鉄道に乗るとなったなら、これまでは券売機で「きっぷ」を買ったり、「Suica」や「PASMO」といったものにお金をチャージしてタッチをしたり。
最早それが鉄道に乗る際の日本でのデファクトスタンダードだったが、ここ最近は「クレジットカードのタッチ決済」を使って乗車することが出来る企業も増えてきた。
でも私はそれらに懐疑的だった。
えぇ〜別に交通系ICカードにチャージすればよろしじゃない?
しかし福岡に行って思ってしまった。
あれぇっ・・・・クレカのタッチ決済で乗れるの便利やなぁ・・・
目次
鉄道乗ってるぅ?
ご覧のあなたは、多分だが、普段から電車に乗っていて、クレジットカードのタッチ決済機能を使って電車に乗れるという点に大きく興味を持っていらっしゃることだろう。
なので変な問いかけになってしまうのだが
鉄道乗ってるぅ?
という問い掛けからの、
何使って鉄道乗ってるぅ?
という問いをさせていただきたい。
ここ最近の鉄道の乗り方は大きく3つ程度に分かれるような気がしている。
まず1つは「紙の乗車券」を使うことだ。
JRに限らず全国各地に点在する私鉄各社では、券売機を設置していてそこで目的地までの運賃を支払い、「紙の乗車券」が出てくる。
自動改札機もしくは駅員さんに乗車券をチェックしてもらって鉄道に乗る。これが長年のスタンダードな乗り方だ。ただこの乗り方に陰りが見えてきた。そろそろ廃止になるやもしれぬ。というところまでやってきた。
2つ目には「交通系ICカード」を使うことだ。
JR東日本が2001年にサービスを開始した「Suica」をベースに、自動改札機もしくは専用端末に読み込み機を設置し、利用者はカードをそこにタッチするだけで改札を通過できるという代物だ。
以前に存在していた「乗車券を券売機で購入する」や「駅員さんや改札機に乗車券を渡す・投入する」というのがカットされることで一気に鉄道へ乗車するハードルが下がった。
そして最後に3つ目。インターネットでの予約・QRコードを使っての乗車だ。
以前にこのサイトでもご紹介したJR東日本が提供する「Qチケ」というのがこれに当たる。
前述の交通系ICカードは便利な面もあるが、反対に鉄道需要が低い地方都市では展開が遅れた。逆にインターネットが普及しスマホを持つようになった時代にインターネット予約・QRコードを使っての乗車は理にかなっている所が多い。
まぁこれら3つが現在のデファクトスタンダードなんすかねぇ・・・まぁ「他にもあるだろ!」というツッコミはありそうだが。
そんな3つに加わる、いや将来的には置き換わっちゃうかもね。というサービスが一部地域では始まっていて、首都圏でも3月25日にスタートする。
それがクレジットカードのタッチ決済を使っての乗車。である。
タッチ決済使ってるぅ?
まず「クレジットカードのタッチ決済」ってなんだべね?というところである。
クレジットカードのタッチ決済は、カードもしくはスマートフォンなどに組み込まれた「NFC」という近距離無線通信技術を使って決済出来るサービスである。
英語だとContactless Payment
以前までクレジットカードで決済をする場合は、「カードを差し込んで」とか「リーダーに通して」というふうなやり方だったが、タッチ決済ならばリーダーに「かざす」だけで決済が出来てしまう。
一部店舗では特定の金額を超えると暗証番号を入力するように求められるが、原則少額決済であれば入力は必要がない。
現金感覚で決済が出来てしまう。
なので、Visaを始め、Mastercard、JCB、American Express・・・といった多くのクレジットカード会社が利用できるように推し進めていて、世界標準規格となっている。
またクレジットカード本体だけでなくスマートフォンに導入されているNFCを使い、クレジットカードと紐づけて利用できるようになったことから、一気に普及。スーパーやコンビニだけでなく、自動販売機にまで投入されてきている。
そんな「タッチ決済」を使って乗車できる。というのが今回の記事のテーマでもある。
鉄道にもクレカの波
クレジットカードを使った「タッチ決済」は普段の買い物のみならず、公共交通機関にまで普及した。今回は鉄道について並べていきたい。
まず日本で最初にタッチ決済を使って乗車できるように対応したのは京都府にある「京都丹後鉄道」だ。2020年11月ごろにVisaのタッチ決済に対応した。
その後、大阪府の難波から関西国際空港と線路を繋げている南海電気鉄道が自動改札機に「タッチ決済対応」の読み取り機を設置。実証実験という形でスタートさせ、その後は関西の鉄道事業者を中心に展開が推し進められた。
特にこの事業には三井住友カードとVisaが躍起になっていて、特に三井住友カードなんかはキャッシュバックキャンペーンを打ち出すほどだ。
理由としては単純でこれらのサービスには三井住友カードが関与している。なので利用者増大を一気に狙っていこう。というのが見えるわけだ。
しかしだ・・・タッチ決済をわざわざ使う必要が果たしてあるのだろうか。
でも交通系ICカードがあるんやけど?
前述に挙げた「交通系ICカード」の存在は忘れちゃあいけねぇぜ。
日本に於ける公共交通機関に特化したカード「交通系ICカード」はJR東日本のSuicaを始め、関東私鉄が中心に展開するPASMO、JR西日本のICOCAにJR東海のTOICAに名鉄や名古屋市営地下鉄のmanaca・・・まぁ正直挙げるにも辟易とするほど大量に存在する。
これらの普及率は首都圏では90%を超えるらしく、更には発行枚数も2億枚も超えているそうだ。
更には交通系ICカードが普及したことにより残高を普段の買い物で使用できる決済手段の一角にもなっている。また、スマートフォンに対応した「モバイルSuica」「モバイルPASMO」「モバイルICOCA」なんてものも出てきている。
すでに利用者の多くは交通系ICカードに慣れているし、モバイル端末にも対応してきている・・・
ここにタッチ決済乗車は割って入れるのか?
というのが、個人的には長年存在していた。
ただ、2月上旬に福岡に行く機会があった。福岡は関西地区に次いでタッチ決済での乗車を鉄道事業者が推し進めているエリアでもある。
ということで福岡で積極的にタッチ決済を使って鉄道に乗ってみることにした。
まず地下鉄から
人生で初めてとなる福岡は雪がちらついていた。雪は東京近郊でも降っていて、飛行機が離陸するのにも除雪作業があり時間が掛かってしまった。

そんな飛行機も40分遅れで福岡空港に到着した。さて、福岡空港は日本の主要都市の中でも街と空港の距離が近いことで有名だ。
そんな福岡空港と街を繋ぐ福岡市地下鉄では2024年4月1日より本格的に導入。
実際に福岡空港駅の改札へ行ってみると、読み取り機が設置されていた。いや、当たり前なんだが。で、よーく見ると結構な人数の人が利用しているのだ。

あれま・・・意外。
自分も今回は使ってみるか!と決意したこともあり、自分が所有するiPhone・Apple Payを使ってクレジットカードを起動させ、タッチ。
ピコーン
普段利用している交通系ICカードだと「ピッ」という簡素な音を改札機は発するが、タッチ決済での乗車には立派な音声が用意されているようだ。
そのまま乗り込んで博多駅へ。そして同じように博多駅の改札にタッチして・・・
ピコーン
拍子抜けするほど意外と普通だった。
この時に思ったのが、普段から使っているクレジットカードで乗車できるし、わざわざ交通系ICカードにお金をチャージする必要が全く無いというのが便利だ!ということだ。そうだ。誰もが思っていることを今更感じた。
また福岡市地下鉄では1日乗車券が発売されているのだが、タッチ決済を利用して同一カードで同一日に640円を超えた場合に自動で請求額を640円にしてくれるのだ。

そうなると交通系ICカードを利用する理由が薄まる。わざわざ1日乗車券を券売機で購入して、磁気券に対応した自動改札機を通って・・・というのが無くなる。
もうバンバン使ってしまった。始発で太宰府天満宮に行くというバカげた行動をした際に七隈線を利用したが、

ここでも普通に使える。もう使ったほうが良いな!ぐらいに思ってしまった。
西鉄へ
そんな太宰府天満宮へ行った際に西鉄福岡(天神)駅へ乗り換えた。

西鉄でもタッチ決済に対応していて、券売機の真横にはデカデカとお知らせのポスターが貼られているほどだった。

じゃあここでもタッチ決済を・・・と思っていると自動改札機に読み取り機が設置されていない。

一部の改札では簡易読み取り機が設置されていて、その場所が駅員さんがいる窓口の横付近に用意されている場合がある。今回訪れた改札ではその簡易読み取り機の場所に、まぁああガラが悪い若者が居たわけだ。
「おいちょっとそこ!読み取れねぇだろ!」と叫んで行っても良かったのかも知れないがそこまで好戦的ではいられない。なので、ここは黙って普通にモバイルSuicaを使った。ありがとうペンギン様である。

ここで思わぬ体験をしたな・・・と思うと同時にまだまだ交通系ICカードが主流であることをまざまざと見せつけられた気がする。
太宰府
太宰府天満宮を見て回った後に博多駅へ帰る際にタッチ決済を使った。太宰府駅ではタッチ決済専用の改札が用意されていた。

ここまで自動改札機にタッチ決済の読み取り機を無理にくっつけたような構造は見てきたが、まさか単体の改札機が用意されているとは思わなんだ。
ここでタッチをして、普通に博多駅へ戻った。
もちろんデメリット・改善してほしいところもあるよ
さて、ここまでタッチ決済での乗車についてメリットを中心に並べてきたが、もちろんデメリット更には改善してほしいっすねぇ・・・というのも存在する。
読み取り速度
まず1つ目に読み取り速度だ。これは他のタッチ決済利用者がよく挙げる点だ。
交通系ICカードは「FeliCa」というソニーが開発した非接触型ICカード技術を利用していて、読み取り機との通信速度が格段に速いというのが特徴的だ。
対してタッチ決済が使うNFCは速度がFeliCaよりも遅い・・・というのが通説。以下の記事だともっと細かく技術的なお話が述べられているのでご覧になってみるのも良いだろう。
さて、この速度は自分にとってもかなり感じる所がありけり。空港→博多駅へ行く際にも感じたことだ。
交通系ICカードだとタッチをする瞬間に処理が終了した感覚があるのだが、タッチ決済だと読み取り機にペタっとくっつけてから処理という流れになっていて、どうしても一歩立ち止まって。というのが発生する。
先ほどご紹介した記事の中にもあるのだが、FeliCaとNFCの通信範囲の違いによって生まれる感覚なのだそうだが、混雑極まりない駅でそれをやるのは少々気が引けてしまう。
ここをどうにか解消できれば・・・東京でも展開できそうだが・・・どうだろうか。
読み取り機の設置場所に統一性がない
これは福岡市地下鉄の問題なのか、はたまた西鉄の問題なのか?それとも読み取り機のレパートリーが少ないからなのか?はっきりとしない部分があるが、どうしてもタッチ決済の読み取り機の設置場所に統一感がない気がした。
多くの人が利用することが明白な地下鉄の福岡空港駅や博多駅などでは多くの改札に設置されているのに対して、少しでも郊外の駅に出向けば一個しかない、であったり。
前述にご紹介した西鉄での専用改札機があったと思えば、簡易読み取り機しかないであったりと「この改札機は使えるけど、ここの改札機には設置されていない」というのが当然のように発生している。
利用者が「どこに読み取り機があるんだ・・・?」となっている現状は不便さを生み出していやしないかい・・・?と思ってしまう。
読み取れたのか・・・読み取れていないのか・・・?
これも自分の問題なのかもしれないのだが、タッチをした瞬間に「ピコーン」という音がなるのだが、その音が他の音に掻き消されて通れたのかどうか全くわからない。という状態になったことが何度かあった。
更には交通系ICカードと異なってペタっとくっつける必要があるので、読み取り機がエラーになった瞬間をスマートフォンで目視しづらい構造も気になった。
そのため、「うん?」と足を更に止めてしまい改札の流れを止めてしまうきっかけを・・・自分が作った。しかも西鉄福岡(天神)駅でだ。あのときは本当に申し訳ないことをしたと思います。

できれば読み取り機の拡大とかを検討していただければ・・・嬉しい限りである。
さて・・・関東でも普及するかな・・・?
タッチ決済に関する点を挙げようと思えばキリがないので、ここいらで終了としよう。としたいが、東京で普及するかどうかが気になる。
さて、関東でいよいよ本格的にタッチ決済による乗車がスタートする。
タッチ決済を使って買い物をする人は爆発的に増えている。なので、物珍しさから利用する人は一定数いるはずだ。しかし、普及するか?と聞かれると・・・うーんという感じだ。
まず普及に阻害するであろうと思う点は、前述の読み取り速度の問題、相互乗入れによる問題とJR東日本の存在である。
読み取り速度の差というのは首都圏での移動で如実に感じると思う。流れをせき止めてしまった時の罪悪感ったらない。ここをどうにか乗り越えてみれば普及しそうだが、まさか日本のために読み取り速度を向上させました!となるとは思えない。
また今回の関東私鉄各社が導入していった中で、京成電鉄が導入を見送っている。将来的には確実に導入するだろうが、これが大きく利用者を困惑させていきそうだ。京成電鉄は都営地下鉄と京急線と相互乗入れしているが、ここからの利用者がもし仮に京成線の各駅に行った場合、現金もしくは交通系ICカードで決済する必要がある。
更にその他の路線でも導入が見送られているところもあり、利用者が「使える駅を事前に把握しないといけない」というハードルが発生している。
加えて首都圏の移動に欠かせないJR東日本が導入するのに完全に興味がないという点も大きいと思う。わざわざQ&Aページを用意するほどである。
JRで交通系ICカードを使って、私鉄に乗るからタッチ決済を使う。そんなのマニアぐらいだ。ここでシームレスにいけないのならば、ずっと普及に引っかかりが生まれそう。というのが自分の考えだ。
あとは定期券の問題も孕んでいる。交通系ICカードだと定期券を所有していた場合定期券区間外に出て改札をタッチすると残高から自動精算してくれる機能がある。
対してタッチ決済は定期券の併用が2026年現在で不可能だ。
例として、小田急の代々木上原駅から下北沢駅までの定期券を所有している利用者が、地下鉄の大手町駅から小田急の下北沢駅へ行くとする。
大手町駅からタッチ決済を使って乗車し、下北沢駅で差額分を精算。というのはNGとなり現金・交通系ICカードでの精算を求められる。
定期券を持って移動するユーザーはタッチ決済を使って得られる恩恵は全くもってない。ということになる。
そうなると・・・使わないよね・・・というところもあるはずだ。
交通系ICカードが存在するのに一気に普及し始めた「タッチ決済による乗車」だが、インバウンド需要やクレジットカード普及による需要といった理由もあるそう。
更に突き詰めれば交通系ICカードによる施設の維持費というのも莫大で、また手数料も莫大だということで熊本県内のバス事業者が交通系ICカードによる決済を廃止し、クレジットカード決済に移行するという判断も見られた。
もしかしたら、自分たちは公共交通機関の転換期を見ているのかもしれない。
まぁ兎にも角にも始まったばっかりだ。これからどうなるか、利用者としてもマニアとしても非常に楽しみである。というのは確かなことだ。
