いよいよ私をこの世に産み落とした母が60歳・還暦を迎える事になった。
母はよくコーヒーを飲む。なので、高級コーヒー豆(そんなのあるのかわからないが)とお高いマグカップなんて買ってやろうと思ったわけだ。ただ、どこで買えばいいのだろうか?
なら百貨店に行きゃあ良いんでねぇの?と短絡的に私は思いついた。
そして、日本で一番最初の百貨店に行きゃあええんでねぇの?と思ったのだ。
ということで今回は東京のど真ん中にある「日本橋三越」へ行ってきた。のだけども、ちょっと圧が凄すぎたんだぜ?という記事である。
還暦祝いって何を買えばよろし?
人生の節目というのは定期的に訪れるものだ。誕生の瞬間から七五三、成人、就職、結婚etc…と様々である。
そして、私の母にも人生の節目というのがやってきた。60歳の誕生日を迎えた。所謂「還暦」である。Googleエレクトリックスーパー大先生は還暦をこう説明する。
干支(十干十二支)が一巡して生まれた年の干支に戻ることから、60歳(満年齢)を迎えることを指し、「元の暦に還る」という意味を持つ人生の節目のお祝い
昔は長寿の象徴として赤いちゃんちゃんこを着るなどと、人生に於いて大きすぎるほどの人生の節目として盛大に祝われてきた。
ということで一応は自分も人の子供である。迎えた人生の節目、何かプレゼントを送ってあげたいものだ。
私はなんとなくイメージは付いていた。それはコーヒー豆とマグカップだ。
よく母はコーヒーを飲む。だから高級なコーヒー豆とマグカップを買ってやらんでもない。ということにした。
ただ問題があった。それは「どこで買えばいいんだい?」ということだ。
はてさて、困った。適当にAmazonやらヨドバシカメラやらで探しこむのも一興な気もするが・・・そんな思いを抱きつつ広大な電子世界でネットサーフィンをしていると「三越伊勢丹」のネットショッピングサイトに辿り着いた。
百貨店・・・ねぇ・・・
この時にふと思った。
「百貨店をふらついていたら・・・何か良い商品があるんじゃね?」
ということに。
では今回は近所の百貨店で還暦祝いを買ってきた!
という陳腐も陳腐なテーマの記事にするのはあまりにも捻りが無さすぎる。そんなのアメーバブログで何年も投稿を続けている日常系主婦ブロガーに任せておけば良いのである。
今回の機会は折角なので行ったことがないところに出向くきっかけとして利用したい。
私は東京近郊に引っ越して10年近くが経過した。その生活の中で一度は行ってみよう・・・でもなぁ・・・と思っていた百貨店がある。
それは「日本で最古の百貨店」である「日本橋三越」である。
日本橋三越・・・すごいねぇ
日本国内には数多な百貨店が存在する。そんな日本の百貨店で一番最初の百貨店とされるのが東京の日本橋に存在する。その名も「日本橋三越本店」である。
三越の前身とされる呉服屋「越後屋」は江戸時代前期の1670年代に現在の日本橋本町で創業、それが三越の発端である。
1904年には全国の顧客や関係者への挨拶状、そして新聞紙上に「デパートメントストア宣言」を公表。日本における百貨店の歴史が本格的にスタートした。
東京都内に於いて日本橋三越の存在はあまりにも大きいものだ。それを実感できるのが地下鉄・東京メトロにある。
東京メトロには様々な路線・駅がある。そんな中で一番最古の路線とされるのが東京メトロ銀座線だ。浅草を発車し、上野・銀座・新橋・虎ノ門・赤坂・表参道そして終点に渋谷へ進んでいく。

その路線途中に駅が当然配置されるが、東京メトロで唯一そして日本で最初となる企業名が付された駅「三越前駅」が存在する。
三越と三井財閥が建設費用を負担したという駅でもある。
一時期、自分の職場が日本橋近くにあった。その当時は就職してすぐのこと、まだ田舎から出てきた人間で東京のことなんて全くもって知らなかった時期だ。
仕事で地下鉄を利用することがあり、何気なく近いという理由で「三越前駅」で下車をした。
始めて降りる駅、そして駅名に何気なく注目した。三越ねぇ・・・と思いつつも別段引っかかる物事は無かった。
ただ、改札を出るとちょいと空気が異なった。
三越前駅は日本橋三越本店の地下売り場と直結している。それも相まって改札周辺には50代ぐらいのマダムが多くいた。その集団を紳士服の青山で購入したばかりのスーツを着た田舎者がスルスルッと抜けようとすると、見えるマダムたちは素人目から見ても「お高そうな服」を身に纏っていることに気づいた。
それが1人じゃない。何人もいる。もしかしたらお金を有り余らせている人たちが一挙に押し寄せるようなタイミングと合致しただけなのかもしれない。それでも田舎から出てきた自分からしてみれば「高級品を纏ったおばさまが大量にいるっ!」とビビったものだ。
それからというもの、日本橋三越というのはお金持ちが大量にやってくる百貨店というイメージが自分の中に植え付けられた。色々な地域で百貨店を目にし、足を踏み入れてきた。それでも、日本橋三越の以上のイメージには遠い。
そして、今。人生の節目なるものを祝うために、踏み入れたことがないあの百貨店へ行く良い機会なのではないだろうかと思ったのだ。
もしかしたら、見たことがない景色がそこに広がっているのかもしれない。行ったことがないなら行ってみるしかねぇ!ということで日本橋三越へいよいよ足を踏み入れる。
日本橋っ!
散々長ったらしくもっともらしい理由を付けて日本橋三越本店へ向かうが、言い換えれば「金持ち多そうな百貨店ってどんな感じなんでしょうなぁ」ということである。
ということで実際に行ってみよう。文字通り日本橋三越は日本橋の近くにある。

箱根駅伝では最終盤で観る定番のスポットだ。上には首都高が通っているが将来的には地下化される見込みだ。
日本橋川という川も通っている。が、首都高の影に隠れているからか、通行人の多くはそちらに目を向けることはない。

そんな日本橋から歩いて5分もしない内に、

出てきた。これが日本橋三越である。ひゃぁああああデカい・・・
日本橋三越に入る
薄い灰色の壁面が特徴的で大きな三越のマーク、そしてMITSUKOSHIという赤い看板と威圧感が凄まじいったらありゃしない。

いやいやいやいやいや・・・日本で一番最初の百貨店ということもあって、三越のプライドが感じられますなぁ。
なーんて思っていたら写真に写っている建物は日本橋三越本店「新館」であった。本館は写真の奥に位置する。とは言えど、新館も1910年代に建てられた歴史ある建物であり、多くの人が新館から出入りしていくのが見受けられた。
本館の入口には三越の店章の暖簾がヒラヒラと。そして上には前述の三越呉服店という文字。こういうのを見るとやはり歴史はものを語らせる力があるようだ。

少し場所をズレて歩道側へ。三越のマークが至る所に配置されている。

三越の英語表記を見ていると「U」と「K」が合体している表記であることに今更気づく。
ずいずいと本館へ近づいていく。そうなると何だか通っている人も銀行口座に大量にお金が入っていらっしゃるんでしょうなぁ!という感じの人達が大量に吐き出されていく。

そして、本館の入口近く。上には商業の神をモチーフにしたマーキュリー像が設置されている。この日は快晴、空からの陽の光に照らされた金色の配色は目に刺さるものがあった。
そして三越といったならば「ライオン像」だ。

「勇気と気品、度量の象徴」という意味が込められていて、日本橋本店・仙台・福岡そして閉店してしまった新潟の三越には2体のライオンが居るという。
このライオン像は待ち合わせ場所としても利用されることも多く、上に掲載した写真の近くには大変お淑やかな女性が立っていらっしゃった。
こうやってパシャパシャと撮っているだけでも大変気品高く感じられる。写真には残していないが三越前駅への出入り口近くにはレトロ感満載の看板が設置されていたりと、見るだけでも面白い空間だ。
そんな日本橋三越本店。いよいよ足を踏み入れることにしよう。
1階から凄い
日本橋三越本店の中に入っていくと、初っ端からエルメス!ブルガリ!と高級も高級なブティックな面々が自分にぶつかって来る。そして、そこに当たり前のように人が入っていくのだから不思議なものである。

また1階部分には白くそして所々で光る不思議な空間が広がっていた。1階部分は2018年に隈研吾氏による「白く輝く森」というデザイン空間がそこにあった。
自分みたいな「還暦祝い買いに来ましたぁ!」というような浅はかな人間が来て良い空間ではねぇな・・・と思ってしまった。
それでも挫けずに上の階へ進むエレベーターを探す。すると1階の中央部分に差し掛かると壮大も壮大な天女の像が。

1階の中央ホールは吹き抜けとなっていて、天井まで綺羅びやかな装飾が付けられているのが特徴的だ。また中央付近に階段があったりと、豪華な劇場のセットのようにも見えてしょうがない。
な、なんだこりゃ・・・通りがかるお客さんは興味もなく通り抜けていくが自分は思わず口を薄く開けたまま見つめた。
また中央ホールではテディベアでお馴染みの「シュタイフ」のイベントが行われていて、様々なテディベアが発売されていた。
テディベアねぇ・・・と適当に手を取った商品の札を見ると
35000円
と書かれていた。・・・・お値段は可愛くはないようだ。
屋上へ行ってみる
エスカレーター近くにフロアガイドがあったので見てみると「屋上 日本橋庭園」という文字が。

先日、埼玉県川越にあった屋上遊園地を投稿したばかり。今回は東京のど真ん中に庭園と来た。ちょいと興味が湧いたし、なんか高級感が凄まじくて息苦しさもあったので屋上へ向かってみる。
屋上にはエレベーターか階段で向かうようにと案内が掲示されていた。

階段を上がっていくと扉が。ガラス越しに広がる紅葉が幻想感を強める。

屋上が雨に吹き曝しでも大丈夫。傘が用意されている。この傘もまた1つ1つ丁寧に束ねられていて、手を抜かれているような空間はこの日本橋三越には無いと思わせる。
木々の紅葉がまぁ素晴らしいほどで、東京の中心でありながらも木の葉の揺れの音が耳に入ってくる。

また庭園ということもあって池もある。水深は30mmとなっているそうだが、なんかめちゃくちゃに深く感じる。

理由としては黒石を敷き詰めることで深く見えるようになっているそうだ。うん、まんまと三越の罠に掛かってしまったぜ。
日本橋三越が入居するこの建物は100年以上も経過しているというのに、こんなに綺麗に整備されているとは・・・恐るべし三越というしかない。

問題の還暦祝いを買いに行くんだけど・・・
さて、今回の大テーマでもある「還暦祝い」を買いに行くことにしよう。まずは「カップ」だ。
日本橋三越の5階にはリビング用品などがあるというので向かってみることにした。

5階部分に足を踏み入れると、正直なことを申し上げると「意外と高級感が無いかな・・・?」と思ったのだ。
これまで訪れてきた百貨店と発売されている商品やブランドと似通っているようだし、なんだか緊張しすぎたのかなぁ・・・と思うようになった。
まぁ人間、慣れが重要である。何をするにも見新しいものはすぐに古臭い情報に切り替わる。
そんなことを思いつつ、5階のキッチン・生活雑貨コーナーを見ていく。
するとどうだ。カップが欲しいと言えど様々である。100円ショップで買えるような真っ白いカップが棚にポツンと置かれていた。「捻りも何も無い。シンプルなマグカップ」と思って手に取り、値札を見てみると3500円と書かれているじゃあないか。
高ぁっ!
と思って、横にあった馬のデザインが施されたカップを手に取ってみると「こりゃ高そうだ!」と思って値札を見ると、2000円と書かれている。
どあぁっ?!
あれこっちの方が安いんかい!と思わず叫びそうになる。
ここで私はとある問題を実感した。
これまでネットショッピングがメインな生活を送ってきた自分にとって商品を判断するものが他人の評価ということに依存している。ということをはっきりと思い知った。
ネットで商品を買うにせよ、最新の映画・小説・アニメにせよ、全てにおいて「誰かが評価しているデータがないと購買意欲がない」ということに気づいてしまった。
更には商品を実際に手に取り、自分で自分の主観において「どれが良い商品なのか?」というのを判断する力が失われている。ということも気づいたのだ。
眼の前にあるマグカップは全て「良い商品」なのだろう。ただ、その中でも自分にとって良い商品を判断するにしても「何を基準に選べば良いのか皆目見当もつかない」状態に陥っていた。
やべぇ・・・どれを買えば良いのかわからんぞ・・・
判断に迷いながらも店内をさまよい歩く。するととあるコーナーで足を止めた。先程のコーナーよりも多種多様な商品が置かれていた。
目を通してみると白い皿や青と白が交差するようなカップ、またビー玉のようにきれいな線が入ったビールグラスなどなど。
「ここで一番ビビッと来たものを買うか!」と自分を鼓舞した。
ずいずいと近づいてみる。するととある商品が目に入った。白くも薄い線が入ったマグカップだ。店内で商品を撮影することは出来ないので、自分の拙い説明をもって想像していただきたい。
そのマグカップがまぁ綺麗だった。あれまぁ綺麗だわ・・・と。手に取ってみると、持ち手部分が陶器とは思えないほどに優しい手触りがした。更には飲み口の部分には薄いながらも銀色に塗装されていた。
はぁぁ・・・きれいなマグカップですこと・・・と思いつつ、値札を見ると
73000円
7が1つに3が1つに0が3つ・・・
7万三千円!っ
失敬!ドヒューン!
ちょっとねぇ・・・凄いねぇ
なんか当たり前のようにバカ高い商品が置かれていた。
それもそのはず、クリエーターズテーブルと呼ばれるデザイナーやクラフトマンが作り上げた商品が並ぶセレクトショップがそこにあった。
この世に同じような商品は全くもってない。ということにもなるので、当然のように良い商品はお高い値段が付けられる。
いやいやいやいや・・・ちょっと私には日本橋でお買い物をするのには速すぎたようだぜ・・・

