Midnight/意味:真夜中
徘徊/意味:あてもなく歩き回ること。ウロウロと歩き回ること。
今回は仙台駅前を深夜徘徊してみよう。曜日は金曜、時刻はもうすぐで0時を迎えようとしているが、あなたも一緒に如何かな?
仙台駅
昼ごろから仙台市内に居座り続けている雨雲は、もうすぐで日付が変わろうとしているのに未だ上空にいた。その雨雲は「明日になれば強まる」と天気予報士が笑って言っていた。
ただ、そんな雨雲は少しだけ弱まっていた。小雨がぱらつく程度。当日は東京だと30度近くまで熱くなったのに対して、仙台は20度行くかという気温。肌寒さに拍車をかける。
雨のおかげか駅前の空気内に余計なものがない、空気が澄んでいるように感じた。仙台駅の看板が心做しか輝いて見える。
駅前に鎮座するLOFTはすっかり眠っていて、昼間はひっきりなしにやってくるバスがやってくるロータリーもつかの間の休息に。
場所を移して、仙台駅の東口へ。
よくテレビとかで見る仙台駅の看板や各々のビルへと繋がるデッキがあるのは西口だ。
仙台駅の東口にはヨドバシカメラがある。西口と東口を繋ぐ自由通路が出来たことで人の往来が容易となった。以前の自由通路だと天井は低く、ごみごみとしていて、というような印象があった。しかし、2016年に新たな自由通路が完成、様変わりしていた。
改札へ
時刻はまもなく0時。日付が変わって、金曜日は去りゆく。
すると、駅は少々騒がしい。人が血相変えて猛ダッシュ。一体、どうしたっていうのか。
仙台駅から発車する在来線の列車すべてが0時02分に発車するからだ。
JR仙石線の東塩釜行、JR東北本線の白石行と松島行とそれぞれが同じ時刻に発車する。そのため、改札の前が若者を中心に陸上大会よろしく人の駆け足の音が響き渡る。
ちなみに、仙台市営地下鉄は2路線あるが、それも仙台駅を23時59分にすべての方面の列車が発車する。
酒と酔いどれと照明と
喧騒溢れる仙台駅から少し離れたところへ向かおう。場所は仙台駅から一番近いアーケード街「ハピナ名掛丁商店街」だ。
終電が行ってしまったことを気にしていないのか、それとも帰れないなら朝まで飲んでしまえという思考に至ったのだろうか。アーケード街は時刻に似合わない混雑と騒がしさを残していた。
ただ、雨から自分を守ってくれる天井は薄暗い。どうやら0時丁度に照明が落とされたようだ。
交差点の向こうに見える居酒屋でもまた笑い声が聞こえる。もう時間なんて関係なく酒を浴びている。
終電が行ってしまった地下鉄の駅。近くを歩くのは少し顔が赤らんだ女性と足取りが少し重たそうな男性。夜はまだ長い。
暗闇とギターとやはり酒
場所を再度移そう。今度は「サンモール一番町」だ。ここもアーケード街であり、南北へ伸びているのが特徴だ。
照明は完全に落とされていた。暗闇が優勢なアーケード街の端では静かにアコースティックギターで奏でる人がいた。その周りには人がいるわけじゃない。ただ、そのギターの音は寝静まろうとしているアーケード街に響いている。
アーケード街の路地裏に目線を移せば、「文化横丁」と書かれた看板が輝いているのを見つけた。
遠くの方でボイラーの音が聞こえる。薄暗さの向こうに酒の匂いがしそうだ。
そしてまた近くには「壱弐参横丁」の暖簾。いろは横丁と読むらしい。
通路は狭く、居酒屋がひしめき合う。酒に酔っ払ったのだろうか、スーツ姿の男性が知り合いの男性らしき人の肩を借りて歩いている。
ビルとビルの隙間の神社
アーケード街を抜けて、雑居ビルとの合間に出来た細路地を歩いていると、照明に照らし出された鳥居を見つけた。
ここは「野中神社」だ。商売繁盛、縁結びの御利益があるとされる。
奥の方に見える鳥居へ繋がる路がどうも異世界へ繋がっているような気がした。不思議に思ったのはビルとビルの合間、アーケード街の近く、酔っぱらいが闊歩するという条件下なのに静まり返っていること。
なんだか、この場所に妙な力が渦巻いているような気がした。
Mid-Night Deepens
気付けば0時30分。コンクリートに染み込んだ雨は未だ乾く気配がない。
昼間には人が往来していたであろう交差点も静かだ。水たまりに信号を映し出しているだけだ。
コンビニの店員さんも気怠そうに品出しを進めている。
さあ、ホテルへ戻ろう。今回のホテルは少々古臭さを否めない。だから、この澄んだ仙台の空気を吸っていこう。
体の奥底に真夜中の仙台が染み込んでいく。
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