東京駅から敢えて東海道新幹線ではなく、特急踊り子を選択してはるばる三島駅へ到着。時刻は13時40分を過ぎていた。
車内では軽食を食べたが、そろそろお昼時ガッツリとしたものを食べたいな・・・と思っていた頃合い。そんなガッツリとしたものに相応しい食事を提供してくれるお店があるじゃないか。
それはげんこつハンバーグでおなじみの「炭焼きレストランさわやか」だ。
ただ、「さわやか」もまた混雑から逃れられない人気店でもある。
静岡にしか無い「さわやか」
「さわやか」は静岡県内に展開するステーキ・ハンバーグレストランで、伊豆半島以外の静岡県内に店舗が存在する。
静岡市と浜松市の丁度中間に位置する菊川市に1号店を開店。当時はコーヒーショップとしての開業だったらしく、その後は売上低迷などの困難を乗り越えながら人気商品となった「ハンバーグ」を店の中心に据えるようになる。
静岡県西部・遠州地区で店舗を展開していたが、2000年代に入ると静岡市のある県央・東部方面にも店舗を拡大。この時期から静岡県外での知名度も徐々に上昇し始める。
さわやかといえば、げんこつハンバーグ。
さわやかの名物メニューであり、オーストラリア産の牛肉100%を使用し、店舗名の一部となっている炭焼(備長炭)で焼き上げ、熱々に熱せられた鉄板で提供するというのが特徴だ。
お店の人がハンバーグを半分に切り分けてくれて、鉄板に押し付けて熱を通してくれるという一種のパフォーマンスも見ることができる。そして、良い頃合いになればソースをドバリと掛けてくれるというものだ。
そんな「さわやか」だが、前述の通り静岡県内にしか存在しない。
理由としては、ハンバーグに赤身残る(ミディアムレア)状態で提供されることが多く、商品の鮮度を保つためにも出店範囲を静岡県内で留めているというのだ。
そうなれば、食べてみたい人は必然と静岡に集まっていく。特に東京圏からアクセスがしやすいとされる御殿場インター店や御殿場プレミアム・アウトレット内にある御殿場プレミアム・アウトレット店では飲食店としてはあり得ないほどの待ち人・待ち時間が発生しやすい。
待ち時間や待ち人は各店舗のWebページから確認することが可能だ。例として御殿場プレミアム・アウトレット店の様子を見てみよう。
ゴールデンウィークの谷間と呼べる2025年4月28日お昼12時20分頃のデータである。

なんと「-」と表示されている。受付が終了していた。
同じ時刻の御殿場インター店を見てみよう。

あり得ない数字が表示されとる。270分は4時間30分、つまり12時に受付をすると食べられるのはおやつの時間を過ぎ去った夕方16時以降ということになる。
いやいや、ありえないっしょ・・・と思いつつ、げんこつハンバーグを食べてみたい!というのは変わりない。
そんな「さわやか」だが店舗の殆どが幹線道路沿いにあり、なかなか行きづらい印象がある。
それでも、一応は静岡県内を横に突っ切るJR東海の東海道線沿いにも店舗は存在する。しかし、その店舗の殆どが静岡駅や浜松駅といった新幹線停車駅近くとなっていて、ここらの店舗もまた混雑の波に飲み込まれやすくなっている。
ということで、今回はその主要駅から外れて郊外の店舗に行ってみよう!という策略である。
しかし、行った日は木曜日・・・
と、そんな作戦を考えていた三島駅のホームでとあることに気付く。

空からは雨がサーと音を立てながら降りしきっていた。この時の計画は、三島駅の隣駅である沼津駅に移動し、そこから約2km先にある「沼津学園通り店」を目指すというものだった。
まぁ雨が降っていても、ゆっくり歩いていけばいいさ!と思っていたところに、さわやかのホームページ上にはこんな表示が。

なんと木曜日は休業日であった。
完全に情報を見逃していた。さわやかのホームページ上では木曜日にアクセスした人へ向けて「木曜日は休業日となっています」という内容のポップアップが出るほど。そこまでしないと年中無休っしょ!という安直なヤツが多く、問い合わせも多いという裏返しでもある。ちなみに年中無休だと思っていたのは、私も同じである。
さわやかでは木曜日が原則休業日、更には大晦日・元旦も休業扱いという。
さて、これは参った・・・混雑回避をするならば郊外へ。という作戦が休業という形で阻まれてしまった。
一体どうしたら・・・と思っていれば一部店舗は営業中らしい。その営業中の店舗を見てみると商業施設内に出店している店舗が中心。
その中には通過する予定だった静岡駅近くの新静岡セノバ店が含まれていた。
東海道線・魔の静岡区間の恩恵をここで受ける
特急踊り子でやってきた三島駅。踊り子が去ったホームの真向かいには13時46分発の各駅停車の浜松行がやってきていた。ちなみに車両はロングシート車。

ゆったりと特急車両に乗り込んで東京駅からやってきたこともあって、ロングシートに乗り込んで行くというのはなかなかきついぜぇ・・・?新幹線に乗っちゃうかぁ・・・?と考えあぐねていた。
しかし、この浜松行に乗り込めば静岡駅には14時51分に到着することになっていた。
このまま乗車したならば、混雑しやすいお昼時を避けて「さわやか」を堪能できるのではないだろうか?流石におやつの時間でげんこつハンバーグを食べようと考えている人はそう多くはないのではないだろうか?そう考えたのだ。
優雅な特急からごみごみとした車両で静岡まで移動したならば、美味しい食事にありつける。そう思うと体は自然と浜松行に乗り込んでいた。
静岡駅じゃなくて新静岡駅
静岡駅に到着。時刻は定刻の14時51分。

ホームの隣には熱海行という当然のように80分以上も走る電車が発車時刻を待っていた。

では店舗へ移動しよう。お店はJR東海の駅「静岡駅」ではなく、静岡市内を走る私鉄・静岡鉄道の「新静岡駅」近くにある商業施設・新静岡セノバの中だ。
北口から静岡パルコ、マルイ(モディ)、松坂屋静岡店の合間を抜けていくと新静岡駅が登場する。距離にして約600mほど、徒歩10分程度だ。

ちなみに途中でゲームやDVD、フィギュアやトレーディングカードを取り扱う「駿河屋」の本店がある。
到着
15時はまだ昼時に滑り込みをした人がいるだろう・・・と判断し、駿河屋で時間を潰し、15時50分頃に新静岡セノバへ到着。さわやかは5階にある。
5階に到着すると様々なレストランが並ぶ一角に、

出た!これが「さわやか」である。
さぁ、では中へ入ろうか。と店舗の入口に行くと、待ちスペースに6人ほど。これは想定外だった。おやつの時間が過ぎた16時前だというのに、今からハンバーグに食べるんですかっ!と思わずインタビューしたくなるほどだった。
さわやかでは予約を受け付けていない。その代わりに受付発券機が各店舗に設置されていて、発券機で人数を入力するとレシートが発券される。
レシートには受付の番号、呼び出しの目安時間、ブラウザ上で待ち時間・人数を確認できるQRコードが付いている。今回は15時52分に発券、呼び出し目安時間は16時02分だった。

QRコードを読み取り、ブラウザ上で確認する。

自分の前には3組、そして10分を要するという。御殿場の異常な混みようを知っていれば10分で食事ができると思えばとても短くは感じる。

しかし、16時で10分待ち・・・さわやかの人気を侮っていた、予想外も予想外だった。

目安の16時02分を過ぎたあたりで、1組となった。もちろん目安は目安。混雑によって前後することは頭に入れておきたい。
16時05分頃になったところで、店員さんに「148番の方」と呼ばれた。結果として15分程度待ったことになる。
げんこつハンバーグを食べる
4人掛けテーブルに通され、メニュー表を渡される。

訪れた新静岡セノバ店では対象外だったが、郊外型店舗では平日15時までランチタイムとなっていて、お得なセットも用意されている。
今回何を注文したかというと、もちろん「げんこつハンバーグ」である。ソースは人気No.1だというオニオンソースをチョイス。それに加え単品のライスを注文。

注文後、紙マットが敷かれた。この紙マットは店員さんが目の前でハンバーグを切る際に肉汁・油ハネを受け止める紙エプロン的な役割にもなる。内容は「さわやかMAP」という出店している店舗がすべて載っている地図が掲載されていた。

げんこつハンバーグが到着。巨大な肉塊が登場したと思えば、店員さんの素早いナイフさばきによって真っ二つに。そして、ハンバーグが平たくなるんじゃないかと思えるほどに断面を鉄板に押し付けられ、その上にオニオンソースが万遍なく掛けられた。

ソースが鉄板の熱によってジュグジュグと熱せられているのがなんとも食欲を掻き立てる。ご飯も準備万端である。

げんこつハンバーグにナイフを入れると厚みがあって、切応えがある。そして、静かにハンバーグからじゅわっと肉汁が飛び出す。
切り取ったハンバーグを見ると、外側には火が通っているが、中は赤身が残っていた。口に入れると、色味からして臭みがあるかなと思ったが全くそういう匂いが感じない。そこに流れるようにオニオンソースの香ばしさがご飯が欲しいと思わせてくる。
野菜類もまた良い。人参を鉄板に溜まっているオニオンソースへ潜らせる。口に含めばホクホクと甘さが両立する。かぼちゃやジャガイモも脂っこさが強いハンバーグの味から逃れたいときに、「よっ!らっしゃい!」と、すっと受け止めてくれるポテンシャルがある。
楽しい楽しい、美味しい美味しいげんこつハンバーグだが始まりがあれば終りもある。
山が2つ並んでいらぁ!と思っていたハンバーグは気づけば更地となっていた・・・
ごちそうさまでした
会計を終えて、お店を出る際に自分が待っていた待ちスペースの間を通っていく。その待ちスペースにはなんと「10人」ほど座って、自分の番を待っていた。
ちなみに時刻は16時50分頃、夕食時というには少しばかり早すぎる。みんな、そんなに「さわやか」が好きなのか・・・
特に興味深いなと思ったのが、学生さん特に高校生ぐらいの女の子たちが待っていたことだ。学校終わりにさわやか食おうぜ!となるのだろうか。
では、「さわやか」で混雑から逃れて食事するにはどうしたらいいのだろうか。推測も推測だが、以下に挙げていきたい。
- ゴールデンウィークといった長期休暇期間は避ける
- 平日の帰宅ラッシュを避け且つランチタイムを避ける
- 新幹線を利用する人達が来ない時間を狙う
1つ目の長期休暇期間を避けるというのは、普段からお休みが取りづらい静岡県外の人たちからすれば、なかなかに難しい問題だと思う。しかし、ここを避けることができなければ、100分待ちという食事なんだが、大学の講義なんだがわからない時間を食らう事になってしまう。人がいないのを求めるならば、人がいないときに。これは鉄則だ、
2つ目の帰宅ラッシュを避ける・昼時を避けるというのは、混雑回避を目的とするならば確実に行いたいことだ。
静岡駅もまた帰宅ラッシュが激しく、JR東海道線の混雑は関東・名古屋・関西といった大都市に負けず劣らずなもの。また昼時を避けるというのも必要だろう。観光客が集まりやすいところに、普段から利用している地域の皆さんが合流しやすい。
3つ目に新幹線を利用する社会人が来ない時間を狙うというものだが、これは完全に想像も想像なので、あっそぐらいに受け止めてほしい。
東海道新幹線にも帰宅ラッシュが存在し、17時ぐらいから東京方面の新幹線が込みやすくなり、20時ぐらいまで混雑する。静岡駅はというと17時07分に名古屋・新大阪方面が、17時25分には東京方面の新幹線が出発する。そこの前後はできれば避けていきたいところ。
新幹線乗る前にさわやかでも寄っておくかぁ〜と考える人も一定数はいるはずだ。
つまりは静岡駅でさわやかを食べるならば、平日の15〜16時の間なら空いてんじゃね!?という結論に至る。空いてんじゃね!?と言い切ったが、これらの予想を遥かに超える混雑が待っている可能性もあることはご承知おきたい。
さわやかを出た後、新静岡セノバを10分程度見回ったあとにもう一度混雑を見てみることにした。店内にいた10人の待ちに加えて5人ほどの観光客らしきグループがさわやかのメニュー表を眺めていた。
これだけ人気なお店で混雑を回避したいと思うこと自体が無い物ねだりすぎるのかもしれない。ある程度の混雑は受け止めて、お店に向かう気持ちも必要なのだろう。
混雑を回避してでも食いたい部の研究はまだまだまだ続きそうだ。