日本の大都会の1つとして君臨する名古屋。魅力的な観光スポットやグルメであったりと沢山の楽しいがあるわけだが、今回はそこではない。
名古屋の外れ、海辺に注目してみよう。場所は名古屋港だ。訪れる時間は夜の9時。加えて日曜日の夜。
なんでそんな時間に行くんだいって?その時にしか見えない空間がありそうだからさ。
なーんてカッコつけたら、ちょっと怖かった。
目次
名古屋から海へずんずん進む線路が気になる
JR東海が乗り放題となる切符を手に入れて、静岡県内の気になる駅をちょろちょろと
途中下車を繰り返して、気づけば愛知県内の東海道線でも関所と言える豊橋駅を通過していた。
時間も気づけば日曜日の夜8時を超えてしまった。東海道線の新快速は暗闇となった愛知県内を突っ切って、いよいよ名古屋へ滑り込もうか。というところだ。
はてさて、ここまで気になる駅で途中下車をするというコンセプトで旅行を続けている。またこれまで投稿してきた記事では「敢えて行く」的な記事を何本かお送りしてきた。
そのテーマに沿うものであれば一体どこだろう。Googleマップで名古屋駅近くをズームイン・ズームアウトする。やはり目に付く物があった。その場所は、
名古屋港
東海地方の大都市である名古屋の外れ。少し歩けば海がある。その場所は夜になればどんな姿を見せてくれるだろうか。いやはや気になる。
金山駅から名港線へ乗り換える
東海道線の新快速が金山駅に到着。JR東海道線の主要駅の1つであり、中央線・名鉄線・名古屋市営地下鉄に乗り換えられる。
それもあってか、日曜夜8時頃だと言うのに若者を中心に自分が乗車していた新快速からゾロゾロと人が降りていき、改札へ向かっていく。みんな「夏休み最高!」という顔をしていた。働けって話ですよ。無論、自分も人の波の中にいた。
多くの人の流れが名古屋市営地下鉄の改札へ。金山駅から名古屋市営地下鉄名城線に乗車すれば名古屋の繁華街である栄にダイレクトアクセスすることが可能だ。更に行けばプロ野球のホーム球場であるバンテリンドームまで行けちゃう。

ただ、今回の目的地である名古屋港はその反対方向だ。路線名も名港線に変わる。
環状線である名城線から分岐し、金山駅から海へ向かうように線路が伸びて、最終的には終点の名古屋港駅へ向かう路線。
日曜日の夜9時が差し迫っている。一応は夏休み期間ではあるが、名古屋港周辺ではイベントは無い。そうなれば乗る人も少ないだろ!と想像していたが、ホームには意外と人が電車の到着を待っていた。更には栄からやってきた電車に乗車したままという人ばかり。はっきりと予想がここで外れる。

名古屋港駅へ
しかし、電車に乗り続けていると各駅で人がゾロゾロと吐き出されるように降車していく。六番町駅あたりで空席が優勢に。
そして、名港線の終点・名古屋港駅に到着前だと、

もう人はいない。それもそのはず、途中通過した名港線の各駅には住宅街・マンションや大型商業施設があったりと必然と人の乗り降りが生まれやすい環境だった。
しかし、名古屋港駅周辺には住宅が少なく、近くには港関連の施設ばかり。寂しさ満点悲しいマンである(?)
電車から降車する時は当にガランドウ。個人的には名古屋市営地下鉄の各路線は毎時間人で一杯のイメージがあるので、不思議な感覚だった。

金山駅から乗車して12分ほどで到着。地図で見ると遠いかな・・・と思っていたが速いものだった。

ホームに降り立つ。真っすぐ連なるホームドア、名古屋港駅には人が・・・いやいた。男性が1人。

自分が乗車していた電車が直ぐに金山駅へ折り返しとなるのだが、それには乗らずにベンチに座ったままスマートフォンを触っていた。よくもまぁ、こんな人気のないホームでスマホを触り続けられるなぁ・・・と思わず感心する。
しかし、その人以外にホームを慌ただしく駆け回るような人や気怠そうに乗車する人もいない。人はいない。そう思うと・・・まぁ怖いな。

改札へ向かうことにしよう。
改札周り、人がいなさ過ぎる。そして怖い。
改札へ向かう途中に大きなスペースが。

個人的な感覚で申し訳ないが、名古屋市営地下鉄を利用していると「なんでこんなに広々としてんだ・・・?」と何もない空間が存在する駅があるような気がする。ここ名古屋港駅も同様だった。
何かイベントをするようなスペースでもなく、かといって待ち合わせ場所として利用されているような雰囲気でもなく。この空間、何か「backrooms」感がある。
そんな名古屋港駅にも、もちろん改札は存在する。ただ誰もいない。

モバイルSuicaで改札を通過する。なんだか妙に視線を感じるな・・・と思っていると、

近くに改札窓口があり、そこには駅員さんが鎮座していた。こちらを訝しんでいた。そりゃそうだ。何もない、何があるわけではない名古屋港駅を日曜日の夜9時に訪れているのだから。
しかし、駅員さんも大変である。こんな誰もいない空間に業務であれど、来るかわからない乗客相手に仕事をするのを待っている。
改札を抜けて真っ直ぐの通路。いやいや、人の活動がないとどうも恐怖心を煽られる。

地下鉄の出入り口から名古屋港へ向かう。駅前というか名古屋港前の交差点には車がいない。いたのはバイクに跨る男性だけ。

近くにはコンビニのミニストップが営業中だったが、店内には誰一人としておらず。束の間の休息というところだろうか。

名古屋港へ進入
ここ名古屋港には「名古屋港ガーデンふ頭」として公園・ショッピングモール・水族館などが集まっていて、「みなと」として機能している。
多分、昼間に訪れたら人はひっきりなしに動き回っているだろうに、総合案内所なんてご覧の通り。

また各々に設置された案内が照明に照らされているが、空気感も相まって寂しさを演出してしまっている。

ただ、この空間でしか味わえないものがあるはずだ。私はずんずんと中へ進む。

ずんずんと進んでいけば、煌々と光る照明が。こういうのを撮っていても様になるのだから、夜というのは面白い。

更に奥へ進むと、見えてきたオレンジ色のでかい塊。これは南極観測船「ふじ」だ。

全長100mのオレンジ色の南極観測船ふじです。ふじは1965年(昭和40年)から18年間活躍した2代目の南極観測船で、本格的な砕氷艦としては日本で最初の船です。
現在では、ここガーデンふ頭に船まるごとが展示されています。公開されている船内には、操縦室や医務室、乗組員たちのプライベートな空間であった居室など、当時の姿がそのまま残されているため、南極への旅を擬似体験することができます。
強く照らされているからか船の陰影が強い。なんだか今でも動き出しそうな雰囲気。ドシンと構えている姿をカメラで捉えると、この姿がまた凛々しい。

南極観測船の中に入ることも可能だ。入場料は「300円」となっていて、興味深いものもあったが・・・当然こんな時間にはチケットを売っているわけがない。

名古屋港の中には一際目立った建物がある。白く光るこの建物。戦隊モノに出てきそうなこいつは「名古屋港ポートビル」だ。

特徴的なこのビルは「帆船」をイメージして作られ、中には海洋博物館や展望室もあるそうだ。

しかし、白く光るこのポートビル。遠目から見ていても光線を今からでもぶっ放すんじゃねぇかな?と思うほどにギミックを感じて面白い。

沿岸部にある公園へ。ポートビルと公園を繋ぐ橋があり、そこから駅方面を眺めると、まぁ人はいない。

公園へ到着すると何だかドデケェ船が。

これは浚渫船といい、水底の土砂を掘り取り、水深を深くする作業を行う船だそうだ。ちなみにこの記事を作成中にこの船の役割を知ったことはここだけの話だ。
ちなみに名称は「第381良成丸」で、所有する建設会社・小島組のホームページでは3Dデータまで閲覧できるのでご興味のある方はご覧になってみてはいかがだろうか。
ちなみにこの船の近くにはカップルがいた。肩を寄せ合い、煌めく名古屋港を観ていやがる。
「こんな時間に何しとんじゃ!」と叫びそうになったが、相手からしてみれば「こんな時間に何のようじゃ!」と思うだろうから、「おあいこ」ということにしておこう。
海を渡る
ポートビルから今度は水族館側へ行こう。この区間には「ポートブリッジ」が掛かっていて、海の上を渡ることができる。

南極観測船「ふじ」の近くをすれ違う。

下には名古屋市内にある堀川や名古屋港で運行している「クルーズ名古屋」の乗り場が。デカデカと「国土交通省」と書いてあるのが特徴的だ。

ポートブリッジの上には湾曲した造形物。

橋の途中ではリアル謎解きゲームについての掲示物があったのだが、

なんだぁ?と思わず立ち止まる内容。結局、何を示していたのかわからないままである。
ポートブリッジから海の方を眺めてみる。

見える方面には倉庫や工場であったりと如何にも湾岸部の建物があるらしいのだが、暗すぎてよくわからない。また名港中央大橋が見えるらしいが・・・これまたよくわからない。
眼の前には黒く染まった海が広がる。もし、ここに自分が何らかの形でドボンと落ちてしまったら、誰か助けてくれるのだろうか・・・?なんて変な考えを持ち始めてしまう。いやいや、恐怖心が違う方面を向き始めてしまった。足早にポートブリッジを渡り切る。

橋を渡りきるとこんな感じ。ポートビルの最終兵器感がすごい。
ということでおさらば・・・でも最後が一番怖い
海を渡りきり、名古屋港水族館側へ。もちろん夜9時なので水族館も終了。近くには水族館らしくイルカのイルミネーション。

大変綺麗である。
さて、今回は夜の名古屋港を回ってみたわけだが人気の無さが強い。建物の無機質な感じも相まって恐怖心というのも生まれてしまいそうになる。また夜の海というのは何かがあるんじゃねぇか・・・?という恐怖心を生み出してしまう。
ただ、海特有の潮風を浴びられるし、各々のライトアップが非常に綺麗だ。怖さと綺麗さのコントラストを感じられるのではないだろうか。
いやいや、楽しい徘徊だった。と思って地下鉄の入口を目指していると。視線を感じる。横を見やると、

死ぬほどビビった。
場所は名古屋港湾合同庁舎。なんで一番怖いのが名古屋港の外にある官公庁の施設なんだよ・・・と思いつつ、名古屋港を後にする。
