東京・羽田空港から広島空港、そしてそこから広島市内へ向かうことになった。
広島空港は広島市内からかなり遠い地域にあり、飛行機が到着するのに合わせて市内へのリムジンバスが運行されている。
そんなリムジンバスより、どうやら路線バスを使いJRに乗り換えたほうが便利”らしい”という情報を手に入れた。
果たしてそれは本当なのだろうか?
目次
広島空港から広島市内へは”数字上”はバスが便利
今回初めて広島空港を利用することになった。東海道新幹線・山陽新幹線を利用しなかった理由として、「JALのマイルも貯まっているし、特典航空券で行くか!」という単純な経済的理由からだった。広島に行ければ何だって良いさ!という軽い気持ちだ。
しかし、航空券を予約後、広島空港は広島市内からとても離れた場所にあることを知った。
まぁ遠い。Googleマップで広島駅を表示後に何度かズームアウトを繰り返してやっと。という遠さ。
しかも、広島空港は広島市ではなく三原市だし。気づくのが遅すぎる。まぁ完全な後の祭りである。
予約をしてしまったからには引き返せない。広島空港から広島市内へ向かう方法を調べていくと、「リムジンバス」が表示された。
バスの時刻表を見てみると、飛行機の到着に合わせて広島空港から出発するように設定されていた。所要時間は50分程度、運賃は片道・大人1450円、往復割引を利用すると2620円となるそうだ。
そこまで高いわけでもなく、時間も羽田から飛行機→バスの合計で3時間程度。新幹線で東京→広島へ向かうとなれば4時間。そこまで時間が掛かるわけでもないようにも見える。
リムジンバスの利点として、
- 面倒な乗り換えが必要がない
- 広島駅↔広島空港間を座って移動できる
- 飛行機の到着・出発に合ったダイヤ運行
といったところだろうか。
初めて訪れた空港・駅から何度も乗り換えするのは面倒だ。しかも、疲れがあるのに座れないというのは厄介でもある。その点に関してはリムジンバスというのは便利である。
ただ、リムジンバスを運行する広島バスのサイトを見ていると不穏な文字が見えた。
十分な便数を運行しておりますが、まれに満席となる場合もございます。その際には次便のご利用をお願いすることもございます。
広島バス/広島空港リムジンバス・ページより引用
う、うん?な、なんか怖い文章が掲載されてますなぁ。ただ、まぁ致し方ないことな気もする。羽田空港からやってきた人たちの大半が広島駅行のバスを利用するだろうし、それは予測できることだ。メリットとデメリットが双方に存在するのはしょうがないこと。
更に調べていくと、バスの共同運行を担う広交グループのページにはこんなのが。
天災、交通渋滞、道路閉鎖等により、バスが予定時刻に発車又は到着できない場合があります。この場合、予定に間に合わなかった際の責任は負いかねますので、予めご了承下さい。
広島交通・広交グループ/広島空港リムジンバス・ページより引用
ま、まぁバスを使う上で交通渋滞というのは致し方ないでしょう。
・・・・・・
ちょっと不安になり、「広島空港 バス 渋滞」とGoogle先生に検索してみると、広島空港が掲載したとあるページを見つけた。
その内容は「渋滞予測が出ているので、時間に余裕を持って行動を」という内容だった。
大型連休を中心に高速道路は渋滞するらしい
大型連休に突入すれば高速道路の渋滞というのは付き物だ。それは広島空港周辺の高速道路も例外ではない。
見つけたページを深堀りしていく。広島空港から広島駅間には山陽自動車道があり、多くの車・バスが経由する。その山陽自動車道がゴールデンウィーク時に5kmの渋滞が予測されていて当日は気をつけて、という内容。
広島インターチェンジから広島空港最寄りの河内インターチェンジの間は通常であれば30分程度。
そこに10kmの渋滞があると1時間、20kmの渋滞に巻き込まれると2時間も掛かってしまうそうだ。
広島空港・広島駅を繋ぐバスのデメリット
兎にも角にもリムジンバスにはデメリットがあるというのだ。以下に並べてみよう。
- 交通渋滞に巻き込まれると時間が読めない
- リムジンバスの混雑
渋滞は生物であり、時間が読めないのは致し方ないところがある。しかし、混雑も加わるとなると、うーん。と悩んでしまう。
情報を収集していくと、「広島空港到着からリムジンバスに乗り込む時に、長蛇の列が出来ていた」「リムジンバスに乗るのに20分以上待った」などという情報が出てくる出てくる。
うーん。やはり、なかなか厳しい。バスを待った挙げ句渋滞に巻き込まれておしりの肉がボロボロ取れる夢は見たくないもんだ。
でも、どうなんだい?リムジンバス以外に方法は無いんだべ?
と思っていると、前述の渋滞に関するページに「別ルート」があると掲載されていた。それは、「路線バスを使い、JR経由で広島駅へ向かう」という方法だそう。
JR経由のルート
調べると、リムジンバス以外にも広島空港からバスはいくつかのルートが発着しているようだ。
その一つに「白市駅行」というバスがあるそうな。
白市駅…知らんねぇ。
白市駅はJR西日本・山陽線の駅。広島駅から電車で約50分で到着する。
なるほど!白市駅から広島空港は近いのか!と地図を見ると、そういうわけではなかった。
広島空港から直線距離で見ても別に一番近い駅でもない。なぜこの駅から空港へのバスが発着しているのだろう。
白市駅から出発する理由は、調べてもわからなかった・・・。
ただ、白市駅は日中帯の殆どに始発列車が多く設定されており、広島からやってくる列車の多くが白市駅止まりとなっていた。
空港利用者にとってみれば始発・終着駅であれば着席できるし、降車駅も明確。そう考えれば白市駅が選ばれている理由というのも分かる気がする。
また、空港と駅を繋ぐバスの所要時間は15分程度。電車とバスの全行程を合わせても1時間程度とバスとそこまで変わらない。
更に料金の面でもバスは400円、電車は広島〜白市間が770円とリムジンバスよりも安い合計1170円。
更に更に、みんなリムジンバスを使ってしまうので混雑していないという話もある。
白市駅経由のメリットを並べていこう。
- リムジンバスよりも運賃が安い
- バスよりも時間が読める
- 白市駅からは始発列車が多く設定されていて、着席できる可能性が高い
- 混雑していない
逆にデメリットは以下の通り。
- バスと電車と乗り継ぐ必要がある
- 電車の運休が生じると利用できない
といったところだろうか。なんだか、白市駅ルート一択に見えてしまうが、果たして便利なのだろうか。
早速だが、ここからは当日の状況と合わせて実際に便利なのかい?という点で見ていこう。
12月14日の状況
東京・羽田空港を10時15分に発った後、広島空港には11時45分頃に到着した。
機内は土曜日ということもあり、窓側2列の席は殆ど埋まっていて、中程3列の席も空席はまばらという混雑ぶり。加えて、女性の割合が非常に高かった。
広島空港に到着し手荷物受取の場所を抜けると、大きく「Welcome to (Love)Hiroshima」という看板が出迎えくれた。
家族の到着を待つ人、レンタカーの予約客を待つスタッフ、慌ただしく空港を出る人。様々な光景が到着ロビーで見受けられる。そんな到着ロビーの奥の方には広島空港のアクセス情報という電光掲示板を見つける。
広島空港から出るバスは広島駅方面・広島市内方面の他に、呉駅や福山駅といった方面もあるようだ。その中には今回気になっている白市駅行もあった。
バスの利用方法
広島空港から出るバスに乗車する方法は以下の通りだ。
- SuicaやPASMO,ICOCAといった交通系ICカード
- 券売機で乗車券を購入
- クレジットカードのタッチ決済(一部路線)
券売機近くでは写真の通り、大きく「ICカードを持っていますか?」という案内が大きく設置されていた。
それを見た羽田便からやってきた人の大半は券売機で乗車券を購入すること無く、そのまま素通りしていく。
交通系ICカード・乗車券以外にも、最近では一部路線でクレジットカードのタッチ決済が利用可能となったようだ。
Apple PayやGoogle Payにタッチ決済対応のクレジットカードを登録しておけば、そのまま乗車が出来るので非常に便利。ただし、Mastercardについては非対応なので注意していただきたいところだ。
広島駅行の行列が凄いぞぉ…
羽田からやってきた人たちの多くがバス乗り場へと向かっていく。広島駅行は12時丁度の発車だ。
空港のバス乗り場は1番〜6番まであり、広島駅方面・広島バスセンター方面は1番乗り場から発車する。その1番乗り場を怖いもの見たさで見てみると、
すんごい長蛇の列が出来上がっていた。写っていないが写真の奥の方までズラッと人が並んでいる。そして、多くの女性の割合が高い。皆、キャリーケースやボストンバッグを持っている。
これは後にわかったことだったが、広島市内では人気アイドル東方神起のライブが行われていたようだ。それもあって、女性客が多かったということだ。
その後を観察していると、広島駅行の車両は長距離用バスだった。バスが到着し、扉が開くとそこに一気に人が入り込んでいく。空席は傍から見ても無い様子。また、大きな荷物を持つ人が大半なので、荷物の詰め込みにも時間が掛かっていた。
1台のバスが人間も荷物もパンパンという状態に陥って、長蛇の列は捌ききれていない。明らかな積み残し。広島駅行のバスは1台発車すると更に次のバスが救援としてやってくる。ただ、そのバスもまた人の波に飲み込まれていく。
リムジンバスのデメリットである「混雑」が目に見えて分かった。
では逆に白市駅行のバスの混雑はどうなっているのだろう。白市駅行のバスは12時05分発。乗り場は4番乗り場だ。
ご覧の通りである。高齢の女性が1人という状態だ。遠く反対側では騒がしく広島駅行のバスが動いているにも関わらず、バスの発車10分前を切っている状況でこの人数。
白市駅行のバスへ乗り込む
広島空港のバス・4番乗り場は白市駅行と西条駅方面のバスが発着する。
時刻表を確認してみると、白市駅行のバスの多くは飛行機の出発・到着に合わせて1時間に1〜2本の場合もあれば、全く運行なしという時間もあるようだ。
広島空港〜白市駅間は芸陽バスが運行し、運賃は400円。乗車時間は約15分。
下段には交通系ICカードが対応路線がどれか、という張り紙もあった。
白市駅方面は対応しているが、ある程度乗客がいそうな宮島・尾道方面は未対応ということだった。乗車前にはチェックすることをおすすめしたい。
バスは定刻の1分前、12時04分に到着。行先は「白市駅経由・ネオポリス団地」行。普通の路線バスでよく見かける車両だ。自分を含めて6人ほどが乗り込んだ。
遠くの1番乗り場を少し見遣ると未だに列を捌ききれていない。そんなのを尻目に全員が余裕を持って乗車をする。もちろん全員が着席した。
発車〜白市駅到着
運転手さんの「発車します」というアナウンスと共にゆっくりと広島空港のバス乗り場を離れていった。
その途中で広島駅方面の1番乗り場を通りかかった。1番乗り場は救援の救援、新たなバスが到着していたがパンパンに人を詰め込んでいて、未だに人の列を溶かし切れていなかった。
そんなのは関係なしに白市駅行のバスは空港の敷地を出ていく。
広島空港〜白市駅間のバスは路線バスとして運行されている。そのため、途中にはいくつかのバス停があるのだが、その殆どを通過。住宅地近くで1人が乗車のみ停車した。
それ以外は山間部や小さな住宅地を走り抜くだけ。土曜日の真っ昼間ながらに渋滞という文字が一つも浮かばないような、物静かな道路を進んでいく。
10分ぐらいして、バスが大きく曲がった。そして、バスの自動アナウンスが流れた。
「まもなく、白市駅」
あっという間に白市駅に到着してしまった。
白市駅から広島駅へ行こう
バスが白市駅前の停留所で停車すると、自分を含めて乗り込んだ全員が降車。
バスはこのまま白市駅近くにある「ネオポリス団地」という終着まで向かう。降車した後振り返ると、バスに残っていたのは運転手さんのみだった。
降車した全員が白市駅の改札へ吸い込まれていく。
白市駅は無人駅。券売機も1台のみ。もし駅員さんに問い合わせをしたい時はインターホンでの問い合わせとなる。
白市駅では交通系ICカードが利用可能となっている。規模が小さい駅だからか、改札機もどこかこじんまりとしている。
ICOCAエリア内にある駅のため、白市駅から広島を通り抜けて山口県の下関、岡山を抜けて大阪・京都まで向かうことも理論上は可能となっている。
駅に到着して驚いたのが「発車案内板が使われていない」ことだった。
どのホームからどの方面に向かう列車があるのか、一見しただけではわからない。一応は、「広島方面 階段をお上がりください」と書いていて、言われるがままに階段を上がるものの、2・3番線という表記のみで、次の広島方面は何番線から出るかがわからない。
当日は2番線に始発列車が停車していたが、後に3番線へやってくる列車のほうが先に広島に到着することになっていた。
始発列車の車掌さんが「広島へお急ぎの方は3番線へ」と放送していたが、これは鉄道に乗車することに慣れていない人からしたら厳しいところだろう。
自分はというと3番線の列車に乗り込んだ。車内は学生を中心に混雑していたが、空席はチラホラ。そのまま着席することが出来た。
そして、そのまま山陽線を進み、広島駅には13時15分頃に到着した。
最後に
個人的な感想としては、白市駅ルートは確実に混雑を避けられ、白市駅で始発列車を選べば着席も出来るという、良いルートと思える。また運賃もバスよりも安いのでリムジンバスと比べて経済的にも優勢に思える。
ただ、白市駅での乗り換えが人によってはネック、手間取るかもしれない。
普段から電車に乗り慣れていて、乗換案内アプリを使いこなせている人からしてみれば、そこまで難しいものじゃない。
電車はたまにしか乗らない、駅員さんとかに乗り場を聞かないとわからない、という人は少々難儀するだろう。加えて大きな荷物を持ち運んでとなれば尚更だ。自分の出来る事と相談の上で適切なルートを選んでいただきたい。
というわけで、広島空港〜広島駅のアクセスについての記事をお送りした。
もし、あなたの旅行に少しでも役立ったなら、これ幸いだ。