約2年前。私は友人から「SUPER GTを観に行かないか?」と誘われた。
いよいよ2025年9月にタイミングが重なって人生で初めてとなるサーキット場へ足を運ぶことになった。
熱き観客達、地面を揺らすばかりのエンジン音、ブレーキ痕に火花、そして渋滞と坂・・・
モータースポーツ観戦を一度もしたことがない人間が宮城県にあるスポーツランドSUGOへ行っちゃったぞ!
目次
SUPER GTを観に行く機会は幾度となくあったんですけども
友人は「SUPER GTを観に行ってきた」と楽しげに自分に語った。「楽しかったからみんなで行こう」と言う。
当時、私の頭の中はこうなっていた。『SUPER GT・・・ってなんだっけ』
ここで勉強といこうではないか。SUPER GTとは何だべね。早速、Google先生に聞いてみちょ。
高性能な「GTカー(長距離を高速かつ快適に移動するために設計された高性能な乗用車)」をベースにしたレーシングカーで行われる、日本発祥の国際的なモータースポーツレースシリーズ
ずばりモータースポーツでしょう!(ちびまる子ちゃん・丸尾末男風)
元からモータースポーツに興味があったという友人はSUPER GTを宮城県のスポーツランドSUGOで東京から仙台、仙台駅からわざわざレンタカーを借りて観戦に行ったというのだ。
私は普段から見るスポーツはサッカーや野球、冬場になればNFLにラグビー、そしてハイライトではあるけどもオーストラリアンフットボールを観る程度だ。普段から見るモータースポーツというとF1だ。F1は中学生の頃から見始めて、ルールもチームもある程度は知っているつもりだし、お金と時間があったなら日本グランプリを観に行きたいなぁと思っているほどだ。
では、SUPER GTはというと・・・正直なところ一度も見たことはない。どのような車が使われて、レギュレーションがどうなっているのか、ドライバーは誰がいて、どこで開催されて・・・それぞれがわからないことだらけだ。それでも友人は「面白いよ。迫力あるし」と勧めてくる。無責任に。
ただしかし、同じモータースポーツだ。そんなに面白いなら見に行ってみたいなぁ。という気持ちがあった。
さて、そんな話題が持ち上がったのは2年前の話だ。そう、2年前である。もちろん「まぁ行けたら行くよ」というお前行かねぇだろ的な気持ちではなく、しっかりと予定は立てていたのだ。
2023年に仙台を経由してスポーツランドSUGOへ行くぞ!という計画を立てた。しかし、当時一緒に来る予定だった友人が「仕事が入ってしまった・・・」と社畜発言ド真ん中をぶちかまし、計画は頓挫。
リベンジとして2024年には、折角ならば日本モータースポーツの聖地である鈴鹿サーキットへ行こう!と計画を立てた。東京から名古屋、名古屋からレンタカーを借りて、という航路だ。
開催時期は2024年9月1日。人生で初めてとなる鈴鹿サーキットへ行ける!と思うとテンションが上った。
が、これまたしかし。2024年9月1日に鈴鹿サーキット近くに台風4号がやってきて、無念の12月へ延期。自分と一緒に行く予定だった友人2人は東京でその情報を知ることとなり、観戦することは願わなかった。
そして無念の延期から1年。2025年9月。SUPER GTをまたしもスポーツランドSUGOへ観に行くこととした。始めてのモータースポーツ、楽しみである。
しかし、私には幾ばくかの不安があった。不安をもたらした要素は明確だった。
モータースポーツを一度も現地観戦したことがない人間が行っても大丈夫なのだろうか?初心者が行っても問題はないのか?サーキット内はどんな空気なのか?
どれもこれも行ってみないと・やってみないとわからないことばかり。しかし、時間は自分の思いなんて関係なく9月へ進んでいく。漠然と広がる不安を否めないまま、東京駅を出発し仙台駅からSUGOへ向かうことにした。
仙台駅から行きますわよ
東京から仙台まで・・・深夜バスで向かった。前日23時に東京を発って、そこから約6時間程掛けて仙台駅前にあるヨドバシカメラ横のバス停で下車。ちなみに利用したのは「ミルキーウェイエクスプレス」だ。とても快適な旅だったが、夜行バス初心者の自分はこれまた眠れなかった。
今回の観戦は自分と友人2人。内1人は秋田在住の友人で秋田からマイカーで高速をぶっ飛んでやってきて、サーキットまで連れて行ってくれる。まさに運転バカである(良い意味でね)。
そんな友人と仙台駅前で合流。友人は「全然疲れてないですよ」と明るく答えた。自分はバスと格闘し、首元が少々傷んでいた。長時間運転した人間とこれほどまでに明暗が別れるとは思わなんだ。
今回の開催サーキットは「スポーツランドSUGO」だ。宮城県の山間部にある村田町にあり、SUPER GTを始めスーパーフォーミュラやスーパー耐久にロードレース選手権が開催されていて、日本国内のサーキットとしてはとても名のあるサーキット場だ。
Googleマップで検索してみると、仙台駅から距離にして24kmほど。高速道路・東北道を経由すると時間は31分、一般道で向かうと38分ほどで到着する。
この日は素晴らしいほどに快晴で茹だるような暑さだった東京とは異なりどこか肌寒くでも心地よい風が通って。という気候だった。こりゃあ良い観戦になりそうだ!と車内から思ったりした。

車内から見える景色にも秋が感じられた。道路沿いに見える田んぼの稲は黄色味が。

車のナビが「左です」とアナウンス。友人はナビの通りにハンドルを回す。すると、

そして途中で「SUGO」と大きく書かれた看板が登場。おっ!いよいよか!と心が踊る。ここまで順調だった。ドライブとしても楽しいものだった。ただ、とある交差点で車が左折すると様相が一変した。

渋滞である。
渋滞
車が連なっているではないか・・・はっきりとした渋滞だ。

写真の撮影場所はサーキットまで残り約4kmという一般道上。なぜこれほど渋滞が発生しているのだろうか?
理由は単純に「スポーツランドSUGOへ行く道路が一本道で、そこに高速からやってきた人との合流地点だから」というもの。

周辺には高速道路の菅生パーキングエリアがあり、更にETCであれば高速を降りられるスマートインターチェンジがある。そのため高速道路から最短距離でスポーツランドSUGOへアクセスすることが出来るようになっている。
加えてスポーツランドSUGOまでの道が写真に写っている道路以外に無く、高速から降りてきた車だけでなく自分たちのように一般道から来た車も全て同じ一本道に入っていくことから大きな渋滞が生まれていた。
まぁこればっかしはしょうがない・・・と言うと渋滞は嫌だし面倒だが、もうこちらはどうしようもない。スポーツランドSUGOの混雑について色々と調べてみると「高速からサーキットまで一本道しかないから混みます」という情報も見かけていたので、心構えは出来ているつもりだった。しかし、一つ思うところがある。
この撮影した時間はというと「9時03分」である。
早すぎね・・・?サンデーモーニングも始まったばかりですぜ?モータースポーツ観戦にやってくる人々の行動力に圧倒されてしまった。
駐車場が・・・無いっ!
渋滞にハマりながらも車はゆっくりと進んでいく。スポーツランドSUGO近くにやってきたのは良いものの大きな問題を解消する必要があった。それは、
駐車場に空きがあるか
というところだ。まず車を止めねばサーキット内へ入ることもできやしない。そして、どこに駐車できるかという問題を抱えていた。
スポーツランドSUGOが公開していた駐車場は以下の通りだ。お値段は4輪車だと1500円、2輪車は800円というお値段。

レースが行われるサーキットに一番近い駐車場はなんと9月19日金曜日20時に解放されるということだった。加えてすべて先着順。チケット制でもなくその場についた順から駐車するという方式だ。
これがかなり厄介だった。利用者の思考からしてみれば「入口近くに駐車したい!」というマインドになるのは明らかで、当然そこに集中する。加えて先着順なのでどこにどれだけ停められるか?という情報は行ってみなければわからないという、開けてびっくり玉手箱状態に陥っていた。それらはあまりにも初心者には厳しいとしか表現できない。
自分たちは困惑していた。「これは・・・どこに駐車できるんだ?」ということに。
道路内に警備員さんというか係員さんらしき人が立っていて誘導棒を回していたけども、それが何の誘導なのか?確実に空いている駐車場なのか?というのを把握できないまま、サーキット周りの道路を進んでいく。

そして、気づけばサーキット入口近くの駐車場へ到着するが・・・

ご覧の通り「満車」という案内。まぁすごい車である。後ほどSNSを見たところ、なんと土曜日の朝からずっと駐車して過ごしている人もいるそうだ。9時に到着すれば・・・という考えは完全に甘いものだった。

結果として入口から一番遠い駐車場に停めることになった。駐車した時間は11時。2時間も経過していた。
停められないのは避けられた。ただ、自分と友人たちとで「もう少し自分たちで情報収集を行うべきだったな・・・」「もっと早目に出られれば良かったね」と何故かレース観戦なのに仕事のミス的な感情に陥ってしまった。
サーキット内へ・・・でも歩くっ!
駐車することが出来てホッとしながら、いよいよサーキット内へ。緑色のSUGOの文字が出迎えてくれた。

入口近くでは様々なバイクが並んでいて、普段は町中では感じられないモータースポーツを肌身で直接感じ取れる。

いよいよサーキットだ!と興奮していると「ここから1km歩きます」と友人が言う。
はい?
このバカは何を言ってんだ?と思っていると、ご覧のような看板がちらほらと

ピットやホームストレートを眺められるグランドスタンドまで600mという看板もありけり。シンプルに歩かせる看板のが怖いぜ。
そして自分の前に見えてきた道路。

ははっ・・・参ったねこりゃ・・・と乾いた笑いが飛び出てしまった。
ただ、みんなここを歩いているのだ。ここを超えねばレースは見れないということだ。足をずんずんと進ませる。ちなみにこの坂を歩いたせいなのか、翌日左ふくらはぎがバカ痛ぇ状態になりました。みんなも気をつけようね!

グランドスタンド到着
モーターレース観に来たのに最早登山じゃねぇか!というツッコミは置いといて、いよいよグランドスタンドが近づいてきた。

グランドスタンドへアクセスできる階段を上がって、いよいよホームストレート・・・!と行きたいところだが、

人がすごい・・・!こんな山間部に人が溢れんばかりに集まっている。ホームストレートやピットなんて見えやしない。
グランドスタンドの上部には各チームのショップや飲食物を発売する売店が並んでいるので、人が前から横からともみくちゃ状態。街で一番人が集まる祭りの雰囲気のそれ、だった。

それにしても様々な年齢層のお客さんが居るなぁと発見する。昔からモーターレースが好きなのであろう60代以上の男性がいたと思えば、10代ぐらいの男性に小さな子どもを連れた20代ぐらいの女性などなど。モーターレースって色んな人に愛されているのね、と勉強にもなった。
更に服装にも注目が行く。SUPER GTで走っているチームのポロシャツやウェアを着ている人が多い。ここいらはサッカーや野球と一緒なんだなぁ。そこに加えてF1のレッドブルやマクラーレンといったチームのポロシャツ・グッズを身にまとっている人もチラホラ。じゃあちょっと自分も買ってみたりするかな!とグッズを販売するショップを横目で見ると8000円!9500円!という文字。

・・・ごめんよ!と変に謝罪しながらグランドスタンドの上をずいずいと進んでいく
1コーナースタンドへ
我が持っているチケットは自由席。残念ながらグランドスタンドに立ち入る権利はもっておりゃせん。ということで、グランドスタンドを通過してホームストレートの端、最初のコーナーに位置するスタンド「1コーナースタンド」へ舞い降りよう。

1コーナースタンドには長椅子が設置されていて、そこには大量の人・人・人。
時刻は11時30分。レースは13時30分開始予定なので2時間前以上からここにいる人たちは鎮座していることになる。そら駐車場確保するのも簡単じゃないや。
スタンドの最上部に空いているスペースがあり、そこに直立。そして、そこから見えた景色は、

これである。スゲェっ!ホームストレートじゃねぇか・・・!野球・サッカー・ラグビーと様々なスポーツを観戦してきたが、モータースポーツにも見て感じるものがあるとは。現地に来ているぜっ!と思わず笑みが零れそうになる瞬間だった。
ウォームアップ
12時丁度。この時間から20分間を「ウォームアップ」練習がスタート。

ピットからキュインキュインと甲高いドリルというかタイヤのボルトを締めるピット作業が始まった。
ピットからレーシングカーが登場。出てきただけで音が市販の車とは違う。ブロロッと自分の鼓膜を強く揺らそうとする低音がサーキット内に響き渡る。

1コーナーということもあって、多くがここをキレイにすり抜けていく。ホームストレートをぶっ放しているのに、簡単に曲がっていく。

どのドライバーも簡単に進んでしまうものだから「なんか自分でも行けんじゃね?」と思ってしまいそうになるが、ドライバーのみなさんが上手いのであって、そんな簡単な世界ではない。

ウォームアップは途中でトラブルが発生したこともあって25分近く要して終了。
ホームストレートにはレース開始前のセレモニーの準備が始まった所だ。

レースの前に・・・
SUPER GTがいよいよ始まろうとする。そんな時に「SUPER GTって違うカテゴリーでも一緒に走るんだ」と友人が言う。ばんなそかな。調べてみる。
まずGTとは何か?前述のGoogle先生もそうだが、ChatGPT超先生に聞いてみると、「グランツーリスモ=長距離旅行用の車」という意味だと教えてくれた。つまりは、市販車に基づいたスポーツカーを改造して戦うカテゴリーという意味になる。
そんなSUPER GTにはクラスが2つあり、GT500クラスとGT300クラスの2つとなっている。GT500はパッと見、市販車のように見えるが中身は完全なレーシングカーとなっていて、各メーカーの開発が盛んである。
GT300では市販車を改造したものが投入されていて、外国車も参入している。それぞれのクラスに特徴があり、レースではどちらのクラスも同時に走行する。
となっていた。本当だったのか・・・
レース中でもGT500のライトは白、GT300は黄・茶色系統のライトが使われていて、違いによってクラスの違いもわかりやすくなっている。
そういう違いを理解すると、レースの展開や車の速さがより一層楽しいものになる気がする。というか、それをレース開始直前で知るっていうのもどうなんだ?とは思うが。
レース開始
SUPER GTはローリングスタート。先頭に宮城県警察の白バイ隊がいたのだが、サイレンが鳴った瞬間に耳をつんざくような音が轟いた。こんな音が町中で響いたら皆観るわな・・・という音。

フォーメーションラップがスタートするとスタンドがなんだかソワソワ感に包まれた。いよいよレースが始まる。

1周のフォーメーションラップが終わると、ウォームアップとは異なりスピード感が全く違う。正直なことを申し上げるとGT500の方が速いとか言うけども、どれもこれも速い!
先頭が行った・・・この後に何台も連なって・・・あれもう先頭来た!という感じでレースに合間が少ない。
またドライバーの操作一つ一つに緊張感があるように見え、更にはスピードに妥協が無いように感じる。アクセル全開でホームストレートを進んできて、そのまま1コーナーに進入してくる。
レース序盤。1コーナー出口で、

あっ、

スピンだ!

スタンド全体が「あああっ!」と驚きの声に包まれるがすぐに復帰。そのまま奥へと消えていく。あっという間の出来事だった。

この写真を撮っていて思ったことがある。
やっぱ良いレンズ買わねぇとなあ!
ということだ。撮影をしている人たちの殆どがお高そうなカメラ・レンズを胸に携えてレーシングカーを捉えている。自分はというと・・・Nikon Zfのレンズキット40mmの単焦点レンズでやってきてしまった。望遠レンズ買わないとなぁ・・・とまさかカメラについて考えることになるとは思ってもいなかった。
場所を移動
ずっと1コーナースタンドでも良いのだけども、折角なら移動しよう!ということで、グランドスタンドと1コーナースタンドとの間にある場所へ。

ものすごいスピードである。横からビュンと抜けていく姿がカッコいいぞ!


近くでは日産の応援団が。大きな旗が振られていて、こちらも迫力がある。

更に場所を移動して、今度はシケインエリアへ。シケインエリアには座席とかが全く無い完全立ち見エリアである。

フェンスがあり、少々見辛い部分は否めない。が、大きく旋回してそのままmホームストレートへ突っ込んでいく姿を捉えられる。


ものすごいスピード、音。それぞれを眼の前で楽しめるポジションだった。

早期撤退
レースが始まり1時間ほど経過。今回の観戦するにあたって「帰りの渋滞を避けたい」ということで早期撤退を提案されていた。最初は「優勝を見届けるのがモーターレースだろうが!」と思っていたが、朝方の渋滞を見てしまったら、気が変わった。今回はチェッカーフラッグを観ることも無く撤退することに決めた。
耳も大きな音に慣れてきたところだったが、イソイソとサーキットを抜けることにした。
さて、今回の観戦で思ったのは「もっと下調べをするべきだったな・・・」というところだ。いや、どの界隈においても下調べをするべきなんですけどもね。
渋滞にしても、ルールにしても、公式サイトを覗き込めば書いてあるし、自分のようにモータースポーツについて取り上げる個人サイトでは有益な情報を掲載している人もいる。その人達の知恵を借りられれば、もっと良い環境でレースを眺められたのではないかな?と思ったりしている。
あと、次のレースを観に行く際には・・・もっと良いレンズを買って挑みたい・・・!という思いである。望遠レンズで1台1台パシャパシャと撮って、カッコいいものを撮りたいものだ。その分のお金は・・・まぁ貯めるしかないっすねぇ・・・何なら石油王から100万円もらえないかなぁ。
轟音が轟くサーキット場。もう一度行ける時があれば、いやいつか行かねばならぬ場所であると、自分は思うわけである。
