夏だぜ!
旅の時期だぜ!
旅行といえば・・・?
そう!青春18きっぷの時期だぜ!
青春18きっぷはJR在来線・全線が乗り放題になる切符で行きたい所に(頑張れば)行けちゃうし、しかもお安いという夢のような切符だ。
しかし、青春18きっぷは一部から「改悪だ!」と叫ばれるような変化が生じてしまった。更には決して安い!とは言い切れない切符となってしまった。いやいやどうしたものか・・・
しかし、そんな思いを叶えてくれる切符がオレンジの憎いやつ「JR東海」から出没中なのだ。JR東海の在来線が乗り放題になり、お値段は3900円で有効期限は2日。そして、購入できる条件は、
東海道新幹線で米原〜熱海で下車をするだけ。
東海道新幹線に乗ったらJR東海の在来線が乗り放題になる切符が買える。なんだその切符は!気になるね!
目次
格安切符の代名詞に変化
長年、JRグループの「格安切符」というカテゴリーに於いて多くの人に愛され、多くの人が利用してきた、有名な切符がある。そう、青春18きっぷである。
青春18きっぷの特徴として、学生達が長期休暇に突入する春・夏・冬の時期に発売され、JRグループの在来線全線の普通列車・快速列車に乗車することが出来、お値段も比較的控えめであることが挙げられる。
ただ、安い分に理由がある。新幹線や特急列車には駅員さんに土下座をカマしても、新幹線改札口で大号泣をしても原則乗車することは出来ない。つまり鈍行列車以外の選択肢が無い切符なのだが、鉄道での移動が好きな旅人を中心に大変根深い人気がある切符だ。
また青春18きっぷのポスターは画像・キャッチコピー共にあり得ないほどの旅情を誘う秀逸なモノばかり。なんとポスターを集めた写真集もあるほどだ。
筆者である私も何度か利用してきた。これを使って、大阪にも実家のある秋田にも行ったことがある。
しかし、この青春18きっぷ。ここ最近になって「とある変化」が生じた。
2024年の夏までは、以下の内容だった。
- 1枚につき5回まで使用可能
- 複数人で共有することが可能
- 値段は1枚12050円
- 改札機は利用することは出来ない(係員さんのいる窓口を利用する)
青春18きっぷは5回まで利用することが出来て、1枚の切符を複数人で共有することが可能だった。
例えば1月1日に1回使用し、残り4回を1月3日に使用し、また残り3回を1月4日に3人で利用する。という使用する日、使用する人数を1枚で分けることが出来た。
それが2024年冬時期になると大幅に変更。現在の「青春18きっぷ」の効力は以下の通りだ。
●全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)、およびJR西日本宮島フェリーが、乗り降りできるきっぷです。
※JR西日本宮島フェリーをご利用の際は、現地にて宮島訪問税(100円)が別に必要です。●自動改札機がご利用いただけます。※JR線以外の鉄道会社線の改札機(乗換改札含む)はご利用いただけません。
●購入時に指定された利用開始日から「連続する3日間/5日間」のご利用となります。
※1枚のきっぷを複数人でご利用することはできません。
●年齢にかかわらず、どなたでもご利用いただけます。
2024年冬時期の発売から、
- 利用できなかった自動改札機を使えるように
- 3日間用と5日間用が登場したが、期限は連続に
- 複数人で利用はできない
- 3日間は10000円、5日間は12050円
という内容に変更されている。
変更のメリットは5回分だったのが3日間と5日間とバリエーションが増え、改札機を利用できるように。デメリットは期限が連続に変更され、複数人での利用は不可能に。
さて、この変化に一部からは「改悪」であると非難の声が上がった。まぁこれに関しては「改悪なのかどうか」というのは今回の議題ではないのでスルーさせてもらう。
しかしこの変化によって「切符を使うには最低でも3日」が必要になってしまった。いやいや、社会人のあたすには厳しいでございやすよ・・・これまた厳しい時代がやってきちまったなぁ・・・
と嘆いてしまおうかと思っていると、とある鉄道会社が妙な切符を発売し始めていた。
オレンジの憎いやつ「JR東海」である。
買える条件は1つ
JR東海から発売されている切符の名は「JR東海☆夏の乗り放題きっぷ」だ。

硬派なJR東海の雰囲気からすれば、なんか星のマークがちょっと無理している感じがするが、まぁ良いだろう。
この切符の内容は「期間限定でJR東海の在来線全線の普通・快速列車普通車自由席に2日間乗降自由なフリーきっぷ」と記述されている。
そう。青春18きっぷの効力をまるでJR東海に特化させたかのような切符、更には社会の藻屑と化した社畜の自分からすれば「2日間」というのは素晴らしい。最高の内容となっているのだ。
では、この切符はどこで購入できるのか。
JR西日本のインターネット予約サービス「e5489」上で予約・購入が可能です。ただし、「EXサービス」の商品を利用して熱海~米原間の駅を着駅とする新幹線を予約・購入済みのお客さまに限ります(新幹線の発駅に条件はありません)。
JR東海・お得なきっぷページより引用
ということで、JR東海の券売機やきっぷ売り場では購入することは出来ない。さらに条件がある。
『「EXサービス」の商品を利用して熱海~米原間の駅を着駅とする新幹線を予約・購入済みのお客さまに限ります』だぁ?ちょいと一瞬頭が止まりかけるこの文章を紐解いていこう。
もっとわかりやすくすると、東海道新幹線をEXサービスで熱海〜米原のどこかで降りる切符を購入すれば、なぜか「JR東海・在来線乗り放題の切符」が手に入る。
ということである。単純なんだか、単純じゃないのか。いまいちよくわからない。
買い方を詳しく見る
EXサービスとはJR東海・JR西日本・JR九州が運営するインターネット予約サービスで、東海道・山陽・九州新幹線の乗車券・特急券を予約することが可能だ。
そのEXサービスには有料の「エクスプレス予約」と無料の「スマートEX」があり、前述の乗り放題きっぷを購入するためにはEXサービスの何れかで東海道新幹線を予約する必要がある。
更に、東海道新幹線区間の熱海〜米原間のどこかの駅を着駅(到着する駅)とする切符を購入すれば、前述の「夏の乗り放題きっぷ」が購入できるという内容だ。
さて、前述の購入条件である「熱海~米原間の駅を着駅とする新幹線を予約・購入済みのお客さま」という内容を見ると、別に熱海か米原で降りる必要はないことがわかる。
更に(新幹線の発駅に条件はありません)と書かれている通り「東京駅から」とか「新大阪駅から」とか、発車する駅についての条件もない。
貧乏人のワタシにとって、この切符はちょっと、いやかなり気になる。では実際にEXサービスを使って購入してみることにしよう。
夏の乗り放題きっぷを買ってみる
今回は8月3日から8月4日掛けて利用することにした。最終目的地は愛知県の名古屋駅である。
そして、東海道新幹線を予約するサービスは「スマートEX」だ。会員登録をすれば無料で利用することができる。
東海道新幹線を予約する区間は「静岡→浜松」にしてみた。なぜこの区間なのかって?東海道線の静岡エリアはまぁ長いじゃん・・・?1時間10分近くある区間を座れなかったらイヤでしょう・・・?

という何とも軟弱な考えでこの区間を予約してみる。
あっという間に新幹線の切符を購入できた。便利な世の中になったものだ。

さてここからは乗り放題きっぷを購入するわけだが、EXアプリ内を見渡しても「お得なきっぷ」であるとか、そんなボタン・ページが見つからない。はてさて、どうしたものか。
購入できるページはまた違う
乗り放題きっぷはJR東海のEXサービス上ではなく、JR西日本が運営するインターネットサービス「e5489」で取り扱っている。JR東海の切符なのになぜJR西日本が関与するのかは不明である。
乗り放題きっぷの予約方法はJR東海のページでも公開されているので、そのとおりにやってみよう。
EXアプリのホーム画面にある「予約済み」の箇所に表示されている購入内容をチェックする。

すると画面が予約一覧に推移し、詳細内容が閲覧できる。詳細内容の下部分に「EX旅先予約(宿・観光・交通)」というボタンが表示されている。そこを押下。
するとEX旅先予約ページに推移。画面の中央付近に「JR東海☆夏の乗り放題きっぷ」というバナーが表示される。静岡〜浜松区間の利用だがしっかりと表示されていた。

バナーを押すと今度はJR西日本の「e5489」へ推移。お得なきっぷがズラリと並ぶページに飛ばされるので、今回使いたい「乗り放題きっぷ」を探す。

ページを選択後、利用日の選択・クレジットカードでの決済などを行うと、

ご覧の通り予約することができる。

予約する前にJR西日本のe5489の会員登録を済ませておくことをおすすめしたい。EXサービスとe5489のアカウントがそれぞれ必要になるからだ。まぁ面倒だがしょうがない。
ではここから実際に切符の発券と利用することにしよう。
三島駅で発券する
夏の乗り放題きっぷを予約したので、切符が使えるエリア内の駅へ向かおう。今回は三島駅へ。

夏の乗り放題きっぷを発券するためには「JR東海のきっぷ売り場」もしくは「5489サービス」の表示のある改札外の券売機を利用する必要がある。JR東日本・西日本の各駅では発券することができないので要注意だ。
ということで三島駅北口にある指定席券売機へ。

画面上にある「予約したきっぷの受取」ボタンを押す。

画面の案内に沿って、夏の乗り放題きっぷの予約・決済をしたクレジットカードを挿入する。ここで注意なのが「現物のクレジットカード」が必要であることだ。

バーチャルカードといったクレジットカード現物がない状態でも決済することもできるが、現物のカードがないと発券することが出来ない。
また画面が変わってe5489で登録していた電話番号下4桁を打ち込む。何の番号だっけ?とならないように何かにメモしておくのもいいだろう。

この一連の流れをすることで「夏の乗り放題」を発券することができる。

まぁ色々と手順があって面倒だな・・・と思ってしまうが頑張って乗り越えてほしい。
青春18きっぷの「これから」を考えよう。そんな時期です。
いかがだったでしょうか。なーんてクソもへったくれもないような文章を書き殴って終わりにするのも一種の芸であるような気もするのだが、流石にその終わり方は面白くはない。
ここからは「青春18きっぷのこれから」を考えていきたい。というか、この記事で語りたいところはここである。以下から続く文章は個人的な感想をツラツラと連ねたもの。まーた素人が何か語ってますわwwwと受け止めていただければこれ幸いである。
前述の通り、青春18きっぷは2024年冬の発売から大きく変更が加えられた。果たして、この変更は青春18きっぷにとって良いことだったのか。はたまた終わりへの一歩なのだろうか。改悪だ!と叫ぶような人もいる中で青春18きっぷはこの先も存在し続けるのだろうか?
そんなことを考えていたら、ベストタイミングで読売新聞が青春18きっぷの売上について記事を公開。
記事によれば2024年度の発売枚数は2023年度の発売枚数より3割以上も下がり約41万枚となったことが明らかにされている。
理由としては3日間・5日間と連続で使用する必要があり、複数人で使えなくなったのが大きな要因である。というもの。更に記事の後半には今回のテーマでもある「夏の乗り放題きっぷ」を発売するJR東海側のコメントが掲載されている。
JR東海は「販売実績は減少したが、各社が各エリアの利用実績や路線の特性に応じたお得な切符を設定している」などとし、各種の特典付き切符を総合的に展開していくとしている。
青春18きっぷはJRグループ全体が一体となって発売する。JRが団結しているという点では非常に有意義な切符ではあるものの、利益面で見ると得をする会社・損をする会社と明暗がくっきりと別れてしまう。
また以前の方法だとバラ売りすることも可能だった。青春18きっぷを数回使った後、残りは金券ショップへ売り飛ばすという方法だ。そうなれば、本来JRが手に入るはずだった売上がなぜか宙に浮いた状態になる。利益獲得損失の場面があまりにも多すぎた。
JR各社が独自にお得感の強い切符を発売する方針になるのもわからなくはない。青春18きっぷと比べて、独自で展開するお得なきっぷの方がJR各社にとって収益性は良いだろうし、東海道新幹線との抱合せのように各社が保有するサービスと組み合わせることも容易になる。
それを裏付けるようにJR東日本では東日本のんびりパスや北海道&東日本パスを発売し、青春18きっぷと同等それ以下の料金で購入できるようになっている。
またJR西日本では様々なフリーパスを発売。関西地区に特化したもの、中国地方・山陰地方と利用者のニーズに合うような切符が用意されている。またJR西日本が運営するサービス「WESTER」と連携する切符もあったりする。
まぁこういう流れを見ると青春18きっぷはJR各社にとって腫れ物扱いになりかかっている。いやもうなっている。
また痛いのが青春18きっぷよりも安い移動手段が普及し始めていることだ。
深夜に動く夜行バス、ジェットスターやピーチ航空といった格安航空、そしてライバルとなるJAL・ANAは定期的にセールを行い、JRの新幹線・特急よりも安価なイメージを広げようとしている。青春18きっぷが本来ターゲットとしている若年層向けの割引施策も充実。安いけど長い時間を掛けて移動する必要のある青春18きっぷが選ばれるような環境ではなくなっている。だって数千円程度で目的地に行けるのだから。
また青春18きっぷを代表する「鉄道旅を推進する切符」がここに来て世間が求める旅行像と乖離し始めているところもあるだろう。
Z世代と呼ばれる若年層の人たちは「タイムパフォーマンス」つまりは費やした時間とそれで得るもののバランスを強く意識することがデータでも明らかにされている。
また移動に費やすお金よりも趣味に費やすお金を重視する傾向にあるそうだ。仮に東京から大阪へ行き、アイドルのライブに参加するとしよう。
移動手段はできる限り抑え、現地での活動にお金を費やす。安いからという理由で青春18きっぷが選ばれたとして、そこから宿泊代・食費を考慮すれば、代替の交通手段とあまり変わらないと気づかれてきている。その現状にうまく入り込もうとしているのはJRではなく、高速バス・航空会社なのかもしれない。
兎にも角にも、10〜30代近い人達にとって変更となった青春18きっぷは選択肢に成りえない状態だ。
では最終的に「青春18きっぷは存在し続けるのだろうか?」という点になるが、個人的には「寿命は残り5年」だと思う。この数字は「青春18きっぷを支えるユーザーの年齢」を考慮したものだ。
肌感覚で申し訳ないが、青春18きっぷを使っていて思うのが高齢者の人たちが多く利用しているな、というところを感じる。青春18きっぷが打ち出す「鉄道旅」をする上で「時間も金もある」高齢者の存在はあまりにも大きく、青春18きっぷを生きながらえさせてきたと思う。
この人たちが更に高齢になる5年後。ここが大きなターニングポイントになる。と思う。思うですよ?なんのデータも無いので来年で終了!とかになるかもですからね。
今を支えている高齢者の人たちが積極的に鉄道を使わなくなってくる時期。そこが青春18きっぷの引き際じゃないかなぁ・・・と想像している。
色々と好き勝手文章を並べたが、果たして青春18きっぷは生き残っているのか。はたまたJR各社は更にお得感のある切符を発売し続けるのか。興味深いところだ。
さぁJR東海・在来線旅を始めよう
まぁ色々と考えるこの瞬間が旅の中で一番楽しい時間なのかもしれない。
夏の乗り放題きっぷは9月10日までとなっている。青春18きっぷの代替案になりえるのか。それは人それぞれ。

さて、この切符を使ってJR東海の気になる駅を探っていこう。次回からはJR東海・在来線の旅をお送りしていきたい。