もう2024年も終わってしまう。いやはや、早いものである。どの界隈も年末ムード真っ只中という感じであるが、映画界隈にも年末ムードが到来。年末年始には邦画・洋画共に注目作品が控えている。
そんな中、X(旧Twitter)のトレンドにとある映画が急上昇した。
その作品は「インターステラー」
この作品は2014年に公開され、今年で10周年。そう10年前。その「インターステラー」が2024年に映画ファンが熱狂していた。10年前の作品が、だ。
ここに来てなぜ映画ファンが熱狂したのか。それは「インターステラー」が10周年を記念して全国で再上映されているからだ。
10年前に公開された作品とは思えないほどの注目度を集めた「インターステラー」と映画ファンが集結した映画館「グランドシネマサンシャイン池袋」での様子、今回はそれらを少しまとめた記事だ。
目次
インターステラーについて
映画をこよなく愛する人には説明も不要だろうが、「インターステラー」という作品について少しお伝えしよう。
インターステラーは2014年11月に公開されたSF映画だ。
監督はクリストファー・ノーラン。主演にはマシュー・マコノヒーを据えて、全世界に公開。全世界で興行収入が3億ドル、日本でも大ヒットし12億円以上という記録を打ち立てている。
あらすじ
近未来、地球規模の異常気象と飢饉によって人類滅亡の危機が迫っていた。元宇宙飛行士のエンジニアで現在はトウモロコシ農場を営んでいるクーパーは、NASAの要請に応じて人類の未来を懸けた前代未聞のミッション「ラザロ計画」に参加することになる。計画の内容は、土星付近に突然発生したワームホールを通り抜け、新しい惑星へと人類を移住させるというものだった。家族と人類の未来を守るため、クーパーは少数精鋭のクルーとともに前人未到の地へと旅立つが……。
映画.comより引用
他の映画となんだか違う
あらすじを読むと普通のSF映画だ。地球が死にかけているから、宇宙へ飛び出して移住できる星を探す。これがインターステラーのストーリーだ。
そんなインターステラーになぜ映画ファンは熱狂するのだろう。
映画というのは公開して1ヶ月程度は世間で注目を浴びるが、萎れる花のように時間が経っていけば公開されていたことさえ忘れられてしまう。その後はたまに見られて、たまに思い返される。いくら名作といえどそのスパイラルからは抜け出すことは難しい。それが映画作品の運命でもある。
ただこの「インターステラー」、そのスパイラルに陥っていない。2020年代もそろそろ後半戦へ突入しそうな時代であるが、ファンが向ける作品への興味と熱量が維持され続けている。
出演者が他の作品より豪華だから?だろうか。確かに主演にはマシュー・マコノヒー。
共演者にはアン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、マイケル・ケイン、マット・デイモン・・・とそれぞれが主演となってもおかしくないレベルの俳優たちが並んでいる。作品を作り上げていく過程では素晴らしい役者が必要だ。だからみんな熱狂的でいられるのだろうか。
次に、監督が有名な人物だから?だろうか。
監督はクリストファー・ノーラン。
「インターステラー」が公開される以前は、「バットマン ビギンズ」「バットマン ダークナイト」「バットマン ダークナイト・ライジング」とバットマン3部作を世に送り出し高評価を得ていたし、レオナルド・ディカプリオや渡辺謙が出演した「インセプション」も素晴らしい作品である。2024年までに「ダンケルク」「テネット」「オッペンハイマー」と話題作を作り出した。そんな監督が送り出した作品は時間が経過しても朽ちることはない。だからみんな好きでいられるのだろうか。
それ以上に「緻密な科学考証」と「長時間でも耐えうる作品の完成度」にあると思う。
素晴らしい完成度
急に語彙力がゼロになったような感想になってしまうが「インターステラーは本当にすごい」のだ。
死にかけた地球から新たな人類が住める星を探しに宇宙へ。登場人物たちが無限に広がる宇宙を旅する最中に出てくる「ワームホール」や「ブラックホール」、更に重力についての表現などなど、細かな科学考証が重ねられている。
映画・ドラマで見かけるようななんちゃって科学ではなく、科学者目線から見ても完成度の高い内容となっているのだ。
特に「ブラックホール」について。2014年当時はブラックホールが撮影されておらず、どのような形をして、どのような構造をしているのか、実像がわかっていなかった。
しかし、公開から5年後の2019年にブラックホールの撮影が成功と発表。その後にNASAはブラックホールを可視化した映像を公開。その映像がまた「インターステラー」に登場するブラックホールと瓜二つ、と話題になった。
もちろん、科学的根拠が裏付けられたデータやアイディアがあるから映画が面白くなるというわけではない。
そこに、監督が何度も書き直した脚本、追求した映像の迫力、CGを使わない美しさ…が合わさって、この作品を超大作へと推し進めた。
インターステラーは上映時間「2時間49分」という長さである。映画作品の中では長時間作品に部類される。今は短時間で楽しめることが求められる時代である。3時間なんて世間からは忌避されそうだ。
しかし、見てみると3時間近い作品とは思えないほどにストーリーの細かさが詰め込まれている。全てが緻密ながら、心をずっと揺り動かされて、終いには3時間近くみたことさえ忘れて、どこか映画館を出ることさえ惜しいと思わせる作品なのだ。
なぜ池袋にみんな集まるんだって話ですわ
素晴らしい作品であることはわかった。なら、どうして池袋にみんな集まったのか。という話に移ろう。
このインターステラーでは一部映像に「IMAXカメラ」が使用されている。
映画撮影では最新技術となるIMAX。その映像美・迫力ある音を楽しむためにはIMAXシアターに出向く必要がある。
IMAXとは
革新的な4Kレーザー投影システムを採用し、より鮮やかで明るく、深みあるコントラストの超高解像度映像を実現。
音響面では12chサウンドシステムを採用。圧倒的な臨場感で客席を包みます。最大で1.43:1の画角にまで拡張し、一般のスクリーンに比べ約40%広い映像をお届けします。
シネマサンシャイン・IMAXとは?より引用
2014年公開当時は残念ながら日本国内でIMAXを導入した映画館は少なかった。「109シネマズ」の一部映画館という状態ということもあって、IMAXでインターステラーを楽しむことが難しかった。
しかし、ここ数年にかけて日本全国の映画館にIMAXが導入され始めた。再上映となった2024年現在では全国で50箇所以上の映画館に導入されている。
なら池袋じゃなくてもいいじゃん。と思うだろうが、そのIMAXの中にも位があるのだ。
最上級となる「IMAXレーザー/GTテクノロジー」というものがある。
グランドシネマサンシャイン池袋はすごいんスよ
首都圏と四国で15の映画館・シネマコンプレックスを運営する「シネマサンシャイン」。その旗艦となる映画館が池袋にある。その名も「グランドシネマサンシャイン池袋」だ。
グランドシネマサンシャイン池袋は池袋駅から歩いて5分程度の所にある。
2019年7月に開業。この映画館の目玉は「IMAX」。
特にそのIMAXは「IMAXレーザー/GTテクノロジー」という国内で2例目となる最上級のシステムを導入。
映画館の中でも最大となる高さ18.9メートル、幅25.8メートルという巨大スクリーンでIMAX作品を鑑賞できるということで、これが一気に映画ファンの間で話題となった。
国内では2つしかないIMAXの最上級システム、更に日本でも巨大となるスクリーン、更に更に東京の中でも都心部に位置する映画館ということもあって、グランドシネマサンシャインは常に映画ファンの注目の的となっている。
そこに降って湧いた「インターステラー」の再上映。映画ファンは最高な状態で、最高な環境下で見たいのでグランドシネマサンシャイン池袋に集っている。ということだ。
チケットは争奪戦
まず最初に述べたいのは、ここからは「映画館のチケット」についての話である。決して、繁忙期の新幹線や飛行機、人気アーティストのチケット争奪戦、限定商品の発売といった部類のことではないことをご承知おきたい。
今回のインターステラーの再上映、グランドシネマサンシャイン池袋のチケットが「争奪戦へ発展」した。もう意味わかんないでしょ。10年前の作品なのにだ。
シネマサンシャインのチケット販売の仕組みとして、よくある質問にこう書かれている。
オンラインチケット購入はご鑑賞日の2日前午前0時(シネマサンシャインリワード会員は3日前21時)から、劇場窓口は2日前のオープン時よりご購入いただけます。
※一部作品・上映によっては通常よりも早くからご購入いただける場合もございます。
※シネマサンシャインリワード会員の早期購入は一部作品・上映によっては対象外となる場合がございます。
例として、12/7に鑑賞する場合には2日前の0時に発売、つまり12/5の0時にインターネット上で発売開始となる。
加えて、シネマサンシャインの有料サービス「シネマサンシャインリワード」に加入している会員であれば特典として3日前の21時、つまり12/4の21時から購入可能となる。
その発売時にあまりの注目度の高さによって、サーバーが捌ききれずパンク手前まで行くという自体に発展した。
発売当時の状況を少し再現してみよう。
シネマサンシャインの先行発売開始時刻である21時。そこで上映スケジュールのページを更新すると、一気に「◯ 購入」という表示に切り替わる。
のだが、そのボタンを押すと、「アクセスが混雑しております」的な表示に切り替わってしまい一切座席の画面に推移しない。
そして、やっとアクセス出来た!と思って座席表を見ると、他の人に確保されたことを示す赤い表示で埋め尽くされているという始末だ。
グランドシネマサンシャイン池袋で大作が公開される際、前述のことがよく起こり得ることである。
ただ、「インターステラー」の凄いところはNetflixやAmazon Prime、U-NEXT等の配信サービスで視聴できる環境であるのにも関わらず、平日のレイトショーが満席、平日の真昼間の多くが埋まってしまうという状況を生み出した。
また土日となれば「満席」表示となるほどで、本当に映画館のチケットなのか?と思わせるほどの熱狂ぶりが伺える。
館内は映画ファンでいっぱい
ここからは当日の劇場内の様子をご紹介しよう。11月25日の12時40分からの回で鑑賞することにした。
12時20分ごろに劇場に到着。すると、4階が混雑していた。
グランドシネマサンシャインの4階にはポップコーンやドリンクを取り扱うコンセッションがある。そこには長蛇の列が出来上がっていた。グランドシネマサンシャイン池袋の入場は原則15分前。インターステラーを見ようとする人たちが一気に並んだのだろう。そのため、ポップコーンとドリンクのセットを購入するのに5分程度掛かってしまった。
また、IMAXスクリーンは12階にあるので移動も大変だ。グランドシネマサンシャイン内の移動をする際には余裕を持って挑みたいところだ。
IMAXスクリーンの12階への移動
IMAXのある12階に行く方法としては2つ。まず、エレベーターで一気に向かう方法だ。ただ、これはあまりおすすめはしない。グランドシネマサンシャイン内のエレベーターは2機しかなく、また映画館外からも利用出来るため非常に混雑する。
もう一つの方法であるエスカレーターを乗り継いでいく方法を強くおすすめしたい。エスカレーターだと時間が掛かってしまうが、名作のポスターが掲示されていたりと視覚的楽しさもある。混雑を避けるという意味でもエスカレーターを選ぶのが無難だ。
12階に到着すると池袋駅方面の景色を高層から眺められる。
ただ、あまり広い空間ではないので、混雑具合を見て眺めよう。
12階にもトイレはあるが、決して多くはない。男性用・女性用両方とも限られたスペースに用意されている。各階にトイレがあるようなので、事前に済ませておきたいところだ。
上映前には予告編が上映されるが、薄めの照明になる関係で早めの入場を求められる。もし用事がないのなら、早めに入場しよう。
座席について
グランドシネマサンシャインの座席は4種類。
- 通常の座席「スタンダードクラス」
- リクライニングとサイドテーブルが付く「プレミアムクラス」
- 電動リクライニングとサイドテーブル、ボトルクーラーが付く「グランドクラス」
- IMAXシアター内前方にある「フラットシート」
プレミアムクラスとグランドクラスはそれぞれミールクーポンが付く。今回はプレミアムクラスを利用、プレミアムクラスを利用するには+1500円の追加料金が発生する。
合計料金は、『映画鑑賞料金+IMAX料金・800円+プレミアムクラス・1500円』の合算額となる。
映画を見るだけと考えれば、お高い印象がある。
ただ、追加料金のいらないスタンダードクラスでは前後左右の座席間隔が狭くなっていたり、座席自体がそこまで座りやすいものでもない。プレミアムクラスだと足先は伸ばせるし、左右に座る人の事を考えなくても良くなるメリットもある。
更に長時間作品となれば鑑賞以上に身体的負担が強まるので、金銭的余裕を鑑みて購入することをおすすめしたい。ただ、プレミアムクラスもまた争奪戦であることには変わりない。
鑑賞マナーについて
もし、このページに辿り着いた方の中で「グランドシネマサンシャイン池袋に初めて行ってみたいなぁ」と思っている方にお伝えしたい。
「決して治安が良い映画館ではない」
グランドシネマサンシャイン池袋は立地・話題性からか、マナー違反をしてしまう人が多い印象だ。
上映開始後に入場、スマホのライトを付けて移動、飲食物の持ち込み、何気なく上映中にスマホを触って、、、これらのマナー違反を平気にやってしまう人が必ずいる、「治安はよろしくない」と思うほうが良いだろう。
逆に自分自身がマナー違反をしないように注意しよう。
作品上映前には携帯電話・スマホ・スマートウォッチの電源を切るように、というマナー動画が上映される。つまり、それだけ上映中のトラブルが多発しているという裏返しでもある。
グランドシネマサンシャインは最高の映画体験が出来る場ではあるが、最低の観客と出会う可能性が高い場でもある。そして、自分自身が最低な観客となる可能性もある。
その点を念頭に置き且つ自分が最低な観客とならないためにも、マナー違反をしない、そこを意識をしたいところだ。
でも、ここで見るのも良いもんだ
グランドシネマサンシャインのIMAXスクリーンで楽しむ「インターステラー」は最高という感想以外に浮かばない。
当日は座席の殆どが埋まっていた。それでも、全員が大画面に映し出されるインターステラーのストーリーに魅了されていた。
個人的には宇宙を移りゆく映像と静けさが妙に好きだ。全員が息を吐くのを忘れてしまったのかというほどスクリーン内は静かになり、真正面には真っ暗闇の中を進む宇宙船・エンデュランス号の姿。その瞬間が非常に好きだ。
また巨大なスクロールに映されるブラックホール内の映像。映像美以外の何物でもない。光の明滅や座席を揺れ動かす破裂音。これもまた良き。
グランドシネマサンシャインでの上映は12月12日終了予定。
映画館とは思えないチケットの争奪戦や熱狂的な映画ファンが集まることに尻込みしてしまいそうになるかもだが、是非その山を超えてグランドシネマサンシャイン池袋でインターステラー、これから公開される大作を鑑賞してみて欲しい。
映画を見る行為を超えて、1つの出来事・瞬間に出会う感覚。それらは一生の思い出となり、忘れられない感動と成りえるはずだ。
もし、この投稿があなたの参考に成りえたなら、これ幸い。ということだ。