれば静岡まで行くことはできる。ただ、

時間は新幹線の3倍以上の3時間乗らないといけないし乗り換えが煩雑だ。イベント前に疲れなどが生じていしまいそう。また東京駅から特急があったりするが静岡駅までは行ってくれない。はてさてどうしたものか。
さぁ鉄道ばかりが優位な区間に見えるが、ここでやっと「バス」という選択肢が生まれる。
東京から静岡の「バス」が安くてさ
この区間で走るバスを調べてみる。「バス比較ナビ」を覗き見ると、

なんと「2800円」と表示されている。見間違えかい?と思ってしまう安さだ・・・
この内容を吟味してみよう。見てみるとJRバスという表示。JRバス関東(一部JRバステック)・JRバス東海が共同運行しているそうだ。
バスの内容はJR東京駅の八重洲南口から東名高速道路を経由して最終的にはJR静岡駅へ到着するというものだ。
このバスを通称「東名ハイウェイバス」と呼び、東京〜静岡だけでなく東京〜浜松、もっと先の東京〜名古屋間も運行していて、日本の高速バスの中でも歴史ある路線となっている。
高速バスというと深夜遅くに発車して・・・というイメージがある人もいるはずだ。しかし、この東名ハイウェイバスは昼便つまりは朝方から夜に掛けて走るバスのみの運行だ。
ほぉ。昼間に走るバスねぇ・・・と興味が唆られる。ただ、同じ時間帯にはライバルの東海道新幹線も運行している。果たしてバスを選ぶべきメリットはあるのだろうか?
お値段を調べてみよう。

お値段は1日前までに購入することが条件の「早売り1」が適用でなんと2800円、もし当日となれば3300円也。この値段であれば東海道新幹線の半額以上の安さであり、乗車券分の料金をも下回る。はJRバスが運営する「高速バスネット」を始め、各高速バス予約サイトから予約することが可能だ。

それにしてもとんでもねぇ安さである。ただ東京駅〜静岡駅区間を走る東名ハイウェイバスのデメリットは以下の通りだ。
- 午前中の運行が6時20分のみ(次発は15時20分)
- 乗車時間が3時間超え(東海道新幹線の3倍近い時間)
となっている。うん。これだけ。安くて、まぁ長いけど乗車していれば乗り換え無し・・・
このバスに東京〜静岡の移動を託しても良いんじゃねぇか・・・!
私はそのままの勢いで予約をした。
ということで乗ってみよう
今回は東京駅の八重洲口前にある高速バス乗り場から。大きく「JR高速バスのりば」という看板があるので、これを目印にしよう。

ちなみに、周辺に馬鹿みたいにバスターミナルが乱立しており、東京駅前にはなんと5箇所ものターミナルが存在する。乗車する際には間違えないように十分注意したいところだ。
今回の乗り場は「9番のりば」からだ。上部にはJR高速バスと書かれていて、基本的にはJRバスが運行するバスが発着する。

今回は始発の「6時20分発」で向かう。下にはディスプレイで「6:20 静岡駅 急行」と書かれている。表示を見ると、ここで間違ってないんだなとホッとする。
バスが到着。

これが今回の相棒である。バスの横には国鉄バス時代から使われてきた「つばめマーク」があしらわれている。
バスの表示にも「静岡駅」が。そして、バスは9番に滑り込む。

トランクやキャリーバッグといった大きめの荷物を持っている人はトランクに預けられる。ただ、預ける際には一声運転手さんに声を掛けた方が良いだろう。
さて、乗車時にはバスのきっぷ、予約のQRコードを運転手さんに見せる必要がある。今回の乗車では予めネット予約をしたので、QRコードを運転席横にある運賃箱上に設置されていたリーダーにQRコードを読み取らせる形式となっていた。
座席周り
乗り込んでいくとまぁ普通の大型バスである。座席に座ってみると、本当にこれといって特筆するべき内容はないほどに普通である。何か豪華な内装で、とかでもなく。

座席をチェックしていこう。テーブルはない。というか、高速バスにテーブルがあるのってあまりないんじゃないかなぁ・・・と思ったり。

ドリンクホルダーはついている。また荷物入れがある。

そして座席下部にはコンセントがある。
コンセントにはタコ足コンセントがついていた。「おお!これは便利!」と思って、周辺を見ると自分の座席にしかついていなかった。もしかすれば、以前に乗車した人の忘れ物の可能性も否めない。というか、バスでタコ足配線なんてしたら危険だろう。基本的にコンセントは一口だと思ったほうが良い。

リクライニングはレバー式。

そして、シートベルトがある。当然である。

また座席横にカーテン。これまた普通。
ここで他の座席に注目すると、普通の大型バスと少々異なっている部分を見つける。

JRバスの特徴なのか、左右の座席が平行ではない。寄り方が歪というか不揃いとなっていて独特だなぁと思いました(小学生並み)。
ということで、運転手さんの最終確認が済んだ。時刻は朝6時16分。まだまだ眠気の空気が漂う東京駅をいよいよ発車する。
発車!そして、意外と・・・乗るっ!
泣く子もだまる大都会の中心・東京駅の文字を横目にバスが発車。

ここから静岡駅まで約3時間30分近くの移動。日比谷通りを進んでいく。

以前に東京→江の島までレンタサイクルで行ってみるという頭オカシ動画を実施した際にここを通ったので、比較をしてみてほしい。というか見てほしい。人がいない東京というのはこれまた違う味わいがある。
首都高の案内が登場。霞が関料金所が近づいている。

バスが料金所へ進んでいく。

下には紫で塗られた下地にETC専用という文字。林家ペーパードライバーの自分からしてみれば非日常すぎる光景だ。
バスが首都高を進む。これまた普段見ない景色。移動なのに、観光気分が楽しめるのもバスの利点である。


バスが渋谷付近を走行。ここで車内を見てみる。

バス前方には女性二人組、そして自分の座席斜め右には女性1人、更に自分の横付近には外国人観光客が2人、最後に後方部に男性が1人。という車内だった。
朝1の便なのでこんなものか。と思いつつ、バスが進んでいく。すると自動放送が流れた。「次は東名向ヶ丘」
今回乗車したバスは「静岡駅行」の急行バス。高速道路に設置されているバス停に全て停車していくという形態だ。果たして各バス停に利用客はいるのだろうか?
そんなことを思いながら東名高速の向ヶ丘に停車。
ここで3人ほど乗り込んできた。正直意外だった。
近くには鉄道駅があるわけでもない。強いて言うならば東急田園都市線の宮前平駅しかない。ほぉ、ここから乗り込むんだなぁと勉強になる。
更にバスは進んで「東名江田」へ。

「江田」で10人以上が乗り込んできた。
周辺には東急田園都市線・横浜市営地下鉄ブルーラインのあざみ野駅と東急田園都市線の江田駅が近くにある。近くは住宅街のようなので利用者数が多いのも納得できる。しかし、この人たちはここから乗り込んで、どこで下車をするのだろうか?気になるところだ。
渋滞を感じて、周辺はホテルばかりで
バスが発車して数分。車内が東京駅時点とは比べ物にならないほどに人に溢れている中、バスは横浜町田インターチェンジ近くを走行。
ここらへんからバスの動きが遅くなってきた。渋滞である。

Googleマップの渋滞情報を見ると、赤く表示されているのがわかる。

ちなみに「海ほたる」へバスで行った際に巻き込まれた渋滞ではドス黒い赤で表示されていたので、この渋滞はまだ可愛いものなのだろう。
ここ横浜町田インターチェンジは東名高速道路の中でも有数の混雑スポットらしく、国道16号線の「保土ヶ谷バイパス」と接続されていることや横浜方面から合流してくる車がここにやってくるため渋滞が発生しやすいそうだ。
この区間で渋滞にハマってしまってはこの後大丈夫だろうか?と不安になる。と、思っていると遠くになんだかデケェ物体が。

更に夢の国に来ちゃったんかい?という建物が。
全てラブホテルである。高速道路脇、特に東名高速道路脇にはこうしてラブホテルが点在しているそうだ。
理由としては都市開発によって都心部にホテルを構えられず、土地代・人目につきにくい高速道路脇にホテルが集中しているという説があるそうだ。
しかし不思議なものだ。これだけホテルが集中していて、利用者数はある程度あるだろうに、少子高齢化は全く持って解消される気配がない。かくいう自分はこのホテル群には全くお世話になることはこの先ないだろうから、爆発しちまえと思っている。いやいや、世の中不条理なことばかりでしょうがないねぇ・・・

多分、この時間帯でカップルが入っていくのを見たならば唾を吐きかねないので、スマホに目を移す。

そんな気持ちを汲み取ってくれたのだろうか、渋滞はインターチェンジを過ぎると一気に流れが良くなった。詰まりが解消された水道のようにビュンビュンと進んでいく。

人が降りて、また降りて
バスが順調に進んでいく中、「秦野」に停車。ここで一気に人が降りていく。

周辺に何があるのだろうか?と思い見てみると、工場や倉庫といった建物が並んでいた。
周辺には鉄道路線が無く、バスだとほぼダイレクトアクセス。ここ近辺で働いている人たちが多く利用していたのだろう。
更にバスが進んでいくと乗車していた外国人観光客の2人も下車。
この時点でまた自分を含めて数人程度という状態に変わった。多くの人が高速道路沿いにある工場・倉庫もしくは近くの観光地へ向かうために利用しており、静岡駅まで通しで乗り続ける人は非常に少ないということがわかった。
人がまばら状態になったバス。大きな窓を使って、足柄の光景を自分に見せつけてくる。

御殿場に到着。御殿場は静岡県東部にある街でアウトレットモールがあったりと非常に人の動きが盛んなエリアだ。しかし、

誰も乗ってこなかった。

これまた意外。このバスは静岡駅行で、あまり朝の時間帯には需要はないのかもしれない。逆に東京方面ならば混雑していたのだろうか?
愛鷹パーキングエリアで休憩
途中、「愛鷹パーキングエリア」で休憩となった。到着時刻は8:40、予定より10分程度遅れて到着した。ただ、そんなに遅れているなぁという実感はない。
バスの休憩時間は10分。この時間を過ぎると発車してしまう。乗り遅れには十分に注意したいところだ。

パーキングエリアにはデイリーヤマザキが堂々たる姿で自分を待っていた。中に入って物色・・・と行きたいところだったが如何せん時間が10分しかない。今回は泣く泣くトイレを優先する。

休憩を終えてバスが発車。残すは静岡駅へ行くだけだ。

静岡駅へ
バスが発車して、いよいよ沿岸部が見えてきた。青く澄んだ駿河湾の登場だ。

東名高速道路も沿岸沿いを走っていく。いやいや海っていうのは素晴らしい。心が落ち着く。ラブホテルなんかより何百倍も良い。ラブホに怒る暇があるなら彼女を作ればいいじゃないか。というご意見もあるだろうが、受け付けない。悲しくなっちゃうから。

途中でバス停「日本平」に停車。日本平というと近くには清水エスパルスのスタジアムがあったりする。距離は近いかもと思っていたが、

そんなことはなかった。普通に清水駅近くに行くことをおすすめしたい。
長い付き合いだった東名高速道路を降りて、静岡市内を走行。そして、バスは静岡駅の北口へ。

到着
ということで、バスは静岡駅に到着。

時間にして約3時間30分を要した。バスは約15分近い遅れが生じていて、「到着遅れましてご迷惑おかけします」と運転手さんがアナウンスしていた。しかし、別に急ぎの人はこのバスには乗らないだろうから、謝る必要はないんじゃないかなぁと思ったりもした。
新幹線と比べると3倍以上の時間を要したわけだが、バスは朝の6時に出発しても到着は10時前。全く持って余裕がありすぎる時間。仮にイベントがお昼ごろからあるとしても、余裕も余裕。お金も3000円程度、推し活や貧乏旅行をするうえでこのバスの存在はありがたいものである。
今回バスに乗車して感じた部分は、「トイレのタイミングが限られている」「渋滞にハマると遅れる」「混雑すると窮屈」といったところだろうか。
今回の休憩は1回。愛鷹パーキングエリアで10分。人によってはもう少し増やしてほしいかもしれない。
また渋滞は横浜町田インターチェンジ近くが唯一の渋滞だったが大型連休といった時期に乗車するとこれまた遅れに拍車がかかってしまう可能性は否めない。
更に車内は4列掛け。車内が全て埋まりきってしまうと隣の人と距離が近くなってしまう。利用する時期を見極めていきたいところだ。
お値段は安く場合によっては快適な「東名ハイウェイバス」、あなたの推し活・旅行の計画に含んでみるのも良いような気もする。もしあなたの参考になれたなら、これ幸いということだ。
