11月25日、東京ドームで行われた野球の国際大会「プレミア12」の決勝戦が開催された。
結果として、日本を4-0で破った台湾の勝利。初優勝の台湾が頂点に立ったことで幕を降ろした。
一部の球団を除けば、これからファン感謝祭の開催が控えている。それらも終わればこれにて、2024年の日本プロ野球も完全なオフシーズンに突入する。
オフシーズンに突入すると選手達は長期間の闘いで負った疲れを癒やしたり、来シーズンでの飛躍を狙うためにトレーニングや教育リーグに出場するなど来季に向けて励むわけだが、プロ野球を開催していた「球場」にもオフシーズンが到来する。
オフシーズンに突入した球場周辺では一体どうなっているのだろうか。シンプルな疑問ながら見てみたい気持ちがある。
特に球場専用の駅を設けている西武鉄道に注目が行く。埼玉西武ライオンズの本拠地である「ベルーナドーム」からほぼ真横に「西武球場前駅」があるのだが、野球もイベントも無い日はどうしているんだろうか?
ということで「プロ野球もイベントもやってないベルーナドーム周辺って、どうなってんだろうねぇ?」という疑問を解消するべく、私は西武球場前駅まで向かうことにした。
八坂駅から西武球場前駅へ
ドムドムハンバーガーで腹を満たして、八坂駅へとやってきていた。ここからベルーナドームの最寄り駅である西武球場前駅へ向かうことにしよう。
八坂駅から西武多摩湖線の終着駅である多摩湖駅へ。電車は黄色い車両だ。
八坂駅を出て数分すれば住宅街が一気に眼の前で広がる。
西武多摩湖線の終着駅は多摩湖駅。
そこから更にレオライナーという愛称で知られる西武山口線に乗り換えが出来る。
多摩湖駅の改札付近ではライオンズの試合速報を書き込むホワイトボードが設置されていた。もちろん、試合は無いので何も書かれていない。
西武多摩湖線と山口線は基本的に接続(列車の乗り換えが出来る)されている。山口線は日中帯だと20分に1本。20時以降となると30分に1本のペースで運行される。
ベルーナドームでプロ野球やライブといったイベントが開催となると、山口線は10分に1本というペースで走るという。また多摩湖線も合わせて増発される。
レオライナーに乗る
西武山口線は多摩湖駅から途中に西武園ゆうえんち駅を通って、西武球場前駅へ向かう路線。
元々は、西武園ゆうえんちの施設「おとぎ線」として開業したという経緯があり、人の輸送よりも西武園ゆうえんちのアトラクション色が強かったそうだ。いわば、東京ディズニーランドのウエスタンリバー鉄道などと一緒である。
1984年に西武ライオンズ球場(現在のベルーナドーム)へのアクセス改善を図ることを目的に「おとぎ線」としての運行を終了。そんな山口線の愛称は「レオライナー」、由来はライオンズのマスコット「レオ」から。
山口線は通常の電車線と異なって、線路内に高電圧が流れておりそれを用いて車両を動かしている。なので、こんな注意書きもあったりする。
お昼12時前ということもあって、3両の先頭には複数人乗っていた。しかし、自分がいた前から3両目の車両には誰も乗っていなかった。
多摩湖駅を発車してすぐ、西武園ゆうえんちの横を抜けていく。ゆうえんち内にある「夕日の丘商店街」を見ることも出来る。
西武園ゆうえんち駅を発車すると、西武園ゴルフ場が見えてくる。流れる車窓は、過去に西武グループが築き上げた栄光を見せられるているようだ。
そして、今回の目的地である西武球場前駅へ到着。乗車時間は10分にも満たない。
西武球場前駅構内を探索する
西武球場前駅はその名の通り西武球場、現在のベルーナドームの最寄り駅である。西武山口線と西武狭山線が乗り入れている。
西武山口線はホームが7・8番線の2つに対して、狭山線のホームは1〜6番線まである。ホームの末端から6番線まで眺めると圧巻の景色である。
野球やイベント開催時だとこの1~6番線ホームが臨時列車で埋め尽くされる。特に、プロ野球開催時には臨時の急行「池袋行」であるとか、臨時の特急列車も走ったりと、ライオンズ試合開催専用の「臨時ダイヤ」というのも存在する。
ただ、ベルーナドームで野球やイベントが開催されていない日だと1・2番線ホームしか使われない。とにかく、この駅は野球やイベントのためにある駅と言っても良いだろう。
平日の日中帯に走る列車は「西所沢」行ばかり。土休日だと池袋行が数本あるそうだ。
改札機は10台近くある。ドームで野球・イベント開催時には常設の自動改札機の他に臨時の改札も用意される。
西武球場前駅を出て周囲を散策する。
ということで、駅構内をある程度散策したところで、改札を出てみることにしよう。
西武球場前駅を出てすぐのところに大きく「ベルーナドーム」という看板が見える。
プロ野球開催日やイベントの時には多くの人がその下をくぐっていくのだろうけども、当日はドームの予定は何一つ無い。入口は当然しっかりと閉ざされていた。
入口横に移動するとライオンズのグッズ売り場「ライオンズ チームストア フラッグス」があった。のだが、平日は定休日。プロ野球が開催されない平日は原則休業日。金曜・土日・祝日に営業をしているようだ。
西武球場前駅の改札近くには対戦相手を掲示する看板が。西武ライオンズのファン感謝祭が訪れた日の数日後、11月23日に開催される予定だったので、変更する意味は無いのだろう。
それにしても、シーズン中に変化が生じた内容について修正されていないんだな。と気づく。まぁ、掲示されている内容は簡単には変更できないようだ。
ベルーナドームの横には西武ライオンズの本社ビルがある。オフシーズンだがビル内には照明が。ちなみに、この裏には狭山スキー場があり、人の出入りは西武球場前駅の中でも一番多かった。
西武ライオンズの本拠地であるベルーナドーム。その近くには選手寮である「若獅子寮」があったり、室内練習場の「プロスピ・トレーニングセンター」がある。
トレーニングセンターの一部入口が開いていて、中を覗き見ることが出来た。中では一人の選手がトスバッティングをしていた。入口の前には男性が3人。男性たちの頭には西武ライオンズの帽子。熱狂的なファンなのだろう。
このトレーニングセンターでは一部の練習がファンに公開されることがある。練習に出る選手などはホームページでお知らせとして掲載されるそうなので、興味がある方はチェックしてみるのもいいだろう。
野球だけじゃない
西武球場前駅はベルーナドームやそれに関連する野球施設ばかりなのか。いや、そんなことはない。普通の町中にある駅と代わり映えないところもある。
移動すると「ライオンズ整形外科クリニック」なるものを見つける。
ライオンズと書かれているので選手専用、というわけではないようで一般の人も受診できるそうだ。
その西武ライオンズ整形外科クリニックの反対側にはコンビニがある。
西武球場前駅近くにある唯一のコンビニ「ファミリーマート 西武球場前店」は静かな日を送っている。
ということで、何かあるわけでもない
プロ野球もない、イベントもない。だったら逆に何かあるのか?というとそういうわけでもなく、ただ閑静な駅と駅前。ということだ。
西武球場前駅を散策していて思ったのが、なんやかんやアパートやマンションがあるということに気付いた。
西武球場前駅の家賃相場を調べてみる。
住宅情報「SUUMO」によると、新築マンションで徒歩5分という条件下だと1LDKは8.2万円、2LDKだと11.5万円になるそうだ。
ドームのイメージが強い西武球場前駅。平日も土休日も、イベントが何も無い日でも、駅は地域のために動き続けている。そんなことを改めて思い知った。